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「人口社会増」を地方で叶える

column vol.1162

少子化高齢化・人口減少は特に地方での課題になっていますが、光明を示す自治体も増えてきています。

例えば、山口県です。

「子どもを育てやすい県」を叶えることで若者の流出を防ぎ、さらには移住(流入)を促しています。

第2子以降3歳未満の子どもの保育料無償化
●保育所の3歳未満のクラス国の基準を上回る保育士を配置できるよう補助制度を創設
県内外で保育士を養成する課程で学ぶ学生修学資金などの返還が最大で160万円免除される制度を創設

といった策で、県は昨年度1945人だった社会減(転出と転入の差)を2030年までに0にすることを目指しています。

〈テレビ山口 / 2024年3月3日〉 

他にも、次のような強化策も打ち出しています。

初任給若年層の給料引き上げた中小企業などへの最大100万円の奨励金
東京圏近畿圏などから移住し就業や創業した場合に最大50万円の移住支援金を創設
●県営住宅を活用した「お試し暮らし住宅」を整備

そんな中、山口県で町発足以来最大の社会増を果たした自治体もあります。

それが、「阿武町」です。


町発足以来最大の「社会増」を実現

もともと、自然が豊かな所で子育てがしやすいと言われている阿武町。

そして、同町には「子育て支援3点セット」と呼ばれる独自支援があるのです。

●8ヵ月から保育料を無償化 
●0歳から高校生までの医療費無償化
●保育園から中学生までの給食費無償化

他にも、このような支援があります。

1歳未満の子どもがいる家庭に保健師や保育士などが毎月おむつ2パックを自宅に届ける「おむつお届け便」
第1子出産時に20万円第2子30万円第3子50万円第4子以降では100万円の祝い金を支給
町に婚姻届を提出した夫婦には10万円の祝い金

県の支援と相まって、「阿武町なら安心して子育てができる」という信頼感につながっていったとのこと。

2016年度以降、6年連続で1桁が続いていた出生数も、昨年度は12人

今年度は15人となる見込みとなっております。

そして、昨年度の「社会増」「転入超過」17人

数字自体、大きくはありませんが、阿武町の人口は3000人あまりということを考えたら、大きな希望となっているのです。

コンセプトの明確化で移住者を増やす

もちろん、支援策も重要なのですが、財源には限りがあります。

やはり、町の魅力を見える化することが必要となるでしょう。

そんな中、「海のシリコンバレー」という名でコンセプトを明確にし、移住者を増やすことを目指す自治体も。

それが、三重県の東部、志摩半島に位置する「鳥羽市」です。

〈AuDee / 2024年2月29日〉

人口は約1万7,000人。

市全域が「伊勢志摩国立公園」に含まれ、豊かな自然景観や歴史文化、温暖な気候に恵まれています。

鳥羽市は古来より“海上交通の要所”として栄え、海に面していることもあり漁業が盛んな地域でもあります。

中でも、素潜りでアワビやサザエ、海藻などの漁をおこなう「海女さん」による漁業が有名です。

海女さんの人数は国内最多

同市だけで約350人の海女さんがいて、日本一の「海女に出逢えるまち」として知られているのです。

養殖業も盛んな地域でもあり、牡蛎の養殖は全国有数の生産量

また、世界で初めて真珠の養殖を成功させた場所でもあるのです。

そして、大学企業博物館水族館など海に関する研究施設がたくさんあることも特長。

それらを「海のシリコンバレー」と名付けて、いろいろなものが連携した新しい仕事の創出・構築を行っているのです。

ちなみに、こうした研究施設を利用して、鳥羽の子どもたちに向けた海洋教育も熱心に進めているとのこと。

私はこの「海のシリコンバレー」というネーミングが絶妙であると感じます。

「シリコンバレー」というワードを使ったことで、単なる海の恵み(財)が豊富な町から、「イノベーション」を想起する「未来志向」の町という印象を受けるからです。

10年後、20年後、そしてその先へ。

いかに期待を醸成するかが肝要なのです。

「未来志向」のイメージづくり

そうしたことでいえば、例えば「スタートアップ創出」ということも、「未来をつくる町」という印象を与えることでしょう。

最近は、「起業」「新事業」のビジネスコンテストも各地で増えています。

今月に入ってからも、全国規模のイノベーションの祭典「アップデート・アース2024 ミライ・マツリ@前橋」についての記事を見かけました。

〈上毛新聞 / 2024年3月3日〉

こちらの祭典は起業家を発掘し、成長を支援することが狙い。

今回の前橋市をスタートに全国各地で開催します。 

こちらは、もともと起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)」に着想を得て企画。

同アワードは、新しい時代を生み出す起業家やそのマインドをたずさえた若い人材を、群馬の地から発掘するプロジェクト。

2013年に第1回大会が行われました。

その起業家発掘県の群馬がローンチした今回のアップデート・アース2024では、県や同市、一般財団法人UPDATE EARTH、デロイトトーマツベンチャーサポート、一般財団法人田中仁財団でつくる実行委員会が主催となっております。

事業アイデアを発掘する「ニッポン・イノベーション・アワード(NIA)」では、全国約2万件の応募の中から選ばれた113件を審査

大賞には東京大大学院博士課程3年の竹内雅樹さん(28)が選ばれました。

ちなみに、優秀賞の1人に昨年のGIAで最高賞を受賞した同じ東大4年の加藤徳明さん(25)が選出されています。

竹内さんは、がんで失われた声を取り戻すためのデバイス開発を提案し、賞金1千万円を獲得。

加藤さん群馬で海産物を養殖する新たな方法を生み出しました。

海に面していない群馬で「新鮮な海産物(養生)」を食べられる環境づくりというのは、非常に面白い試みですね😊

GIAを生み出し、アップデート・アースとつなげた群馬県は、まさに「未来県」というポジションを確立していくことになっていくでしょう。

今後の同県の展開に期待したいと思います!

〜ということで、本日は「人口社会増」というテーマで、「支援策」「コンセプトづくり」「未来への期待感の醸成」というポイントをお話しさせていただきました。

さまざまな町で、こうした希望の光が見られると良いですね😊

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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