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見逃せない!世界のスタートアップ事情

column vol.1086

近年、政府が取り組む教育改革によって、プログラミングの必修や金融教育の義務化など、社会に出たときに役立つ、より実践的なスキルを身につけられるようになっています。

それにより、高校生の起業への意欲が高まっておりいるようです。

時間割アプリ「Penmark」などを運営する株式会社ペンマークが行った高校生を対象にした調査でも、「将来どんな仕事に興味があるか」という質問に対して

1位の「IT・エンジニア系」(19.2%)に次ぐ2位「起業」(13.9%)でした。

Penmark

〈Forbes JAPAN / 2023年8月21日〉

ちなみに、2位「起業」5位「企画・マーケティング系」は高校1年生から学年が上がるにつれて伸びており、高校での教育・生活で興味が増していることが分かります。

また、大学生に対しての質問でも「起業」と回答したのが12.4%だったことから、今後ますます若年層の起業意識は高まることが予想されています。

〜ということで、日本の起業熱を感じましたので、本日はスタートアップをテーマにお話ししたいと思います。

さらに、今回は「世界」に視野を広げてお届けいたします。


「移民」の力を味方につけるベルリン

最近のトピックスの1つに挙げられるのが、7月にドイツ・ベルリンで開催されたスタートアップのテックイベント「TOA(Tech Open Air)」です。

ベルギー在住エディターの雨宮百子さんによると、ベルリンでは革新的なイノベーターを移民として仲間に引き入れることで世界屈指のスタートアップ都市へと成長を進めているとのこと。

〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2023年8月16日〉

ヨーロッパの企業の創業者へのアンケートで、会社設立で選びたい都市2位ベルリンは選ばれており、JETROによると外国人による起業が5割を占めています。

また、スタートアップといえばユニコーン企業が頭に浮かびますが、ベルリンでは経済的利益社会的利益共存を目指したスタートアップ「ゼブラ企業」が多く集まるそうです。

この辺がグリーンエコノミーを重視するヨーロッパらしいですね。

ちなみに、ゼブラ企業をもう少し詳しく知りたいという方はこちらの記事も併せてご覧くださいませ。

雨宮さんがベルリンのゼブラ企業として例に挙げていらっしゃるのが「Mitte Home」

こちらでは、各家庭の水道水をフィルターし、ミネラルを添加、炭酸水まで作り出す新しいウォーターサービスを展開しているのですが、カートリッジ1つで最大300本のボトルを代替し、90kgのCO2排出を削減するそうですよ。

他にも、ニュースプラットフォームの「DeepNews」ではフェイクニュースや釣りタイトルを一掃し、信頼性と透明性を重視した情報発信を行なっています。

まさに社会意識の高い企業が揃っているという一端を感じさせてくれます。

DeepNewsのCEOであるマキシムさんは、ベルリンの魅力については

他の都市に比べて物価が安いこと。そして、何よりたくさんのクリエイティブな人がいるから、欲しい人材を探しやすい

と話しております。

今後の動向から目が話せない都市の1つが、ベルリンなのではないでしょうか。

AIで広告コピーを最適化!イスラエルの新星

ちなみにスタートアップの注目エリアということでいえば、今回もう1つ挙げておきたいのがイスラエルです。

多くの優秀なフードテック企業が生まれており、以前【「起業大国」のつくり方】という記事で紹介したこともありました。

そんな同国で今、話題になっているスタートアップ企業が「Anyword」です。

〈Forbes JAPAN / 2023年8月14日〉

こちらは生成AIを使って広告コピーの最適化を行なっている企業。

先月、ChatGPTが生成したコピーブランドとの適合性を評価し、意図したオーディエンスに対してどのように機能するかを予測するAIプラットフォームを開発しています。

Botco.aiがアメリカのマーケター1000人を対象に行った調査では、73%の企業テキスト画像動画などのマーケティングコンテンツの作成に生成AIツールを活用していると回答。

利用目的ウェブサイトのコピー作成が最も多く、SNSのコピーや画像、SEOコンテンツやブログ記事にも使用されています。

そんな中、Anywordの凄いところは、企業のスタイルだけでなく、ターゲットの顧客層に合わせてコンテンツを調整し、どの程度のパフォーマンスが期待できるかを予測してしまうところです。

ちなみに、その予測する力について同社では「数十億もの実際のマーケティングデータに基づいてトレーニングされている」と説明しているので、その能力の高さについては何となく感じられるのではないでしょうか。

CEOのヤニブ・マッコーバーさん

当社の新たなツールは、ユーザーがより効果的なプロンプトを作成することを支援し、AI とアナリティクスの力を活用して、コンテンツのパフォーマンスを向上させるものだ。生成されたコピーは、コンバージョンを30%向上させた実績を持つ予測分析に基づいている

と自信を覗かせています。

もしもその自信が現実であるならば、業界に大きなインパクトを与えることになるでしょう。

微生物から生まれる脱炭素素材に注目!

最後はゼブラ企業に話を戻して、この分野の目玉企業をご紹介して締め括りたいと思います。

それが、アメリカ・カリフォルニアのスタートアップ企業「ニューライトテクノロジーズ」です。

脱炭素ファンドのジェンゼロなどから1億2500万ドル(約181億2500万円 / 2023年8月21日現在)の資金調達を行ったことが本日報道されていました。

〈WWD JAPAN / 2023年8月21日〉

同社は、プラスチックの代替素材「エアカーボン」を開発した企業なのですが、それは「微生物から生まれる脱炭素素材」として注目を集めているのです。

微生物???

と思う方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しますと、海中の微生物が温室効果ガスを体内に蓄積し、PHB(ポリヒドロキシ酪酸)と呼ばれる物質に変換するメカニズムを応用してエアカーボンをつくっています。

これにより、製造にかかる排出量よりも吸収量が上回るという話なのです。

ファッション、エンターテインメント、ホテル、自動車、食品産業と幅広い産業に活用することができ、ナイキがパートナー企業になったことは有名なところ。

「H&M」でも昨年5月に発売した「イノベーション・ストーリーズ」コレクションで、エアカーボンを使ったアクセサリーを販売しております。

今回の資金調達の目的は、製造拠点の拡大

これにより、ますますエアカーボンの名は世界を駆け巡るかもしれませんね。

ということで、最近気になった世界のスタートアップ事情のいくつかをご紹介させていただきました。

若い人たちの間で起業のリテラシーが高まるとともに、仮に失敗しても社会が支援できる体制づくりが進んでいけば

1億総起業家時代

なんてことも期待してしまいます〜

私も人生後半戦で一度は起業したいと思っております😊

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