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「検索・予約」戦国時代へ

column vol.1177

飲食店を予約する場合、「ぐるなび」「食べログ」のどちらを利用しますか?

「う〜ん…、最近は食べログかな…?」

という方が増えているのではないでしょうか?

〈日刊SPA / 2024年4月4日〉

実際、ぐるなびはコロナ禍を迎える前の2019年3月期の売上高は327億円ありましたが、日常を取り戻したでさえも4割程度なのに対し…

食ベログ2023年4-12月の売上高は204億5100万円で、前年同期間の1.2倍。  

2019年4-12月と比較しても3%上回っています

つまり、食ベログコロナ禍を乗り越えて完全に回復しているのです。

では、一体この差は何なのか…?

ここには、生活者の大きな変化が見えてきます。

「コロナ」が変えた変化

もう少し数学の話を加えますと、コロナ前は2社の売上規模同格でした。

2020年4-6月における売上高は

●食ベログ…17億3500万円
●ぐるなび…17億8300万円

と、ぐるなびが僅かに上回っている状態でした。

しかし、2023年10-12月

●食ベログ…74億1500万円
●ぐるなび…32億3400万円

で、ぐるなびは食ベログの4割程度まで縮小してしまったのです。

この差の大きな要因の1つに「コロナによる変化」があるのではないかと言われています。

コロナによる変化といえば、「飲み会の減少」です。

食ベログはレストランやカフェ、焼肉店など様々な業態を扱っているというメディア特性があります。

一方、ぐるなび「宴会ができる飲食店」に強みを持つメディア。

同サイトの不調は、宴会需要が減退したことで居酒屋店を中心に加盟店舗数が減少したことに起因しているというわけです。

日本フードサービス協会によると、2024年2月の居酒屋店の売上高が、2019年同月比で7割にも達していないということ。

居酒屋店の稼ぎ時である2023年12月においても、2019年比で同じく7割に届かず、改めて宴会需要が縮小したことが分かりました。

食ベログはテレビCMで「お店探しは、食ベログアプリ」をキャッチコピーにし、消費者の中に「飲食店探しは食ベログだ」という意識を醸成できたことが大きかったわけです。

同じ商品・サービスでも、ターゲット設定によって明暗が分かれるという典型的な例と言えるでしょう。

主流となる「ソーシャル検索」

…とはいえ、そんな食べログも、うかうかしていられない状況に陥っています。

いわゆる「食べログ事件」としてユーザーの記憶に残っているように、「口コミへの信頼性」以前に比べて低下しています。

飲食店向けに予約・顧客管理システムを提供している「TableCheck」が行った調査によると、3割がグルメサイトのユーザー評価「評価しない」という結果が出ています。

〈Business Journal / 2024年3月17日〉

そこで今、台頭してきているのがインスタグラムグーグル

この2つは予約ができるようになったことで、 ゲームチェンジャーになりつつあります。

もちろん現状は、インスタとグーグルでの予約は、まだ電話やグルメサイト、公式サイトなどを合わせた予約方法全体の5~10%程度に留まっていますが、検索だけなら、かなり活用されていると思うのです。

ちなみに、米マーケティングプラットフォーム「SOCI」によると、アメリカのZ世代67%検索にインスタを使うと回答。

(2位はTikTokで62%)

〈Forbes JAPAN / 2024年3月13日〉

グーグルは2022年に、若者の40%昼食をとる(購入する)場所を探すのにグーグルやグーグルマップではなくTikTokインスタを使っていると明らかにしており、この傾向は続いています。

日本でも若者にとってインスタは検索ツールとして使われており、飲食店を検索する際、公式アカウントではなく一般ユーザーの投稿を見て、リアルな声を参考にしながらセレクトしているのです。

また、飲食店側からしても、グルメサイトに掲載すると、月額数万円の固定費のほか予約数に応じて客1人当たり50~200円程度「送客手数料」を支払う必要があります。

人気店では月額10万~数十万円にもなり、この分の利益を確保しようとすると数百万円もの売上が必要になるわけです。

一方でインスタグラムに投稿するだけなら無料

高いコストが原因グルメサイトから離れるお店もあり、今後はソーシャル検索&予約が主流になる可能性は高いでしょう。

強化される「MEO」

グーグルマップの予約についても、もちろん今後期待されている点もあります。

その1つが「MEO」

これは、マップ検索エンジンの最適化です。

SEO(検索エンジンに適切に理解され、評価されるように技術的およびコンテンツ面で最適化)のグーグルマップ版ですね(Map Engine Optimization)。

とある飲食チェーンではグーグルマップを通じた閲覧数グーグル検索の3倍にも及んでいるなど、グーグルマップへの利用熱が高まっていることから、同社ではMEOに力を入れるようになっているのです。

TableCheckのPRマネージャー、望月実香子さん

「やはりグーグルマップの検索数が増えて売上を伸ばした店舗もあるように、MEOの施策が重要になっています。検索数でも圧倒するグーグル、そしてグーグルマップでの対策は欠かせません

と、今後の展開を示唆されています。

そして

●今日・明日のお店を決めるショートタームでの検索グーグルマップ
●今度行きたいお店を決めるロングタームでの検索インスタグラム

という傾向もあるとのこと。

とはいえ、グルメサイトも現状の予約シェア27%と、インスタグラム・グーグルマップ連合チームの5〜10%の割合に比べて、まだまだ強い状況です。

ですから、飲食店の検索・予約については、どこが覇権を握るかが分からない状態と言えるでしょう。

もしかしたら、ぐるなび新機能をローンチして大復活するかもしれませんし🤔

今後の展開を予測しながら、引き続き動向を注視したいと思います🫡

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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