「電子コミック」の熱波
column vol.1184
今日は昼過ぎ、東京都心で25.7度に達し、今月3度目となる夏日になりました。
買い物に出かけても、日差しの暑さについつい日陰を選んで歩いてしまうほど…(汗)
ということで、今回は「アツイ」ものについてお話ししたいと思います〜
土曜日ということもあるので、娯楽について語りたいのですが、アツイ娯楽の1つが「電子コミック」でしょう。
「本が売れなくなった」と言われる時代において、異彩を放っているのです。
5年で電子書籍の市場が倍増
出版科学研究所によると、2023年の紙の出版物の販売額は1兆612億円。
前年比6.0%の減少でした。
〈日刊SPA! / 2024年4月11日〉
そんな中、電子書籍は6.7%増加し、5351億円となっているのです。
ちなみに、2018年は2479億円。
つまり、5年で電子書籍の市場は倍増したことになります。
ただ、販売額の9割を占めるのが電子コミックなのです。
この急伸を支えているのがWeb広告。
Webメディアなどにインパクトのある一コマを広告という形で掲載し、サービスへと誘導するなど巧みなマーケティングで読者を引き込んでいるのです。
電子コミックの単一プラットフォームとして、2023年に国内で初めて取引額1000億円を突破した会社がカカオピッコマ。
ピッコマは韓国のIT企業カカオの日本法人カカオジャパンが2016年に開始したサービスです。
韓国といえば、スマホ画面にマッチする縦スクロール型「ウェブトゥーン」のパイオニア。
セリフが少なく軽快に読めることから、短時間でコンテンツを楽しめるTikTokに馴染んだ世代から支持を集められたというわけです。
国内企業でいえば、NTTソルマーレが運営する「コミックシーモア」が巣ごもり特需の影響を受けて急成長。
同社は、2023年3月期の純利益は前期比26.1%増の42億1700万円と順調に売り上げを伸ばしています。
そして、私が面白いと思っている企業が「めちゃコミック」を手掛けるインフォコムです。
まず、売り上げ規模をお話ししますと
2023年3月期の売上高は前期比8.9%増の703億4200万円。
さらに、2024年3月期の売上高は17.2%増の825億円を予想しています。
情報システム子会社の希望の星
そして「めちゃコミック」についてです。
こちらは、アプリなどをインストールしなくても公式サイトから簡単に電子書籍を読むことができることが特徴となっています。
また、めちゃコミといえば「ポイント」でしょう。
ポイントを購入する以外にも「来店ポイント」や「おみくじポイント」、メルマガの継続、期間限定のレビュー投稿などでもポイントを貯めることができます。
ちなみに最近は、「ページ読み」に対応したコミックの配信を開始したことがニュースになりました。
〈BIGLOBEニュース / 2024年4月16日〉
昭和生まれの私は紙のマンガで育ったので、やはりウェブトゥーンよりもページ読みの方が読みやすい。
そういう人をも、さらに取り込んでいくでしょう。
そんなめちゃコミを手掛けるインフォコムですが、私がなぜ注目しているかというと、同社はもともと大手化学メーカー帝人の情報システム子会社。
(ちなみに、めちゃコミを実際に運営している会社は、その子会社のアムタス)
インフォコムは帝人や大手商社の双日の社内情報システムを手掛ける一方で、売上高の3分の2を電子コミック事業が占めています。
こうした背景から、親会社依存からの脱却を目指す情シス子会社や、新規事業の開拓に悩む日本の老舗企業にとって熱視線を集める存在になっているのです。
ちなみに、集英社の「少年ジャンプ+」や講談社の「マガポケ」、小学館の「マンガワン」など、大手出版社も自ら電子コミックアプリを展開。
電子コミックのみならず、漫画・コミックの国内市場規模は、現在が「過去最高」になっています。
2023年のコミック市場規模は6937億円。
かつてのコミック市場の全盛期、「週刊少年ジャンプ」の発行部数が歴代最高の653万部を記録し、市場全体が活況に沸いていた1995年よりも大きいのです。
まさに、日本マンガの新黄金時代を電子コミックが牽引していると言えるでしょう。
電子コミックから生まれる「ドラマ」
〜というように、社会にインパクトを与えている電子コミックがマンガの世界だけに留まっているはずもありません。
例えば、マンガと音楽を融合させたクロスメディアプロジェクト『Project CO-MUSIX』がそうです。
〈Real Sound / 2024年4月13日〉
第1弾のオムニバス作品『すべてがサヨナラになる』では、『まんが王国』にて配信された同作には “叶わぬ恋” をテーマにした4つのエピソードを実写ドラマ化。
その4つの作品に対して、由薫さん、カメレオン・ライム・ウーピーパイさん、三阪咲さん、佐藤日向さんといったアーティストが楽曲を提供しています。
ちなみに実写ドラマについては、株式会社プログレスが運営し縦型ショート動画を投稿しているTikTokアカウント「ショードラ/SHOW DRAMA」とのコラボが決定。
坂ノ上茜さん、新谷ゆづみさん、宮下咲さん、伊礼姫奈さんがそれぞれ主演を務め、臨場感のある縦型映像を活かした俳優たちの熱演にアーティストのコラボ楽曲が流れる作品となっているそうです。
他にも、音声プラットフォーム「Voicy」は、株式会社ファンギルドと連携し、ボイスドラマを展開。
〈毎日新聞 / 2024年4月15日〉
最初の作品として、各電子書店でランキング入りの人気作品『ギラつき上司と偽装結婚!?』を、今週15日から配信しました。
Voicyはファンギルドと連携することで、「今後もボイスドラマ作品を展開していき、より音声コンテンツを楽しむ体験を届けていきたい」と語っております。
〜ということで、本日は電子コミックの隆盛と、界隈への広がりについてご紹介して参りました。
マンガはクールジャパンを代表するコンテンツの1つ。
こうした盛り上がりが、日本に様々な恩恵をもたらすこと願って、業界に今後も視線を向けていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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