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NHKクローズアップ現代「ジャニーズ性加害とメディア」を見て

※Twitterに加筆したもの

NHKクローズアップ現代「ジャニーズ性加害とメディア」を見た。なぜテレビはジャニーズに忖度したのか。NHK自身による検証番組。この問題と向き合う姿勢は褒めるべきなのだろうけれど、どうにも褒めたくない、気持ち悪さが残る内容だった。

番組ではNHKだけでなく民放各局の関係者40人以上になぜ性加害は報じられてこなかったコメントを取っていて、ざっくり、ドラマやバラエティは視聴率のため、民放の報道はスポンサーが怒るのを怖がり、NHKの報道は芸能なんて他に任せとけというコメントだった。総じてみな知らんふり、見てみないふりをしていたといえる。

気になったのはコメントを取っていたのが2004年の文春報道直後の関係者で、現役でジャニーズ番組をやっている人間が何を考えているかはわからなかったことだ。過去の反省だけでなく、今どうなのかが知りたかった。

タレントに罪はないとSNSでは毎日何千回と言われるが、性被害によって注目を浴びさせるかを選定する歪んだシステムから生み出され、そこから生まれたスターにより権力をつけ、誰も御せなくなった怪物がジャニーズだ。現役のスタッフの声がないように見えたのにも、隠然たるジャニーズの影響力、逃れられない忖度を感じて、気持ち悪かった。

ジャニーズは会見はやれど、名前は変えない。代表取締役も変わらない。そこに今まで同様の仕事を与えて果たして変わるか。変わるわけがない。そしてジャニーズと向き合うテレビ局も人間も変わらない。

だからこそNHKがやるべきは10月からジャニーズを一切出さないくらいの荒療治だろう。多くの血を流すだろうが、公共放送だ。そのくらいのことを求められてしかるべきだ。

番組ではNHK理事からジャニーズ顧問(KADOKAWAの執行役員)になった人は回答せずで終わっていたけれど、大きな責任ある人だし直撃すべきではなかったか。NHKの理事だったのだ。話す責任はある。今後、表舞台に引き摺り出してほしいと淡い期待も持っているが、どうだろうか。


NHKクローズアップ現代より

番組内で紹介された当時の関係者のコメントの中でも印象的だったのが、ジャニーズ出演番組のプロデューサーのコメントだった。

家に行き、性加害が少年たちに加えられている可能性を感じつつ見て見ぬふりをしていた。そしてジャニーズを起用し名誉や利益を得ていたのだ。酷い話だが程度の差はあれ、テレビ局も同じことをやっていた。そしてわれわれ視聴者だって見て見ぬふりをしていた。

民放も含めジャニーズ報道の最後には、正しい道をゆくよう忖度なく今後はメディアによる監視が必要だとまとめる。だが、メディア自体も共犯者なのだ。その罪に向き合わず正義の顔で今度は監視する立場にたとうというのは虫が良すぎる。

検証も猛省もまだまだ足りていない。メディアはまだ血を流してはいない。NHKのこの番組はかさぶたにやっと爪をあてた程度だろう。他局はかさぶたに触れさえしないかもしれない。

汚れたどす黒い血はまだ今も体内に流れ続けている。メディアはまだ病んだままだ。

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