「どこでもドアが完成した」ショートショート
どこでもドアが完成した。政府の科学者が、長い年月をかけてようやく作り上げたのだ。
もうすでに、街のあちらこちらにドアはつけられている。
どこでもドアとは、某国民的アニメのアレである。
自身が行きたい場所に、瞬時に行くことができる魔法のようなアイテムである。
どこでもドアは瞬く間に社会のインフラになっていった。
車や飛行機、電車に船は軒並み使われなくなり、街は静かになり、そして空気や水が綺麗になっていった。SDGsにも優しいのが、どこでもドアである。
交通インフラがドアで済むのだから、交通事故もなくなり、事故死の割合もかなり減少した。
時が経つにつれて、自宅にドアをつける人も現れた。設置もドアを置くだけなので簡単なのである。様々な人が、ストレスなく自身の行きたい場所へ行けるようになった。
日常的なストレスや事故が減ったため、社会全体の幸福度も上がっていった。どこでもドアは社会を照らす光のようだった。社会全体の幸福度が上がったからか、各国の自殺者数もどんどん減少していった。
その代わりに、行方不明者はどんどんと増えている。
行方不明者と最後に会った人は、インタビューで必ずこう言っていた。
「あの人、天国に行きたいって話してて…」
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