「何かを見つけられる教室」
この4月で教壇に立ち始めて10年目となる。まだまだ若手のつもりでいたが案外時間が経ってしまった。そして異動により一昨日より新たな学校での勤務が始まっている。
3月末で2年間担任していた子供達との別れだったのだが,2人の子とのエピソードがとても印象に残っている。今回はそれを紹介させていただくこととする。
①プログラマーA君
1人目はPC大好き,プログラミングが得意なA君です。この子は元々人と合わせることやコミュニケーションを取ることが苦手で宿題をしたり給食を時間内に食べたりという事が中々できず周りからも厳しく見られてしまう事が多い子でした。ですがこの2年間,ICTを活用した学習では目を輝かせ大活躍。特にICTを積極的に私を平気で飛び越えるスキルを持っており,気付けば自然と周りの子達を助けていました。求められる時だけではなく,自分から声をかける様子を見られました。周りからも一目を置かれ,出会った時からは信じられない成長を見せてくれた子です。そんなA君が最終日にくれた手紙に書いてあった一文
「もっと成長した姿を見せたいです。」
多分,私がこの子にして教えられる事はもうない。
②マジシャンB君
2人目はマジックがとても得意なB君,といっても私がこの子がマジックが得意だと知ったのは最終日の2日前,お楽しみ会の出し物としてやっていたことがきっかけである。そしてレベルがとても高く,大絶賛した記憶がある。マジックが得意というからには明朗快活な子を想像するかもしれないが,この子もそれとは対極に位置する寡黙な子だ。
修了式が終わった日の夕方,母親と共に訪れた。どうしても見せたいマジックがあるとのことらしく部屋に入った。見せてくれたマジックは最後にメッセージカードが出てくる仕掛けのあったもので,それをプレゼントとして受け取った。ちなみにタネは全くわからなかった。メッセージカードには一言
「絶対に忘れません。」
思わず涙が溢れた。
③最後に
教育には正解もゴールもない。しかし,2年間の私との関わりで何かを見つけてくれたのであればこの上ない喜びである。
別れを惜しみ,感傷に浸る間も無く週が明けた瞬間,新たな出会いが待っている。
「何かを見つけられる教室」
これを目指していくのも悪くないのかもしれない。いや,目指すのではなく自然とそうなっていくことが理想かもしれない。
今回もお読みいただき,ありがとうございます。
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