令和の怪物の成長とは?:シリーズ②
teamNINE「K」です。
そろそろ抽選会が終わり、夏の大会が始まりますね。3年生はコロナに振り回された高校野球だったと思いますが、最後まで全力を尽くしてほしいですね。
さて、前回の内容は、令和の怪物シリーズ①ということで「重心移動時の軸脚の変化」でした。高校時代と比べどのように変化していったのかを書きました。ぜひ遡って読んでみてください。
今回は、「令和の怪物のテイクバックの変化」です。前回少し触れましたが、今回は少し深く触れていきたいと思います。
では早速行きましょう。これは高校2年生です。
躍動感はこの時からさすがですね。テイクバックの手の位置を見ていきましょう。この時のテイクバック動作自体はそこまで悪いと思っていません。しかし、肘をやや伸ばした状態でトップまで挙げてくる形になっています。決して悪くなありませんが、そのようになるとトップで肘をたたむ動作(肘を90°より小さく曲げる動作)がうまくできないと、肘の内側を痛める原因になります。
次は高校3年生の時です。
ちょっと写真撮っている位置が違うので何とも言えませんが、テイクバックの手の位置を考えると、高校2年生の時よりやや少し低い印象があります。これは肘が曲がった状態でテイクバックを取っているためと考えています。
5月の阪神戦での初勝利時の投球フォームです。
肘が曲がった状態で、テイクバックを取っています。やや高校2年生時のテイクバックに似ています。高校時代と比べると、テイクバック時の手の位置が高いことが分かります。
分かりやすくこれを横に並べると・・・、
こんな感じです。フェーズは一緒ですが、撮影している位置が若干違うため少しずれているように見えます。しかし左端と右端を見てみると3年間でテイクバックの手の位置が変わっていることが分かります。これは高校時代と比べテイクバックの仕方を少し変えたのではないかと思っています。
またテイクバックが変わった影響を書いていきます。
テイクバックの手の位置が変わったことにより、フットコンタクトのタイミングでトップの位置を見比べると、「手の位置」の違いは明らかだと思います。高校時代からトップを作るタイミングが課題でしたが、現時点でのタイミングで作れているのであれば大丈夫でしょう。
さらに、これは次のフェーズの画像比較です。
レイトコッキング期からアクセラレーションからは明らかに変わっています。プロに入ってからのほうが上半身はうまく使えています。その理由は何でしょうか。おそらくいろいろあると思います。肩回りの筋力・柔軟性、体幹の使い方、下半身の使い方etc…。
ただこのフェーズの画像を見た時、一番変わっているのは「上位胸郭の使い方」が変わっていると考えています(あくまで画像からですので、今回は筋力を除いています)。そもそも上位胸郭とはというところから始めていきます。
解剖学上では上位胸郭は、上位肋骨(第1肋骨~第6肋骨)ことを言いますが、ここで言う上位胸郭というのは・・・、
プロメテウス解剖学アトラス 第2版より引用
上の画像の赤丸で囲んである
・鎖骨
・肩甲骨
・上位肋骨(第1肋骨~第4肋骨)です。
なぜここの動きが重要かは次の機会にでも書けたらと思っています。
プロに入ってからはここがうまく使えるようになったと考えてます。
ここが柔軟に使えることにより、肩甲骨、胸郭を柔軟に使うことができ、投げることが出来ていると考えられます。そうなると、肩であったり肘の障害のリスクの減少に繋がるため、上位胸郭の柔軟性は重要となってくるので覚えといてください。
上位胸郭は肩甲骨、鎖骨が柔軟に使えていること、体幹、肩甲骨周囲の筋力が使えているることが分かります。これは1年トレーニングを集中的に行った結果ではないでしょうか。もちろんこれだけではないと思いますが。。。
つまり「テイクバックでの手の位置が高校時代より高くなっている」この影響によりトップでの手の位置であったりが変化しているとも考えられます。やはり投球フォームは1箇所を切り取り修正するのではなく、全体の投球フォームの流れを考え修正をかけていくべきだと思います。
次回は「令和の怪物の課題」ということで、佐々木投手の今後のフォームから見た課題を書いていきます。
最終章になる予定です。お楽しみに!
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