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「価値観」は老舗鰻屋・焼鳥屋のタレ

「自分の思いを整理するために人の話を聴く・話す」

近頃はSNSやYouTube、書籍等でも具体的な技術の話ではなく「意識」や「価値観」に関する自己啓発とでもいうんでしょうか、モノや事象の捉え方、考え方、どんな心持ちでことに臨んだら良いのか?っていうお話を目にすること、耳にすることも多く、積極的に目にしよう、耳にしようとしている人も多いのではないでしょうか。

殊に「人間関係」というのが人々の悩みの全てではないか?と心理学者アルフレッド・アドラーでなくともそう思うわけで、ストレスから逃れるため、自分の思いを人に理解してもらうために「何かいい方法はないものか?」…考えてしまうのは当然ともいえます。

時々、大学卒業したばかりの新入社員とおぼしき方の仕事に対する自分の思いを込めたTweetに「うんうん、俺もそんなことを思ってた」と深く頷きながら「ふ~ん…まだ青いな」と苦笑いもしてしまうわけで。

若い人が自分の意見を言うことがいけないと言いたいのではなく、「自分の『価値観』に結論を出すには早いよ。結論を出すのは今じゃないよ。」と思うわけです。

私は「価値観」って正しい言い方じゃないと思っていて、「今の価値観」って言い方が正しいのかなって思っています。

先日ある芸能人がコロナのワクチンは打たない、みんなも打つなって言ってたのに、身近な人がコロナになったら一転してワクチンを打ったということで「話が違う」とか「自分の考えに責任を持て」って総攻撃を受けたって記事が出ていましたが…そもそも考え方なんて1分後には変わってる「ナマモノ」なんですよね(その方は影響力のある方なので、考えの変遷についてファンの方に説明する必要はあるかと思いますが)。

私は「価値観」というものは「老舗の鰻屋や焼鳥屋のタレ」みたいなものだと思ってるんです。ベースはありながら新しいものを足していく。ただ、そのまま置いておいてもタレは減らないですよね?鰻や焼鳥を焼いて付けるたびに減っていく…時々その価値観を人に話してやることによってベースがキュッとしまり新しいタレを足すスペースができる。そしてどんどん味を深めていく。

だから先述したように大学を卒業したばかりの人の「今の価値観」は例えるなら開店間もない鰻屋さんのタレ、その時点では最高ベストの価値観、タレなんです

一般の人は自分の考え方とか価値観って赤の他人の前で話すことはないですし、本とかにまとめたこともありません。何となく「そんな感じ」ってものは分かっているつもりですが、例えば「これから2時間という時間をあげるから貴方の持つ『価値観』について説明をしてください」といわれても多分5分も持たないと思います。

また、「価値観」というものは何か「対象物」がないと話ができない…例えば「子育てについて貴方の『価値観』を話してください」といわれれば多少話もできますが、ただ単に「貴方の『価値観』について話してください」といわれても「えっ、何を?」ってなります。

私ぐらいの年代(40代後半)になると色んな経験を積んで色んな話を聞いてきているせいか、パラダイムの転換を迫られるようなビックリする考え方に出会うことは滅多にない。

「その考え方は賛同はしないが、分からんでもない。」とか「その考え方は理解はできないが、あっても不思議ではない。」ということが99.0%で「何じゃ、その考え方???」という話はほとんど出くわさない。

確かに「新しい気づきです」ということは多々あるが、「因果」(原因と結果)の何か一要素に新しいものが加えられたことによる追加設定的もので、「因果」全てが考えつかない、書き換えられるということはまずない。

それなら人の話を聴くことにもう意味はないのか?…そんなことは全くありません。

日本の大会社の社長さんがやっていることとか大手企業のやり手社員さん、大企業から独立した意識高い系バリバリ実業家やコンサルの話を自分に取り入れようとしてみたが、何かちょっとも上手く行かねぇ~な…とか、そもそも「俺にはムリだ」って思ったことってありません?

大手企業さんの従業員のように、従業員が沢山いて自分はある一部の業務を専門的に、そして常にチームとして取り組んでいる中での具体的なやり方を、わずか10人の従業員で、自分は企画から予算管理、営業、アフターフォロー、経理まで全部やっている、おまけに社長がウンと言わないと先に進まない…そんな状況に大企業での具体的なやり方をあてはめようと思っても所詮ムリ。

ただ、「大企業の真似」がダメだということではないと思うんです。

「具体的なやり方」を真似しようとしているから上手く合わないのであって、「なぜそういうやり方をするのか?」「何を目指してそういうやり方をするのか?」という「基本的な考え方」はどんな仕事にもあてはまるんじゃないかって思うんです。

さらに最近感じていることは…著名人のエッセイや対談、講演動画を聴いたり観たりしていると「あ~、上手いこと言うな~」とか「あ~、こういう表現をすれば他人に伝わりやすいな~」と感心することがよくあるんです。これは自分の頭の中にまだ粘土のようにグチャグチャになっているものをキレイな器に練り上げ形作ってもらったような感覚。


ところで…皆さんよく「言い訳」ってすると思うんですけど、これってどんな時します?

多分、自分の思いが相手に100%理解されていると思う時は「言い訳」なんてしないと思うんです。相手に例え0.001%でも自分のことを分かってもらえてないと思うから「言い訳」する。

「自分の思いを分かりやすく的確に伝えること」って人間関係を良好にする、ストレスを持たないためにはものすごく重要なんです。

最近は「傾聴」ということで、相手の立場になって理解しながら話を聴くというという手法が一般的になってきましたが、今度は「傾話」…相手の経験や立場になって理解してもらおうと話をすること…これも大事なんじゃないかなと。

そのためには自分の「今の価値観」をある程度まとめて分かりやすい、イメージしやすい言葉、身振りで話す。そのためには色んな人に話をしたり話を聞いたり…考え方だけでなく、言葉や表現のフレーズを沢山ストックしておくことが大切なんじゃないかなぁ~なんて感じています。


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