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なぜ、東北地方の餅はバラエティ豊富なのか?

結論:お祝い事から携行食、保存食に利用されたから。


1月11日は鏡割り

1月11日、歳神様を迎えるために飾っていた鏡餅を食べます。

お正月に特に消費の増えるお餅。お正月が終わると、余ってしまう方も多いのではないでしょうか?お雑煮くらいしか浮かばず、バラエティに乏しくなりがちな餅料理。最近では、リュウジさん、ジョージさんなど、料理系Youtubeで余ったおもちの活用法についてあげている方もいます。

なぜ、正月にお餅を食べるようになったか?

お正月にお餅が食べられるようになったのは平安時代。お正月の宮中行事である歯固めの儀式で食べられるようになりました。歯固めの儀式とは、固い食べ物を食べて、歯を丈夫にし、長寿を願う儀式です。当時から、お供えものにされていたお餅を用いて歯固めの儀式を行っていました。現在では科学的に証明されてますが、1000年前から、歯の健康が長寿につながると考えられていました。

今回は、東北地方で出会った餅料理について紹介します。おもちにつけるものといえば、砂糖醤油、あんこ、きなこなどが一般的だと思います。しかし、東北地方には、さまざまな薬味をつけて食べられます。

東北地方でなぜ餅が好まれるか?

現在の東北地方では、ずば抜けておもちを食べられているわけではありません。一方、新潟県など北陸地方は米の栽培が盛んなためか、消費量が特に多いです。

東北地方は、江戸時代からお餅を食べる文化が根付いていました。岩手県、宮城県では、年中行事、農作業の節目、祝い事のときに餅をついて食べる文化があります。また、冬の保存食として、凍み餅などが誕生しました。
さらに、米どころの秋田県や山形県では、マタギなど、野外で働く人々が持ち歩きできる食事として、お餅は役に立ちました。

東北地方で出会った餅の種類

ずんだ餅

宮城県では、仙台名物。仙台平野はササニシキ、ひとめぼれなどが栽培され、日本有数のお米どころ。枝豆は、だだちゃ豆で有名な山形県の鶴岡地域など、東北各地で栽培されています。仙台は伊達政宗の時代から東北地方の中心として栄えており、枝豆、米が集まりました。

茹でてから薄皮をむいた枝豆をすりつぶし、砂糖で甘く味付けしたあんを作ります。つきたてのおもちに枝豆で作ったあんを絡めて作ります。元々、枝豆のとれる8月〜9月にずんだ餅は作られていました。現在では、年中作られるようになり、仙台を代表するお土産の一つになっています。

2010年代から、ずんだシェイクが人気です。ずんだシェイクは、枝豆で作ったあん、ミルクを合わせ、中におもちが入っています。枝豆をフラペチーノそっくりです。農耕な牛乳が絶妙に合います。餅を入れたり、ずんだ餅をトッピングにつけるなど工夫が見られます。

仙台駅喜久水庵のずんだシェイク

ずんだは豆打(ずだ)から来た説、政宗が陣太刀の柄で枝豆を潰した説があります。ずんだ餅の存在はは、全国各地で知られ、仙台土産の一つにされています。

一関の餅文化

岩手県南部では、一関市を中心に、冠婚葬祭や季節のイベントでお餅を食べる文化があります。江戸時代から、バラエティ豊富な餅が一口大で出てきて、わんこそばのように、全部、薬味の異なる数種類(全部で300種類以上のバリエーションがあります)のタレと雑煮がセットになった本膳料理が振る舞われています。
あんこ、ごま、きなこ、くるみ、ずんだなど定番から、大根おろし、生姜、じゅうね(エゴマ)、ふすべ(燻したドジョウを粉状にして、すりおろしたごぼうと大根に混ぜて油で炒め、煮て醤油と唐辛子を加えてピリ辛に仕上げたもの)などの変わり種もあります。

バター餅

バター餅は、秋田県北秋田市が発祥のご当地スイーツです。もち米にバター、卵黄、砂糖を混ぜて作ります。卵黄を混ぜることにより、優しい黄色い色合い、砂糖を入れることにより、水分が保たれます。マタギの携帯食が発祥と言われています。

甘さは控えめで、バターとお餅が一体となり、バターが溶け出しません。フライパンで軽く焼き色がつくまで焼きます。短時間の加熱であれば、バターが溶け出さず、お餅の柔らかさも保つことができます。焼き目がサクサクで、甘い香りもあり、まるでフレンチトーストでした。

北秋田名物バター餅
焼くとフレンチトーストに変化

凍み餅

福島県の名産。冬の寒い日に、お餅を水につけてから外に出し、昼は太陽の光にあて、夜は凍らせることを繰り返し、水分を飛ばしたおもちです。天然のフリーズドライ。水に戻してから、焼いたり、乾いたまま揚げて砂糖醤油につけて食べます。水分を飛ばして戻すことにより、歯切れがよくなります。
福島県だけではなく、青森県、長野県など寒い地域を中心に保存食として作られます。乾いた餅は、サクサクとした食感になります。

凍天とは、凍み餅をフレンチドックのように、厚い衣につけて揚げたスイーツ。お餅の歯切れがよく、食べごたえがあります。よもぎの香りも広がります。あんこ入りとあんこなしが選べます。

凍み天

他にも、山形県では、納豆をお餅に絡ませた納豆餅、福島県郡山市には、炒めたキャベツとつきたてのお餅を和えたキャベツ餅など、さまざまな餅料理があります。

東北地方で、さまざまなお餅を味わいました。しかし、まだまだ序の口にすぎません。納豆餅、ふすべなど食べてみたいお餅が調べるにつれて増えました。

オマケ:つきたてのお餅を再現する方法

角餅2個に対し、水50mLを加えて電子レンジで500W 1分~1分半加熱することにより、つきたてのおもちを再現できます。つきたてのおもちに、砂糖醤油など好きな味付けをすると、より美味しくなります。

参考文献

尾形希莉子、長谷川直子,(2018) ,地理女子が教える ご当地グルメの地理学, ベレ出版.

鈴木啓之,(2020) ,旅に出たくなる 食の地図, 帝国書院.

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