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隣街なのに異なるラーメンの世界【燕三条でキッチンのリフォームを考えた後編】

結論 燕三条市と言ってはいけない

ものづくりの街、燕三条地域。燕市と三条市は隣同士の街です。しかし、燕市と三条市のものづくりの発展の歴史は、それぞれ異なります。三条市は鉄産業、燕市は銅産業から発展しました。
詳しくは、下記の前編の記事をお読みください。

今回は、燕市と三条市のラーメンの違いについて話します。隣同士の街なのに、ラーメンも異なることが興味深いです。

燕背脂ラーメン(燕市)

燕市のラーメンといえば、燕背脂ラーメン。JR燕三条駅より西側の地域で特に多く見られました。

背脂ラーメンが誕生した背景

  • 冬の寒さが厳しく、雪の多い地域のため、身体の温まる料理を好んだ。

  • 洋食器の工場が多く、力作業で汗をかく労働者は、塩分補給できる味の濃い料理を好んだ。

  • 休憩時間がバラバラだったため、時間が経っても伸びにくい太麺が採用された。

燕背脂ラーメンの特徴

鯖節、鰹節、煮干しなど海鮮系の出汁が効いた醤油ラーメンに、極太麺。玉ねぎのみじん切り、岩のりのトッピング。フタのように覆われた大量の背脂が特徴です。

燕背脂ラーメンは日本で初めてラーメンに背脂を加えたと言われています。元々、中国の寒い地域ではスープに豚の背脂を入れていました。背脂はフタの役割を果たし、スープを冷めにくくします。さらに、融点が低いため、液体になりやすく、スープに馴染みやすいこと、こってりして、より美味しくなり、腹持ちもよくなります。また、燕市は海が近いため、魚介が手に入りやすく、スープの材料に使われました。

現在では、酒麺亭 潤など東京にも進出しています。

ラーチャン家(新潟市)

新潟市のバスの玄関口、万代橋バスターミナル内にあるフードコートでいただきました。万代橋バスターミナルについて、こちらの記事をご覧ください。

カレーライスで有名な「万代そば」の右側に「ラーチャン家」という中華そばのお店があります。リーズナブルな価格でラーメンやチャーハンを食べることができます。今回は、背脂煮干し中華そばをいただきました。

背脂を浮かせることによって、フタのような役割を果たし、最後まで熱い状態で食べられます。煮干しとのりの風味が鼻を抜けます。背脂が加わることで、スープは、よりコク深く、マイルドになります。しかし、見た目ほどのしつこさは感じません。麺は平打風で、モチモチ食感でした。

背脂煮干し中華そば 580円

三条カレーラーメン(三条市)

信濃川の東側に三条市の繁華街が広がっています。三条市は、刃物類など金属加工業を中心に金物の工場が観られます。三条市では、カレーラーメンが終戦直後には食べられていました。

カレーラーメンが誕生した背景

  • 社長が多く、接待などで飲み屋さんも多かった。

  • 当時の社長や職人たちが忙しいため、出前でササッと済ませる食文化が中心だった。

  • 一杯で栄養もカロリーもとれるラーメン。

三条カレーラーメンの特徴

三条カレーラーメンの定義は、「カレー味のラーメン」。そのため、お店によってスタイルが異なり奥深いです。カレースープに麺を入れるタイプ、最初からライスを盛って最後にカレーライスにして食べるスタイル、カレーラーメンの上にカレールーをかけるスタイルなどがありました。中華屋さんだけではなく焼肉屋さんでも提供されており、定着していました。

飲んだあとのシメとしても食べられ、夏はスタミナ食、冬は身体を温める料理です。

意外なことに若い方への知名度が低く、知名度向上のためにカップ麺やレトルト麺も開発されています。

正広食堂(三条市)

今回は、北三条駅、燕三条駅から徒歩20分のところにある大衆食堂 正広で三条カレーラーメンをいただきました。
正広では、カレーラーメンだけではなく、醤油、味噌味など、さまざまなラーメン、タレカツ丼など、ご飯ものも揃っています。

カレーラーメンは、スプーン、福神漬も付いていました。具材を含めて日本の家庭、食堂でよく見かけるカレー。スープと合わせて中華麺と絡みやすくしています。スパイスは、クミンやコリアンダーなど約20種類をお店で調合して長期間熟成しています。市販のカレーの中辛レベルで、じんわりと広がる辛さです。スープは、カレーうどんのようなコク深さも感じ飲み干したくなります。麺によく絡みます。
半ライスを頼み、スプーンに一口大盛ってカレースープに浸して、札幌スープカレーのように食べてもよし。麺を食べた後、ご飯をカレースープの中に入れてカレーライスのように食べてもよいです。
三条カレーラーメンの食べ方は、人それぞれです。

正広食堂のカレーラーメン 800円


燕市、三条市でそれぞれ独自のラーメン文化が発展しました。ものづくりの街の歴史から、ラーメンまで、旅をしていると、燕三条と一括りに扱うことはできないと思いました。

営業情報

マーチャン家

営業時間 8:00~19:00
定休日  なし
アクセス JR新潟駅から徒歩20分

大衆食堂 正広

営業時間 11:00~14:30(日祝~15:00)
                17:00~21:00(月火休)
定休日 月曜日(祝日の場合、翌日)、火曜日夜
アクセス JR燕三条駅、北三条から徒歩20分

参考文献

鈴木郁夫、赤羽孝之,(2007) . 新潟もの知り地理ブック . 新潟日報事業社.

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