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アメリカで子供が産まれた話

2週間くらい前に第一子が産まれました。妻も子も元気です。うれしい。

今回はカリフォルニア、ベイエリアでの妊婦検診、出産、子育てについて2023年5月時点の情報をさらっとお話します。と言いつつ全部1つにまとめたので超長いです。

妊婦検診

予約

アメリカに来てしばらく経ってから、妊婦検診の予約を電話で行いました。
医師はNina Jaki先生で、病院はSutter HealthのMountain View Centerでした。先生は超笑顔で超陽気な先生でしたし、病院もきれいでした。ちなみにJaki先生は、以前お話ししたシリコンバレー在住の親戚の娘さんが産まれた時に取り上げてくれた先生らしいです。先生は予約の電話のときに受付の方に適当に割り当てられたのでこれは全くの偶然です。

ちなみにSutter Healthは正確には病院ではなく医療グループらしいです。ぶっちゃけ違いはよく分からないのですが、医師が雇用されているのではなく、個人事業主的な医師が集合して構成されている感じなんでしょうか。そもそも病院の定義を知らないのでここらへんは何か違うらしいというのだけご認識ください。

なお、予約の時の電話受付の人の対応は結構適当です。希望していたのと違う先生になっちゃいましたし。まあ英語がカタコトだったからな可能性もありますが。ちなみに頼めば通訳サービスも使えます。しかし産婦人科の方の対応はまだマシで、食事指導をやっている部署にも電話しましたがそこはさらに10倍適当でした。こちらに10年以上住んでいる英語ペラペラな親戚の方に代わりに電話してもらってこれだったので本当に適当です。「こちらから連絡します」「かけ直します」は全て嘘だと思いましょう。

受診

予約日時に病院へ行き、受付して受診します。毎回尿検査があるので、尿を取って持っていく必要があります。受診時に次回予約のためのボトルを渡されます。初回はその場でトイレ直行させられます。

あとは指示に従って検査を受けます。ちなみに病院では通訳サービスが使えるので英語があまり分からなくても大丈夫です。

20週くらいまで日本で検診を受診していたので、日本の先生に紹介状を書いてもらって、それを自分たちで英訳して持っていきました。ちなみに夫は検診に同伴するのが基本のようです。別にいてもやることは無いのですがそういうものらしいです。来ないと医師から心配されるそうです。

補足:そもそもの医療システムについて

日本で病院へ行きたい場合、自覚症状に応じて自分で病院を選び、病院に対して予約し受診します。
対してアメリカでは、自分のかかりつけ医(プライマリケア)を決めておき、そこから色々な専門医を紹介してもらい医師に対して予約し受診します。この結果、自分に関係する医師間で医療情報が自動で共有されるので医師と患者両方にとって良いシステムです。その代わり専門医へのアクセスに1クッション挟まるのでそこだけは面倒ですが。

かかりつけ医がいない場合、つまり私達夫婦みたいにアメリカにきて間もない時にいきなり産婦人科医に診て欲しい場合は、病院や医療グループのサイトから医師を調べて直接予約します。

補足:健康保険システム

健康保険のシステムも異なります。日本は国民皆保険制度がありますので、誰がどの病院にかかっても保険適用です。「保険に入ってますか?」みたいに聞かれることなんてありません。種類は違えど全員同じような保険に入ってますから。

対してアメリカの健康保険は任意かつ様々な保険会社・プランがあり、医師によって対応している保険会社が違います。自分の保険に対応している医師を選んで受診する必要があります。これが結構面倒。

分娩

分娩予約

アメリカでは妊娠検診を受ける病院と分娩をする病院が同じとは限りません。これも日本との大きな違いです。私達の場合はEl Camino Health Mountain Viewでの分娩でした。

ここで、病院が違うので分娩の予約をネットから自分で行う必要があります。「Meternity Registration」というやつです。Sutter Healthで「Meternity Registrationやっといてねぇ」と案内されるのですが、その案内の紙に書いてある手順が「Register to myCare」という違う種類の登録の手順でした。手順通りにやると「できないぜ」という返事が帰って来ます。結局自力でたどり着きました。ゆるすまじ。

小児科予約

このちょっと後あたりで小児科の先生の予約をしておく必要があります。手順は妊婦健診の予約と同じで、先生を探して「◯月◯日に産まれる予定なんで、その後診察お願いします」みたいな感じです。

病院へGO

予定日が近づいてきたら「陣痛が来たり、破水したらEl Camino病院に電話して指示を仰いでね」とSutter Healthから言われます。私達の場合は予定日が来たら陣痛促進剤で予定日どおりに出産することが決まっておりました。結局陣痛が来ることなく予定日前日になったので、El Camino病院から電話がかかってきて「予定日の午前1時に分娩のために病院来てね」と言われ指示通り病院へ向かいました。ちなみに営業時間外なので正面入口は閉まっており、下記のポイントから屋内駐車場に入って、中の案内矢印に従って産婦人科の受付まで向かいます。ちなみに当たり前ですが院内に入るのに写真付きID必須です。付き添いは1人までらしいです。

持っていったもの

  • チャイルドシート
    当たり前ですが車で退院するなら必須です。

  • 私と妻の着替え
    妻はずっと病院着なので退院時のものだけでOKでした。お部屋はシャワー付きです。

  • 子供の退院時の服
    半袖の服と帽子は病院からもらえました。


  • たくさん持っていきましたが病院で貰えたので無駄でした

  • お菓子
    チョコ系を大量に持っていきました。売店が近くに無いので持って行ってよかった。

  • スリッパ
    妻用に持っていきましたが、滑り止め付き靴下が病院から貰えてそれを使っていました。私が使いました。

  • 一眼レフカメラ
    念のため持っていきましたがほぼ使いませんでした。

  • 化粧品
    主に保湿のために使いました。カリフォルニアは超乾燥しますので…あとは産後の写真をしっかりキメて撮りたいなら必要かなと。

  • スマホの充電器
    長丁場なので必須です。

その他細々したものはありますが、小旅行に行くつもりで準備すれば良いのかなと思いました。

病院にあるもの

給湯室があり、氷、水、コーヒー、紅茶、牛乳、ジュース、アイス、ヨーグルト、シリアルなどが用意されています。水用のボトルも貰えました。朝昼晩の食事も出ます。メニューが配られるので、それに丸を付けて注文するスタイルです。

分娩準備

受付を済ませると個室が割り当てられます。広いです。ここで分娩まで行います。受付の目の前の6号室でした。ナースコールをしたら秒で来てくれる立地。

付き添いの人が寝るための簡易ベッドもあります。事前に他の人のブログなどで調べた感じ、寝心地が最悪クラスだと聞いていたのですが私は普通に快適に寝れました。テント泊登山の寝床に比べたら快適過ぎてあくびが出ます。比較対象が最悪すぎますが。

ちなみに分娩の日、院内の照明の電源が何故か落ちており、受付でまずキャンプ用のライトを渡されました。大丈夫か。

到着時の病室

そこからは医師からの質問に答えて、色々な同意書にサインして、服を着替えて、手に点滴用の太い針をぶっ刺されて(超痛そうだった)、陣痛促進剤を飲んで(このときは錠剤でした)、ひたすら待ちます。
ここで医師からの質問の中に「産まれたら割礼しますか?」というものがあります。日本だと一般的ではないので妻は日本語訳されても分からなかったようです。どう答えるかはさておき、一応認識しておきましょう。

分娩本番

5月5日午前3時頃
陣痛促進剤を飲み、出産スタートでした。

午前7時頃
陣痛が本格化、ここからちょくちょく子宮口の開きを診られる。陣痛促進剤追加。

10時30分頃
あまりにも痛いので麻酔が投与される。
いわゆる医療用大麻というやつで、妻は「これが大麻ってやつか……!」となっていた。気分が良くなるとか、またやりたいみたいになるようなもんではなかったらしい。痛みはしっかりなくなったらしい。

12時頃
麻酔が切れ1分周期の陣痛との戦い。人生の痛みのピークを更新したらしい。

13時頃
ある程度子宮口が開いたのでエピドラ(無痛分娩のための麻酔)開始。投与のためのカテーテル入れるのがめっちゃ痛かったらしいです。

13時30分頃
痛みが消え去り子宮口が開くのを待つ。

21時頃
かなり待ったが子宮口の開きが8センチから進まない。子宮収縮時に胎児の心拍数が下がる現象が確認される。この状態で子宮口を開かせるために陣痛促進剤を打つと胎児にかなりのストレスがかかってしまうため、このままだと帝王切開になると言われる。

姿勢を変えて胎児の心拍数が安定するかを確かめる。しばらく待ったら心拍数が安定したため陣痛促進剤(点滴)を追加。10時頃までに子宮口が開ききれば自然分娩、開いていなければ帝王切開となると言われる。

10時頃
子宮口が開いたため帝王切開回避。ちょっと泣いた。

23時頃から
いきみ開始。妻の頭や脚を持って手伝う。普通に助産師さんと一緒に働かされた。計測グラフを見ながらいきむタイミングが分かるようになった。

5月6日0時30分頃
息子爆誕。へその緒を切らせてもらう。その後すぐに妻の胸に乗せられて記念撮影。その時に妻の胸の上で人生初排便してた。

という感じの流れでした。妻よ、お疲れ様でした。無痛分娩と言いつつしっかり痛かったらしいです。この後妻は胎盤取られたり傷口を縫われたりしていたわけで、その間私はそれを見ながら助産師さんにオムツ替えやスワドルの巻き方などを教わっていました。

夫の立場からすると、立ち合い出産を通り越して普通に助産師さんと一緒に働いた出産でした。マジで全部見ました。ただこれは「やる?」「見る?」「触る?」に全部Yesと答えた結果なので、別に強制ではありません。多分。

アメリカではへその緒を取っておく文化は無いので、へその緒を切ったタイミングで「へその緒ください」と言わないと捨てられます。私もそう伝えたら「??なんで?」という顔をされましたし実際言われました。「ジャパニーズカルチャー」で通しました。ジップロックに入れられて貰いました。ガーゼに包んで病室で乾燥させてました。

ちなみに分娩の間、私はリアルタイムで関係各所にLINEやTwitterで状況を報告していました。「今、頭が見えました!」みたいな。妻の脚を持ちながらそれをやっていたと考えるとなかなかな行動ですが妻が良いって言ったので良いのです。多分。あと、分娩の間も普通に助産師さんたちは雑談してました。彼女らにとっては日常業務ですので。私も「日本のどこから来たの?」とかを聞かれたので一緒になって話してました。妻が良いって言ったので良いのです。多分。

入院

病室移動

分娩後しばらくして入院用の病室へ移りました。そこからは母子の状態を検査されたり授乳の方法を教わったり後述する諸々の手続きをしながら退院を待ちます。

小児科の予約

病院にいる間に、以前予約した小児科医が所属する病院(これもSutter Healthでしたが)から電話がかかってきて、予約を取ります。基本的に退院翌日の予約になります。

退院

5月8日11時に退院でした。産まれた日から2日後に退院のようなので、5月6日が始まって30分で出産した私達はほぼ最長の入院時間になりました。ここからお家で子育てスタートです。最後にチャイルドシートの装着確認を受けて退院です。

病院で貰ったもの

基本的に入院中に使った消耗品は全部もらって帰れます。病院側からしてみれば残されていっても捨てるしかないので。多分あげ忘れているのもあるでしょうが覚えている限りは下記の通りです。

  • おむつ、おしりふき2パック分くらい

  • 赤ちゃんの服2着、帽子2つ

  • スワドル(として使うタオルケット)

  • 液体ミルク

  • 入院中に使った搾乳機の部品(Medela製)

  • ニップルシールド

  • シリンジとチューブ(授乳用)

  • 赤ちゃん用シャンプー

  • 哺乳瓶などを洗うための食器用洗剤

  • 赤ちゃんの足型

  • 除菌用ハンドジェル

出産後の手続き

出産後に必要な主な手続きを挙げます。

アメリカの出生届

アメリカで産まれた場合、その子供は自動的にアメリカの国籍(市民権)を得ます。出生届本体は病院が書いてカウンティへ提出されます。よって私達が正式な出生届を書くことはないのですが、子供の名前等の必要情報を病院にお知らせするための用紙を書いて病院へ提出します。緑色の用紙でした。両親の名前や病歴、SSNを申請するか否かなどを聞かれます。

提出した用紙

子供の名前は以前から考えていた普通の日本名のアルファベット表記とし、ミドルネームも付けました。日本の出生届を出す時にミドルネームを抜くことが出来るので、日本国籍ではミドルネームなしです。ミドルネームを英語圏での名前として使えるなということで付けました。
名前を考える際には、現地の方に日本名とミドルネームに違和感が無いかみたいな確認を取りました。
まず日本語名のアルファベット表記のほうを予備知識無しで見せられた時にどう読めるかと、ミドルネームがおかしくないかです。
特にミドルネームは英語名なわけで、日本語にしたときのカタカナ表記が同じでも綴りやイントネーション、ルーツが違う場合があったり(フランス系、ドイツ系、スペイン系など)、良く知っている名前は実は愛称、略称だったり(アレックスはアレキサンダーの略みたいな)、日本同様名前の流行り廃りがあるので、現地人に相談するのがベストだなと思いました。特に相談する中で盲点だったなと思ったのはイニシャルとして見た時の並びです。アメリカでは契約書途中に書く「確認しました」みたいな軽いサインはイニシャルで行うため、イニシャルとしての並びの違和感を指摘されたりしました。同じ文字が来たり、有名なものの略称と同じだったりすると何か気持ち悪いとかですね。ここらへんは感覚もあるので、現地の複数の人に確認を取るのがいいなと思いました

出生証明書の発行申請

出生証明書という書類は日本でいうと戸籍謄本みたいなもので、パスポートの申請やその他公式な申請に必要です。日本への出生届を出す時にも必要です。
この申請はカウンティに対して直接行うものです。ネット、郵送、実際にオフィスへ向かうなどの選択肢があります。郵送の場合は公証人のサインが必要です。エルカミノ病院の場合は公証人の方が病院にやってきて諸々の書類を書いてくれて「あとは申請費用分の小切手を同封してポストに投函してね」の状態にしてくれます。多分部屋に電話がかかってきて会議室に呼び出されるので大人しくそれに従って書類を書けばOKです。ちなみに発行まで6週間ほどかかるらしいです。

日本の出生届

日本人である我ら家族にとって一番大事です。産まれて3ヶ月以内に必要書類を揃えて領事館(私の場合はサンフランシスコ総領事館)に申請しなければ子供は日本国籍を失います。まだこの申請はしていないのですが既に分かっている注意ポイントが2つあります。
まず、この申請に前述の出生証明書が必要なので、出生証明書の申請は早めに終わらせておく必要があります。次に、日本の出生届けはPDFでダウンロードしてA3サイズで印刷すればよいのですが、アメリカにはA3サイズの用紙が存在しません。アメリカのスタンダードはLetterサイズで、縦横比がA3、A4サイズなどと違います。つまり、日本からプリンターと用紙を持ってきてない限り、ダウンロードしても印刷出来ません。無難なのは領事館に行って用紙をもらってくることです。郵送でも取り寄せ可能です。

本当にこれは忘れないようにしなければ…

小児科受診

小児科へGO

退院の翌日、予約した時間に小児科へ向かいます。私達が予約したのは下記です。Sutter Health系列です。予約時に住所を伝えられていたのですが、そちらは北にある別の建屋で「こっちじゃないぞ」と言われました。初診表を書いて、診察受けて、次回の予約をして終わりです。次は2週間後です

アメリカの便利なシステム

これまでの流れは以上で終わりですが、最後にこれまで活用したアメリカ特有の制度を書いておきます。

Baby Registry

ベイビーレジストリとは赤ちゃん用欲しい物リストみたいなやつであり、大抵のネットショップでこれを作れます。作るとそのベイビーレジストリに入れた商品が割引価格で買えたり、Welcomeパッケージという赤ちゃん用商品サンプル詰め合わせが無料で貰えたりします。私はもっぱらAmazonを使用していました。たまにどう考えてもベイビー用品じゃないよなみたいなものを試しにベイビーレジストリに入れてみたら、割引対象だったりもしました。

搾乳機購入補助

オバマ政権の頃、搾乳機の購入が保険適用になったそうです。つまり早い話が保険に入っているなら搾乳機が無料で貰えます。仲介業者みたいなサイトから、自分の保険の情報を入力する

とすぐ送られてきました。私達の場合は翌日届きました。使ったサイトは下記ですが、他にも色々サイトがあります。保険適用には上限金額があるらしく、金額が高い商品はお金を払う必要があります。私達が頼んだ下記のやつは無料でいけました。Medelaのやつだったので、病院で貰った部品と互換性があり流用もできました。

さいごに

出産関係のお話を全部載せしたので最長の記事になってしまいました。以上です。子供は今のところ理不尽泣きもなく割りと長く寝てくれているので、わたしたちもよく眠れています。ここに記したことが、いつか誰かの役に立てば幸いです。

退院時の写真

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