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定年女子のありふれた日常 冬野菜のおいしさ再発見


カリフラワーは甘い!

ひとくち味見をして、思わず「あまーい!」とスピードワゴンの井戸田潤のように叫んでしまった。

うちの家庭菜園で、スーパーの店頭に並ぶ品の1.5倍ほどもある巨大なカリフラワーが採れた。大きさは立派だが、かなりの部分を虫に食われており、見てくれはあまりよくない。虫に食われた部分を取り除いていたら、子房どころかボロボロのかけらになってしまった。

カリフラワーのかけらを鍋に入れ、コンソメ一個とひたひたの水で茹でる。あっという間に柔らかくなったので、ミキサーでトロトロの状態に。そこへ牛乳か生クリームを入れて温め、塩などで味を調えればポタージュスープになるのだが、調味する前のカリフラワーがどんな味なのか試してみたくなったのだ。

茹でてマヨネーズをかけるだけでも十分おいしいが、カリフラワーがカボチャやサツマイモにも負けない甘さを秘めているとは知らなかった。牛乳を加えたら乳白色のなめらかなポタージュスープになった。

ブロッコリーがまるでスナック菓子!

カリフラワーと同じ畝でブロッコリーも育っている。ブロッコリーも茹でてマヨネーズをかけるだけでおいしいが、料理の付け合わせやシチューなどにも重宝する。火の通りがよいわけではないので茹でて食べるものだと思い込んでいた。

しかしあるとき、フライを揚げていて卵やパン粉が余ってしまったことがあった。何かフライになりそうなものはないかと冷蔵庫を物色したら使いかけのブロッコリーがあったので、子房に分けて衣をつけて揚げてみた。

外側はサクサクと食感がよく、中はやわらかくて茹でたときよりブロッコリー本来の味がはっきりわかる。薄くまとわせた衣がキツネ色になるくらいしっかり揚げると全体がカリカリしてほのかな苦みもあり、まるでスナック菓子のよう。思いがけないおいしさに箸が止まらず、ブロッコリー1個があっという間になくなってしまった。

大根も甘い!

家庭菜園で一番たくさん育っているのは大根。大根はおでんやブリ大根など煮てもおいしいし、おろしや生で食べてもおいしいし、漬物にするのもいい。しかし最近ハマっているのは焼いて食べること。

大根を5㎜くらいの厚さのイチョウ切りにして4分くらいレンジにかける。顆粒状の中華だしをまぜ、片栗粉をまぶす。中華だしのかわりに塩コショウでもよいし、粉チーズを足してもよい。それをフライパンで両面がキツネ色になるまで焼いたらできあがり。外側はカリッとして内側の大根はジューシーで驚くほど甘い。味付けの塩分が大根の甘さをより引き立てているようだ。

冬野菜本来のおいしさを味わいたい

家族はカリフラワーのポタージュを「こじゃれたレストランのメニューになりそう」と言い、ブロッコリーのフライや大根の焼いたのを「居酒屋みたいなメニューだ」と言う。一応ほめているつもりらしい。

冬野菜が甘いのは、寒さで凍ることがないように、細胞に糖を蓄えるからだそうだ。付け合わせや彩りや和洋中さまざまな料理に対応できる淡白な味わいから、いつも脇役として重宝されている野菜たち。でも、旬のこの時期、味付けは最小限にして、凍える大地と冷たい風が与えてくれる恵みをしっかりとかみしめたい。

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