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タイでの起業から3年が経ちシンガポールで本社登記。創業期は終わり、変わらなくてはならないと感じる3つのこと

弊社GAOGAOは2018年にタイで登記を行ってからちょうど3年間が経ちました。その間で本社シンガポール、子会社に日本とタイ、加えてGAOGAOゲート株式会社という教育事業に特化した子会社が1つ、トータルで法人が4つになり人数も増えフェーズが変わってきたと感じています。本記事では会社のフェーズの変化と経営する立場として今思うポイントをこれまでの振り返りも兼ねて軽くまとめます。

弊社の創業期と今

遡ること3年前、弊社の始まりはクラウドファンディングでした。当時バンコクで @kengaogaoasia@masagaogaoasia と3名でエンジニアのコリビングスペースを立ち上げました(Campfireで募集したページです)。

元々起業や海外という舞台でエンジニアを経験をしていた私が「もっと日本のエンジニアの方に起業・海外体験をしてもらいたい」、「もっと日本のSI/SEのようなネガティブなイメージではなくクリエイティブであり、ポジティブでありたい」、という想いが籠った「世界中でモノつくりの連鎖を起こす」というビジョンは創業当初から今も変わっていません。

実は当時は今の事業形態は原型すらなく、自分たちのやれることと現場のニーズから事業を形作るようなアプローチを取っていきました。クラウドファンディングからしばらくして、私の起業1社目の経験を通じたノウハウを活かしタイと日本の起業家向けの開発支援や投資を行うサービスを開始したのが事業の始まりです。その事業は「GAOGAOスタートアップスタジオ」という名称になり、今では他に「GAOGAO DXスタジオ」、「GAOGAOゲート」と3つの事業が並行して進んでおり東南アジアと日本を中心にお客様とエンジニアを持つ組織になりました。

2021年現在、私は1年前からタイのビジネスの横展開として新拠点のシンガポールに移住し、今年に入ってからNUS(シンガポール国立大学)のシンガポール人インターンシップ生も雇用し、日本法人の社員をこれから転籍でシンガポールに来てもらうビザの手続きも終わった段階です。去年からパンデミックの中しばらく1人で拠点立ち上げに来ていたので、こうやって海外でチームとしてやっていけることにワクワクしています。

現在並行しながら日本国内やタイでも弊社の中心メンバーがそれぞれがミッションを持ち拠点立ち上げに動いています。このように毎年会社が新たなチャレンジをして変化を起こして前に進んでいく体験は言葉には表すのが難しいやりがいと感動があります。

もう創業期ではなくなった

最近は創業期とは少し異なる経営の難しさも日々感じるようになってきました。最初の1-2年を創業期、と呼ぶとすると、今はもう弊社は創業期のフェーズではありません。グロース期と呼べば良いのでしょうか。

最近は組織に参画するメンバーの方も増え、海外のメンバーも参画し、自分よりも年配のメンバーの方々も参画し、社内で予算をつけて新規プロダクト開発も始まり、フェーズが変わってきた感じるポイントがいくつかあります。それと同時に、自分自身今までのやり方を変えていかないといけないと感じる点も多いです。創業期は割と信頼と惰性で事業を進めていた感覚があり、今ではそのやり方が通じなくなってきていると感じます。

そのようなフェーズがまさに変わりつつあると感じている中で自分の中で日々考えさせられている価値観を今回の記事ではまとめました。他にも色々思い当たるのですが、長くなり過ぎてしまうので3つに絞ります。これはつまり、会社の成長と共に自分自身が変わっていかなければならないと感じていて、まだしっかり実践をできていないことです。

1. 短距離走から長距離走へ

事業を成り立たせるためには価値をきちんと提供することが必要です。当然フェーズが変わったとしてもお客様へ提供する価値を第一と考えて、そこを試行錯誤することは変わらず続ける必要があります。ただし、創業期に求められるスキルとグロース期で求められるスキルは結構異なると最近感じています。

創業期に求められる力はお客様が一切いない状態からお客様への提供価値を考えて生み出す力です。例えば、ヒアリング、MVP制作などをクイックに進めることができる方が重宝されます。ある意味、短距離走が得意な人です。

一方、初期ユーザー獲得を終えてある程度の価値提供の方向性が定まったフェーズを超えると、0->1で何かを生み出すことよりも価値提供の改善プロセスに比重が寄っていきます。以下のツイートにあるように、お客様が何社かついて事業を伸ばすフェーズでは、数値を見て長距離のマラソンをできる人材がよりキーパーソンになってきます。

このフェーズの変化に応じて私自身も仕事の内容が以前とはかなり変わっています。

創業期、私の仕事は、プロジェクト遂行実務80%、事業の企画20%という感じの割合でした。今は時間の使い方としては、プロジェクト遂行実務30%、採用30%、営業 15%、広報 15%、社内教育 10%くらいでしょうか。プロジェクトの遂行の時間はかなり減り、その代わり会社の事業を伸ばすための運営業務が多くなっている状態です。

特に今フォーカスしているのは、事業のKPIとして定めた数字をトラックして、その数値を上げていくことです。毎週定めた数値をトラックして社内の中心メンバーに共有し、うまくいっていないところは課題を分析して施策を打っていきます。実際のところ会社を作ったばかりの創業期(企画・アイデア段階の何もない時)はKPIすらトラックする必要がありませんでしたので、この仕事の進め方に変わったのは当時との大きな違いです。過去0->1に多く関わっていた創業メンバーの仕事の変化はまだうまくトランスフォームできていないような感覚があります。自分達としても変わっていかないといけないと日々感じるポイントです。

2. 会社のビジョンと個人の目指すところを重ね合わせる努力を行う

創業期メンバー同士は阿吽の呼吸で物事を進めることができます。会社を一緒に作るところを体験しているので、創業期メンバーへはビジョンの浸透のための努力はそこまで要しません。しかし、ある程度会社が出来上がった段階で参画されるメンバーにはこのビジョンが共感されないまま仕事に入ってしまった際に、何か仕事が合わずに去っていくという方もいました。その当時は、自分は「まぁうちのカルチャーに合わなかったんだな」くらいしか考えておりませんでしたが、メンバーのフィードバックを聞いたりする中で実際には自分がカルチャーを浸透していく努力をしていなかったのが原因だったのではないかと思うようになりました。ビジョンを浸透させていないメンバーにとっては与えられた仕事は単なる仕事なんです。もし他の会社で面白そうな仕事があったら容易に去っていってしまいます。会社のトップや中心メンバーが意識的にビジョンを浸透させるための努力を行わないと、中心メンバーによる内輪の会社から脱することができません。

このような経緯もあり今は以下のような施策を継続的に実施しています。

・新しいメンバーとはなるべく初めは密にコミュニケーションを取る(例えば、オフラインで会う、飲み会など)
・discordで中心メンバーと常時話せる環境を用意する
・毎週のランチ会や勉強会などのイベントを通じて中心メンバーとコミュニケーションを取れるようにする
・会社として目指すところの共有をマンスリー定例などで行う

これくらいしないとカルチャーを浸透させて教育もしていくことはできないと思っています。(これでも足りないと思うくらいです)

一般的にスタートアップのファウンダーは行動力のある人材だと思います。達成したいビジョンがあり、そこに向けた行動力があるからこそ、会社を立ち上げてメンバーを集めて事業を行なっています。ただ、会社に後からジョインする人は必ずしもファウンダーと同様にビジョンがあってそこに向けて行動ができる訳ではありません。新しく入ったメンバーに対してファウンダーが痺れを切らしてはいけません。ファウンダーは会社のメンバーが自身で動ける環境を作っていく必要があります。

私自身もマイクロマネージメントはあまり得意ではないので、育てたいメンバーには同じ業務に入ってもらい自分で行動しその背中を見せて、それに倣って徐々に補助を外していくというOJT的なやり方を行っています。そこでポイントなのが、本人の目指すところをヒアリングした上で会社の目指すところと重ねていくように導いていくことです。なかなか難しいのですが、これを実現し、自分で考えて行動をできる人材を評価するカルチャーを浸透させることが、事業の数値を伸ばしていく上で大事な方法だと思います。

こんなことを言うとブラック企業の社長かと思われてしまうかも知れないですが、私は「仕事を仕事だと思わなくなっている状態のやつが強い」と考えています。やりたいことを実現できている過程にいる人は強いです。会社としては、個人のやりたいことをどう実現するか、そこをうまく合わせて導いていくことが大事です。

OKRはその手法としては有効だと思いますが、弊社もうまくやらないと形骸化してしまいそうという危惧はあります。より良い方法を日々模索しながらではありますが、「会社のビジョンと個人のビジョンが一致しているという指標」、この「定期的に矢印を合わせる確認作業」、これはスタートアップとしては必ず意識して取り組んでいかなければならない仕事の一つだと言えます。

3. 少し余裕を持つ

実際に事業を推進するにあたって余裕があるわけではないのですが、会社の経営層が日々の仕事に忙殺され余裕のない状態だと、会社全体として何か新しい企画や変化を起こすことが難しくなってしまいます。また、未来を見据えて今どう動くべきかを考えることをおろそかになりがちです。そうはならないように適度に余裕を持てる状態をキープするのは案外見落としがちな企業グロースのポイントだと感じています。

最近私自身も少し未来について考える時間を取ることを意識するようになりました。来年・再来年どうするか、そのために今どう動くか。このようなことを考えて実施できる余裕をもっと持てるようにしていきたいと思います。

会社の中心メンバーたち自身が気持ちよく働けていることで、気持ちよく働ける環境を用意することができると思っています。余裕がないと社内のこと・メンバーのことは後回しになりがちです。コツは自分自身を客観的に思い描いてみること。「自分がうちの会社のメンバーだったらこの社長のことをどう思うだろうか?」そう思うと、色々反省点が出てきます。

日々少しでも良いので社内のメンバーの声を聞く。そのような時間を持つことが中・長期的な成長の鍵となってくるはずです。会社の経営層が忙しくてピリピリしている環境に入りたい社員の方はいないですよね。気をつけていきたいと思います。

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以上、企業のフェーズの移り変わりで経営者として求められるスキルが変わってきていると感じます。起業家 vs 経営者というような議論があると思います。徐々に組織が大きくになるにつれて、徐々に自分も創業期のメンバーも今までのやり方を変えて成長しなくてはならない時期に差し掛かってきたなと感じます。

この記事が既に起業されて悩まれている方、もしくは、これから起業する方など、どなたかの参考になれば幸いです。何か私はこんなことを感じている、などコメントなどありましたら是非お気軽にお願いいたします!

最後に

弊社GAOGAOでは現在スタートアップからDXまで多くのプロジェクトが日本と東南アジアを中心に並行して動いています。エンジニア(特にRails/Laravel/JS)、デザイナー、PM、広報・採用担当者などあらゆる職種が現在切実に足りておりません!

業務委託でOKですので、ぜひエンジニアが世界や起業にチャレンジして、世界中でものつくりの連鎖を起こしてワクワクする世界を作りたいと思っている方おりましたら是非お気軽に @tejitak まで連絡をお願いします!

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