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キリスト教を知るために読んだ本まとめ

歴史や思想の面白さ

最近になって歴史や思想を学ぶことの面白さに気づいたのですが、その面白さの一つの理由は「昔の人が何を考えて、どのように暮らしていたのか」「どのように変化して今の社会になっているのか」などが知れることにあると思います。

考え方は、自分が体験したことや聞いたことなどによって作られます。同じ場所、同じ時代に住む人は、似たような考え方を持っていることが多いですが、それは住む場所や時代が変われば、全く異なる考え方があることを意味します。

本を読んで新たな視点を得ると、今まで当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなることがあります。それ自体が面白い体験ですし、今まで自分を縛っていた考え方から解放される喜びもあります。

宗教に対するイメージ

科学的世界観が広がっている日本において、宗教に対するイメージはやや否定的な印象があります。義務教育で宗教について詳しく学んだ記憶はありませんし、私自身も宗教というものに対して「否定はしないけれど、自分は信じない」という認識でした。

Wikipediaによると、世界で一番信者が多い宗教はキリスト教で、世界で23億人、割合にして世界人口の31%を占めています(日本では人口の1%)。なぜここまで広まっているのか、個々の人々は宗教からどのような利益を得ているのか、私自身の直感に反する事実を腹落ちさせたいと思い、何冊か本を読んで学んでみることにしました。

まだ途中ではあるのですが、何冊か本を読んでふんわりとした理解を得たので、一旦区切っておくためにも現時点で読んだ本について整理してみようと思います。

読んだ本

キリスト教は役に立つか

著者の来住英俊さんはカトリックの神父です。東京大学を卒業した後大企業に勤め、30歳の時にカトリック信者になり、その一年後に退職して神父の道を歩まれました。自分の意思でキリスト者になった立場から、信者になってより幸福になったのはなぜなのかを、宗教的な言葉を使わずに説明します。

本書は、キリスト教信仰を「イエス・キリストと共に、人生の悩みや喜びを語り合いながら旅路を歩むこと」と要約します。そして、聖書のエピソードを引用したり、人と人との対比を用いながら、共に歩むとはどういうことなのかを説明します。

本書を読んで、キリスト教の祈りや信仰に対するイメージが大きく変わりました。キリスト教の祈りの本質は対話だと言います。それまでは神に対して敬虔な祈りを捧げるといったイメージを持っていたのですが、キリスト者にとってイエスとは、日常の中で語り合えるような身近な存在でもあるということが分かりました。

新約聖書入門

ベストセラー小説「氷点」の作者の三浦綾子さんによる、新約聖書の解説本です。三浦さん自身は、病気で療養中に聖書を読み始めたのがきっかけとなり、クリスチャンになっています。

聖書は複数の書物が集まってできた本です。新約聖書が27冊、旧約聖書が39冊の、合計で66冊の書物で構成されています。新約聖書の最初の4冊が福音書と呼ばれるもので、福音書にはイエスの誕生から復活までの物語が描かれています。

本書は、新約聖書の1冊目のマタイ福音書に紙面が多く割かれています。マタイ福音書の解説で一番印象に残っているのは、イエスという人物の偉大さが感じられるエピソードです。福音書からは、イエスが人間の性質、本質を理解していたことが読み取れます。

聖書を一人で読み進めることは困難です。なぜかというと、読み飛ばしてしまいそうな部分に重要な意味が込められていたり、シンプルな表現のためにどのように解釈すれば分からない部分があるからです。そのため、本書は聖書を読み解く助けになってくれます。

仁義なきキリスト教史

キリスト教の歴史を、やくざの活動に見立てて書かれた小説です。テーマとしては、イエスの誕生から復活まで、パウロの宣教活動、叙任権問題、第四回十字軍、ルターの宗教改革が扱われています。

フィクションではありますが、多くの文献を参考にして書かれており、キリスト教の歴史を学ぶ上で参考になります。盛られている部分については章末の解説に書かれています。著者曰く「学問的誠実さとエンタテインメント性
を天秤にかけた場合は、大抵後者を優先した」とのことです。

史実を淡々と学ぶ、覚えるというのは若干のつまらなさを伴う活動ではあるので、本書は興味を持ってキリスト教の歴史を学ぶきっかけを作ってくれました。

読んでいる本

ノンクリスチャンの視点からの解説も見てみたいと思い、阿刀田高さんの「新約聖書を知っていますか」を読んでいます。

あとは、聖書の新共同訳がKindle Unlimitedにあったので、読んでみようと思っています。880ページと膨大なので、とりあえず最初のマタイ福音書を読む予定です。

まとめ

一口にキリスト教といっても様々な側面がありました。今回読んだ3冊の本にはそれぞれ、信仰から得られるもの、聖書はどういうものか、キリスト教の歴史が書かれていました。他にもキリスト教がなぜ広まったのかを知るためには、宣教の歴史について調べてみるとよさそうです。

学んでみてよかった点は、信仰の感覚を肌で感じることができたこと、聖書がどのようなものなのかを知ることができたことです。信仰の理由は人それぞれだと思いますが、一つの視点を得ることができました。

本を読んでいるとキリスト教に関することがしばしば出てきます(最近読んだ歴史の本にも、マタイ福音書からの引用がありました)。まだスカスカな知識ではありますが、本で出会った時に今までより背景を深く理解できたり、関連づけて理解できるようになることもよかったところです。

参考

以下のサイトを参考に読みたい本を選びました。

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