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キトラ古墳天文図を隅々まで見たい!を叶える一冊。

古墳ファン、壁画ファン、そして天文学ファンが楽しめる飛鳥時代の素敵な遺産・キトラ古墳天文図
古墳石室の天井部分に描かれた星図は、現実の星空と整合しない部分はあるものの、精密な天体観測で作られた天文図を元に描かれたと言われています。

キトラ古墳天文図

科学的・歴史的価値だけでなく、朱線で描かれた天の区分、金箔押しの星々、それらを繋ぐ線の生み出す図像は美術品としても素晴らしいですね!

実物が見たい!

そんな貴方は文化庁HPで壁画公開時期をチェックしてみましょう。
公開内容は毎回変わりますが、天体図も公開されることがあります。
1300年の時を経ても金箔がきらきら輝いて綺麗ですよ。

今は公開期間じゃない!もしくはあんな短い時間(15分くらい)じゃ満足できない!
そんな貴方に今回おすすめするのは『キトラ古墳天文図』ファン必携(?)書籍、その名も『キトラ古墳天文図 星座写真資料』です。

『キトラ古墳天文図 星座写真資料』
奈良文化財研究所研究報告第16冊
発行元:奈良文化財研究所
出版年:2016/03
判:A4、ページ:74+8

六一書房HP https://www.book61.co.jp/book.php/N59932

主に明日香村周辺の考古学資料の整備・研究を行っている奈良文化財研究所が定期的に出している『研究報告』No.16。
オリジナルは2016年発行だそうですが、2024年1月にキトラ古墳壁画館『四神の館』売店で購入したものは2022年の第3版でした。定期的に再発行されているみたい。

キトラ古墳壁画は2010年までに石室本体から漆喰ごと取り外され、保存施設に移されました。その準備段階で数万枚に及ぶ詳細な石室内部フォトマップが作成されており、これだけでも立派な文化財と言われています。
その膨大な写真の中から天井部分の天文図を写したものを抜き出し、解説をつけたのがこの冊子です。

第一章では、キトラ古墳天文図の概要が説明されています。三つの円の一つは古代中国天文学における内規に当たるとか、西洋天文学との対比、四神思想との対応(二十八星宿)等々、基礎知識が簡潔にまとまっています。概要を理解するにはとりあえずこれで十分。

第二章がフォトマップ本体です。
キトラ古墳天文図から特定した74の古代星座を詳しく解説。
各星座ごとに見開き二ページを使い、左ページで星座の形を金箔の残り具合、下書き線の様子などを図像化し、文章による補足説明をプラス。右ページでは正面光・斜光で撮影した写真を並べて掲載。表面凹凸も確認出来ます。資料性抜群。
絵を描きたい人にも、天文図を間近で眺めている気分になりたい人にもおすすめです。

こんな接写写真じゃ近すぎて全体が分からない?
大丈夫、巻末付録に全体図写真がありますし、一番最後には大きめの天文図全体ポスターが付いているので大満足。至れり尽くせりですね。

通販では品切れ表示ですが、明日香村の施設・売店などには在庫があることも。再販の可能性もありますし、古本も見つかるので、探せば入手できる感じでしょうか。
キトラ古墳天文図ファンなら絶対に手に入れておきたい一冊です。


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