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【米国株】投資家の皆様、円高リスク対策してますか?

米国株で勝っても、円高で利益が減ってしまって、モヤっとすることありませんか?
現在は米株高と円安のダブル効果で好調なことと思いますが、現在のドル円相場は1990年以来の円安水準にあります。今後は日米の金利差縮小により、リスクは円高方向に傾いていると考えます。
そこで、FXでのドル円ショートや米国株の信用売り、日本株の円高銘柄投資など、いくつかの対策を検討しました。
中でも日本株円高銘柄によるヘッジに焦点を当て、「円高銘柄」と言われる日本株の中から、改めて過去の円高で、実際に恩恵を受けた銘柄をピックアップしました。
箇条書きと図表で簡潔にご説明します。


円高リスクを懸念する背景

  • 現在のドル円相場は1990年以来の円安水準。

  • 現在の円安の主因は日米金利差。

  • 今後は日本の利上げ(?)と米国の利下げにより金利差が縮小し、リスクは円高方向に傾いていると考える。

米国の金利動向について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://note.com/tender_deer595/n/nd89524ee6804

円高リスクへの対策案

※我々の理解に基づきます。訂正・追加点等、コメント頂ければ幸いです。

  • FXでドル円をショート:スワップポイントのコストが年間5%ほど

    • 高金利の国の通貨を売ると、高金利の国の金利、マイナス、自国の金利、分のスワップポイントというコストが生じる

    • 1年間FXのドル円ショートポジションを持ち続けるコストは、今のスワップポイントが変わらないとして、5%ほどのコストが生じる

  • 米国株信用買い:為替リスクはヘッジできない。かつ、貸株料と買い方金利で年間6.5%ほどのコスト。利益は為替リスクに晒される

    • 楽天証券、SBI証券等で日本円等を担保にした米国株の信用取引が可能

    • (A) エントリー時にその時点の為替でポジションを円換算

    • (B) エグジット時にその時点の為替でポジションを円換算

    • (B) - (A)が利益となるため、エントリー時よりエグジット時の方が円高(例150円→130円)であれば、(B)が小さくなり、利益は小さくなる(為替ヘッジにならない)

    • 貸株料として2%(年間)、買い方金利として4.5%(年間)のコストがかかる

  • レバレッジETF:信託報酬、レバレッジのコストが足を引っ張り、対象資産が動かなければ損になるリスク

    • TQQQ (3倍レバレッジNASDAQ-100)、SOXL (3倍レバレッジ半導体指数)、TMF (3倍レバレッジ長期国債)などが存在

    • 対象資産の3倍などに拡張された値動きの力で、ドル円影響を薄めようという考え方

    • ただし、一般論として信託報酬が高く、レバレッジを掛けるためのコストがかかっているため、対象資産の価格が動かなければ損になる、など考慮店がある

  • オプション:ドルのエクスポージャーは利益部分のみに限定できるが、株の代替としては使い難い

    • 米国株オプションがWebull証券などで売買可能

    • コールの場合、決められた決済時点に株価がストライク価格を上回れば利益となる

    • 一般的に、オプションプレミアムは対象となる株の数%の価格で取引される

    • 利益は、決済時の株価-ストライク価格-オプションプレミアムとなる

    • 株を買えば売買金額全体がドルのリスクに晒されるのに対して、為替リスクは利益の部分のみ

    • ただし、保有期間が限定されている、決済時点に向けてオプション価値が日々減って行くなど、株とは違う特性があり、株の完全な代替にはならない

  • 米国株信用売り(ショート):貸株料として年間2%のコストがかかるが、検討に値する

    • 楽天証券、SBI証券等で日本円等を担保にした米国株の信用取引が可能

    • (A) エントリー時にその時点の為替で株価を円換算

    • (B) エグジット時にその時点の為替で株価を円換算

    • (A) - (B)が利益となるため、エントリー時よりエグジット時の方が円高(例150円→130円)であれば、(B)が小さくなり、利益は大きくなる

    • ただし、貸株料として2%(年間)のコストがかかる

    • 米国株ロングのポジションに加えて、下落すると考える米国株をショートしておく、というのは検討に値するかもしれない

  • 日本株の円高銘柄に投資:市場全体の下落に引っ張られないよう銘柄選定が肝要

    • 円高により恩恵を受けると見られる株への投資

    • ただし、円高時には日本市場全体として下落傾向の可能性が高く、それに引っ張られない銘柄を選ぶ必要がある

    • また、ヘッジとして保有している銘柄の個別事情(決算など)によっては追加の損失となる可能性を持つ

日本株の円高銘柄の抽出方法

  • ネット検索で円高に強いとされる銘柄をリスト化し、概ね時価総額100億円以上に絞る

  • 【①長期為替感応度】長期の為替感応度を計算

    • (テクニカルには、株価を被説明変数、ドル円に株式市場に影響を与えると考えられる要素2つの合計3つを説明変数とする。自然対数に変換し回帰分析。)

  • 【➁円高・株安時に上昇】円高・株安時2つの時点で上昇したかを確認

    • 1) 2022年末

    • 2) 直近、2024年2月末~3月初

  • 我々の好みとして、PERが高くない銘柄

日本株の円高銘柄の抽出の結果

  • 【①長期為替感応度】【➁円高・株安時に上昇】の両方を満たす銘柄

    • ワッツ (2735)

    • ニトリホールディングス (9843)

    • ワークマン (7564)

    • セリア (2782)

    • エイチ・アイ・エス (9603)

  • 【➁円高・株安時に上昇】を満たす銘柄

    • 北陸電力 (9505)

    • 北海道電力 (9509)

    • ニチレイ (2871)

    • 四国電力 (9507)

    • ラクト・ジャパン (3139)

    • ニッスイ (1332)

    • エービーシー・マート (2670)

    • アダストリア (2685)

    • しまむら (8227)

    • パルグループホールディングス (2726)

ドル円と株価のチャート

【①長期為替感応度】【➁円高・株安時に上昇】

【➁円高・株安時に上昇】


留意点

  • 抽出された銘柄はあくまで過去の値動きのみからの機械的な抽出

  • 各銘柄の財務内容や事業の特性などは十分に吟味する必要あり

  • 自身のポートフォリオに合った対策を検討することが重要

付録:検討対象のフルリスト

ドル円感応度:平均的にドル円1%の動きに対して、株価が何%動いたか
青ハイライト:【①長期為替感応度】【➁円高・株安時に上昇】
赤ハイライト:【➁円高・株安時に上昇】

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