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prime videoで『シャイロックの子供たち』観ましたー。


個人的な評価

ストーリー  B
脚本     B
構成・演出  A
俳優     S
思想     A
音楽     B
バランス   B
総合     A-

S→人生に深く刻まれる満足
A→大変に感動した
B→よかった
C→個人的にイマイチ

内容のあらすじ(ネタバレなし)

 内容的には、東京第一銀行・長原支店に勤めるエリート銀行員・滝野真(佐藤隆太さん)が、石本浩一(橋爪功さん)に必ず利益が出ると唆され、江島エステートという実態のない不動産会社に10億円融資して回収できなくなり、不正に不正を重ねる形で隠蔽して何とかしようともがくも破綻して責任を取らされる話です。

 主人公・西木雅博(阿部サダヲさん)は、東京第一銀行長岡支店の課長代理で、出世街道を外れた男性ですが、部下からの信頼は篤く、この件に関して、なぜ実態のない会社に10億円もの大口融資が易々と実行されてしまったのか調査を始めます。
 すると、単に滝野が石本に欺かれただけではなく、大きな陰謀が渦巻いていたのでした。




感想(ネタバレあり)

 半沢直樹の原作である池井戸潤先生の『オレたちバブル入行組』の前作である本作。内容的に、半沢直樹にとても似ています。主人公・西木雅弘も決め台詞で「”基本は性善説、やられたら倍返し”ってな」と口にします。
 ただ、半沢直樹と違うのは長文台詞で長々と怒鳴り散らしたり、土下座させたりみたいなのはありません。

 本作のテーマは勧善懲悪というより、窃盗や横領などの犯罪行為に関して、たとえ事が発覚する前に元通りにお金を戻したとしてもそれによって違法性は阻却されない、という法哲学のジャンルを扱ってるように思えました。

 冒頭でシェイクスピアの『ヴェニスの商人』の劇が表現され、アントニオの生殺与奪の権を握った、ユダヤ人の高利貸しシャイロックが強欲な悪人と扱われているのに対し、「お金を貸したシャイロックが悪いみたいになってるけど、本当は返さないほうが悪いわけじゃない?」という疑問が呈されますが、『確かに金を返さない奴は悪い。だけど、金を返せばそれでいいというものでもない』と反駁があります。

 犯罪とは、すべて故意犯である。すなわち、刑法38条1項に「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない」と、書かれていることが思い出せるよき作品でした。

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