大人を着る(ポエムめいた物)
同情するなら金もくれ。
金もくれ。
情もくれ。
あれも。
これも。
全部くれ。
時間が欲しい。
健康が欲しい。
人気が欲しい。
一本満足バーをくれ。
伊藤園の1日分の野菜をくれ。
カゴメの野菜スムージーをくれ。
セブンの豆乳ヨーグルトをくれ。
ローソンのもち食感ロールをくれ。
ファミチキをくれ。
家系ラーメンはいらない。
でも家系ラーメンをガツガツ食っていたあの頃は欲しい。
王将の餃子、天津飯、麻婆豆腐の最強3点セットはいらない。
でもあれを平気で平らげていたあの頃には戻りたい。
適度な運動はしたい。
でもハードな筋トレはいらない。
適度に筋肉のついた体は欲しい。
でもムッキムキまでは目指さない。
でもあの頃のようにゴリゴリムキムキの体にも憧れる。
ああ、ないものねだり。
ねだってねだってねだってなんぼ。
ねだってなんぼの商売だ。
いっそ赤ちゃん返りしてみるか。
赤ちゃんは流石に厳しいか。
子どもの頃に戻ろうか。
そしたらまた昆虫採集するのかな。
そしたらまた家族とキャンプをするのかな。
そしたらまたお母さんのオムライスを楽しみに生きるのかな。
そしたらまた親友と一緒登校するのを楽しみに毎朝起きるのかな。
そんな純朴な楽しみがたくさんあったんだな。
毎日毎日自分を振り返ったり。
毎日毎日何かを取り繕ったり。
こんなにたくさん楽しみがあったのに。
そっちをみんな見ようとしない。
大人びた楽しみばかり溢れてくる。
子どもでいい。
全然子どもでいい。
そっちの方が楽しいに決まってる。
毎日服を着るように、今日も明日も大人を着る。
大人を着た子どもでいる。
明日はどんな大人を着ようかな。
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