リハビリ勤務制度
慣らし勤務という制度を初めて知った。
日本企業では、慣らし勤務やリハビリ勤務という制度があるらしい。
来週からうつ病の再発(に見せかけたサボり説もある)で3ヶ月以上仕事を飛んでいた社員が帰ってくる。
最初は慣らし勤務からスタート。
慣らし勤務(リハビリ勤務)とは、
病気とか精神疾患で休職していた人が復職するための制度で、いきなりフルタイム出勤させるのではなく、まずは午前出勤を2週間、次に5時間程度の出勤を2週間、その後残業なしのフルタイム出勤を3か月とかやっていき、上長とも話し合いながら徐々に仕事に本格復帰するための制度である。
上記に挙げた期間はあくまで目安だけど、特にうつ病などの精神疾患の場合は、いきなりのフルタイム出勤は心身ともに大きな負担となるし、そもそもの再発率が高い病気だから、この制度が大切になる。
たぶん女性の産後の職場復帰とかにも使えたりする制度なのかな?
詳しく調べてはいないけど、確かに必要であり大切な制度だなぁ。
と言うのも、自分も含め、やっぱり社会にいきなり馴染むのって難しいというケースをたくさんこれまでに目にしてきた。慣らすって大事。
そうなんよ。社会にいきなり馴染むってむずいんよ。
昔から我が家(実家)では熱帯魚とか川で取った魚とかを飼ってたからわかるけど、基本的に急激な環境の変化はやっぱ生物にとってダメ。
人間だけは例外とか考えるのは傲りでしかない。魚と全くおんなし。
水質が急に変わってしまうと、魚はストレスで死んじゃう。
だから、水合わせっていう操作が必要になる。
例えば近所の川でとってきた魚がいたら、そいつをいきなり水槽の水に放り込むんじゃなく、まずはその川で汲んできた水に魚を入れた状態でしばらくの間虫カゴか袋かなんかに入れといて、そこに水槽の水を徐々に加えていくことで、1時間ぐらいかけて、少しずつ水槽の水の水質に馴染ませていかなきゃならない。
後、水温の急な変化も魚にとってダメージだから、水合わせをしているカゴや袋を水槽の水につけて、水質を慣らすのと並行して、水温も慣らしてゆく。
で、水槽の水質や水温にある程度慣らすことができたら、水槽に魚を入れてやる。
これらの作業のことを水合わせって呼ぶ。
水槽の水を取り替える時とかも一気に大量に水を抜いて、一気に大量に新しい水をぶち込むとかはやらない方がいい。数回に分けて水を抜いて水を継ぎ足してってのをやった方がいい。
魚とは敏感な生き物だ。
ただ、ワイは思う。(唐突なワイ)
どこの誰かもよくわからん偉人どもが作った訳のわからんシステムに泳がされとるワイらもおんなしやないか。
やれ資本主義。やれ民主主義。やれ最大多数の最大幸福。
どこの誰が、今私幸福です、って声高らかに言うとんねん。
日本人の多くが瀕死の状態で泳がされてると思うのはワイだけか。
それもこれも全部、ちゃんと水合わせができてないからやないか?
学校という存在自体は否定せん。詰め込み教育が悪だなんて決めつけるのはちょっと乱暴で、肝心の議論すべきところはそこじゃない。韓国なんてもっと詰め込んでるけど、DXもコンテンツの海外輸出も世界レベルにある。
学校が社会の縮図として、社会を学ぶための場所になっていないことがいけない。
あんまり教育システムの批判みたいなことをしたところで無意味だから差し控えるが、社会と学校が全くもって別世界として機能してしまっている現状が、幸せでない20代を生み出すことに繋がってしまっているとは思う。
要するに、学校を卒業して社会に出るってのが、今現状では川魚を急に海水にぶち込んでるみたいなもん。
もう少し水合わせを行わないと。
「バイトたくさんしてました」では社会に出るにはあまいし、ある程度の水合わせは高校や大学の段階でやってあげないと。
実業家になるような人とかはそもそも若いころから何でも自分でやってのけるから、そんな教育いらんのやろうけど、世の中の大半はそういった資本家階級に存在する人たちじゃなくて、労働者階級に存在する人々や。
その人たちに対して、学生の間に社会とか仕事とか人生のことを学んでこなかったのはあなたの自己責任ですよって言うのは、正論だけどかわいそう。
かくいうワイがそう。適当にフラフラと学生時代を過ごし、いざ社会に出てみたら全然ついていけなかった。ところがどっこい、こう言ってくれる人もたくさんいた。
「藤井は行動力あるし、賢いし、人当たりも良くて頑張り屋やから、なんか藤井に合う環境を見つけたら活躍できると思うねんけどな」
どこやそこは。ワイに会う環境はどこや。また川魚に戻ってメダカの学校にでも一生通い続けろと言うのか。
違う。ワイはメダカに戻りたいんやない。川魚から生まれ変わって、サケのごとく大海原へと旅立ちたい。
友達に北大で水産学の研究をしていた奴がいるから知ってる。
サケは日本の川で過ごした後、日本から5000㎞も離れたベーリング海にまで行く。
そこではごく稀に、風の向きとか全部の条件が整った時、アリューシャン列島付近の暖流と寒流がぶつかったりしてできた、栄養だらけプランクトンだらけオキアミだらけ、すなわちエサだらけの奇跡の海域が発生する。
それをアリューシャンマジックと呼び、1000万羽にもなるミズナギドリや500頭にもなるザトウクジラの群れが集まり、それだけでなくニシンや特別天然記念物のアホウドリなんかもわざわざ日本からやって来る。サケもその一匹。
濃い霧が立ち込め、激しすぎる嵐が吹きすさぶ中、大量の海鳥やクジラ、大型魚類も集まってくることを覚悟で、それでもベーリング海まで行き、ほんの数十分のアリューシャンマジックに飛び込む。
そこで力尽きて命を落とす者もいるけど、そうまでして栄養を蓄えて、4年ほどかけて生まれた川に戻り、産卵を行い、次の代に魂を託して、人生(鮭生)の大海原での旅を終える。
サケは産卵のために必死に川を遡上してゆく映像や、熊に食べられまいと頑張る姿ばかりが有名だけど、生まれ故郷の川を出て、大海原でも必死に生きている。
ロマンじゃないか。とってもロマンじゃないか。
でも、サケだっていきなりベーリング海まで行くわけじゃない。
1歳の時はオホーツク海辺りで過ごし、2,3歳の夏をベーリング海で過ごす。ちなみに、2,3歳の冬はアラスカ湾らへんで過ごす。
そうだ。これは水合わせだ。
正しく言うと、本来淡水魚はどんだけ水合わせをしたところで、そもそも身体の仕組み的に海水で生きていくことはできないし、海水魚は淡水で生きていくことはできない。
サケは淡水でも海水でも生きていける身体の仕組みを特別に持っているからできる話であって、水合わせをしているわけではない。
ただ、生まれて最初の1年をオホーツク海で過ごすというのは、やっぱりいきなり大海原まで行くのは危険だから身体を慣らしている、すなわち水合わせをしている様な状態なんじゃないかと思っている。
物理的にサケの泳ぐ速度ではベーリング海まで半年ぐらいでは辿り着けないって理由もあるかもしれないけど、詳しいことは知らん。
ワイもこれまでに何度も住み慣れた淡水を出て海へ出た。その度に上手くいかずにまた川に戻ってきた。
もしかしたら、上手くいかずに戻ってきたと言ってるけど、ちゃんと生きてる時点でこれまでの人生の選択も全て正解で、自分では上手くいかずに戻ってきたと思ってるだけで、実はそれ自体が水合わせ(社会に馴染むためのリハビリ)だったのかもしれない。
だとしたら長い水合わせ期間だった。他の人は学生の間にきちんと水合わせを行ったり、そもそも水質の違い過ぎる環境に飛び込もうなんて思わないのだろう。
でも、もう十分に身体は出来上がった。どんな水質も、どんな荒波も、どんな大嵐も立ち向かう覚悟ができた。
きっと楽じゃない。ものすごく大変。でも、もう大丈夫。
まずは、オホーツク海での修業期間が待っている。
謎の自信だけはある。こんなワイでも大海原へ旅立つために受け入れてくれた一年限りのメダカの学校、いや、サケの学校があった。
そこを出て、人生の大海原へと旅立つ。
目指すはロマン。目指すはベーリング海。目指すはアリューシャンマジック。
よし、頑張ろう。
(p.s.へぇ~世の中にはリハビリ勤務って制度があるんだーという学びの話から、まさかサケの話になるとは自分でも思わなかった。でも、ちょっとネットで調べたりしながら書くことで勉強にもなったし、シンプルに生き物が大好きだし、とっても楽しかった。これだから、noteを書くのはやめられない。)
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