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河野克俊 統合幕僚長の「離任の辞」

2019年4月1日に退官された、自衛隊制服組のトップ河野克俊(かわのかつとし)統合幕僚長の「離任の辞」が、あらゆる組織の経営者やリーダーにも通じる内容だと思いましたので、その全文を紹介いたします。

【読了時間2分】

私は、本日をもって統合幕僚長の職を辞し、42年間にわたる自衛官人生の幕を閉じます。防衛大学校を含めると46年間にわたる自衛隊生活でした。
 
私は昭和48年(1973年)に防衛大学校に入校しましたが、当時は自衛隊に対する世間の目はまだ厳しく、時にいわれなき非難を浴びることもあった時代でした。しかし、今日では自衛隊は国民が最も信頼を寄せる公的機関であり、ほとんどの国民が好感を寄せる組織になりました。我々が歩んできた道は決して間違ってはいなかったのです。

しかし、国民からの信頼は一朝一夕に得られたものではありません。自衛隊創設以来の先輩の血と汗と涙の上に築かれたことを決して忘れてはなりません。一方で、信頼は一瞬で崩れ去るものでもあります。「築城十年落城一日」との格言もあります。慢心することなく常に謙虚な心を忘れず、同時に防衛省・自衛隊の一員であることに誇りと自信を持ち続けてください

私は、自衛隊にとって変革の時代にその自衛隊に身を置くことができたことを幸運だったと感じています。本当に充実した自衛官人生でした。

湾岸戦争時の米国統合参謀本部議長だったコリン・パウエル氏は、その著書の中で次のように述べています。
仕事には必ず無私の心で尽くすこと自分本位で仕事をしてはならない。そして、退職記念の金時計やプレートは、にっこりと感謝の心で受け取り、放り出される前に自ら列車を降りる。飲み物でも持って日陰に座り、自分が乗ってきた列車が走り去るのを見送ったら、新しい列車に乗って新しい旅を始めればいい」

まさに、今の私の心境そのものです。本日をもって私は自衛隊という列車を心置きなく降り、後を皆さんに託します。皆さんはこの列車に乗って国民に寄り添う自衛隊としてさらに前進してください。そして素晴らしい祖国「ニッポン」の国益を守り抜いてください。皆さんの活躍を大いに期待しています。私は、これからは自衛隊の外から皆さんを応援していきます。

最後になりますが、統合幕僚長としての4年半の勤務において皆さんと一緒に仕事ができたのは私の一生の宝物です。これまでの皆さんの献身的な支えに心から感謝の意を表して、退官にあたっての挨拶とします。(了)

以上、河野統合幕僚長の「離任の辞」から、私たちも肝に銘じたいポイントを列挙してみたいと思います。

【肝に銘じたいポイント】
◎国民からの信頼は一朝一夕に得られるものではない。
◎信頼は一瞬で崩れ去るものでもある。
  「築城十年、落城一日」
◎慢心することなく常に謙虚な心を忘れない。
◎自らの組織の一員であることに誇りと自信を持ち続ける。
◎仕事には必ず無私の心で尽くす。
◎自分本位で仕事をしてはならない。
◎国民に寄り添う。

このようなリーダーのもとで仕事ができる部下は最高でしょうし、”私自身”が、こんなリーダーになりたいものですね。

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