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『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』(島田裕巳 著)

【内容】
日本の仏教に関する伝来から現代までの流れを、宗派の成立などを絡めて解説した本。


【感想】
それほどページ数ない本でしたが、仏教伝来から現代までののことを要領よくまとめていて興味深く読みました。
更に、大まかな仏教の流れというだけではなく、近年の研究や社会との関係性を盛り込んでいたのも良かったです。


いくつかの例を挙げていくと…
・日本人の無宗教の根底には、天台本学論と呼ばれる思想がある。

・豊臣秀吉による刀狩りは、寺の武装解除の意味合いが強かった。

・空海は、最澄以上のエリートであったのではないか。
多分一般的な空海像を元にして書かれ『空海の風景』(司馬遼太郎著)という空海像は、以下のようなものでした。
国の官僚制度に見切りをつけ独自に修行し悟りを開いた若者が、奇跡のように唐に留学をして、最先端の仏教の最高位を持って帰り、一宗派を作り、膨大なの建造物や著作を作った大天才。
この本には、空海が唐に渡り、師となる恵果を訪ねた時、多額の贈り物と天皇からの信書を携えていたとの話が書かれていました。

・生き仏としての空海の成立は、弟子の活動が大きい。


読み物としてかなり楽しめる本でした。
最後、団塊世代がいなくなった後、益々葬儀の簡素化が進み、仏教による葬儀という形へのこだわりが減じて来るのではないかとの指摘もありました。20〜30年後あたりから、日本の宗教や社会のあり方はより大きく変容していくんでしょうね。

島田裕巳と言えばオーム真理教絡みで批判されたりしていた印象が強かったので、ネットで調べてみたら、色々とやらかしていたことが出てきました。
『オーム真理教はディズニーランドである』とかといった発言したり、地下鉄サリン事件の後、オーム真理教を擁護する言論を展開していたり…
そう言った面でも考えさせられる一冊でした。

※画像は生成AIで作成しました。

https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344982505/

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