Terry Saito

日英/英日翻訳者(実務/漫画/ゲーム)/WildLight開発者/ 業務支援ツール開発…

Terry Saito

日英/英日翻訳者(実務/漫画/ゲーム)/WildLight開発者/ 業務支援ツール開発/詳細は http://terrysaito.com/about/ /インスタ https://www.instagram.com/terry.saito/

最近の記事

AIを使って素人が英訳できるのか?

SNSで #AI英語ライター という、聞いたことも無い言葉を目にした。その中身は、英語や翻訳の知識を持たない人間が生成AIを使って翻訳することを指すらしい。 最新技術のAIを使えば、できるに違いない! 本当? どうしてそう思うの? 無邪気に期待する気持ちはわかるけれど、良識ある大人ならば、現実的な話なのか、しっかりと吟味するくらいの心の余裕は持ちましょう。 まず、私の結論を書きます。 英語力が無く、翻訳を知らない人間が、生成AIの生成する英文を使って、商業的に通用す

    • 機械翻訳を毛嫌いしてるわけではない

      京都で開催されたJTF翻訳祭であった機械翻訳ネタのセッション資料を読んでいると、個人翻訳者が感情的に機械翻訳を毛嫌いしていると、勘違いしていると思われるものがあった。翻訳者が機械翻訳により仕事を奪われると思い、機械翻訳を嫌っているとでも言いたげである。 このコメントを堂々と表に出して話されたことが、機械翻訳を下訳に使用することへ積極的な人々の、翻訳に対する理解の欠如を表しているように思う。 感情論で機械翻訳を嫌だと言っている翻訳者は、少なくとも私の周りにはひとりもいない。

      • 使うことを目的にすると間違える

        翻訳祭も無事に終了したようだ。開催中は、いろいろと情報が断片的にSNSに流れてきた。 特に機械翻訳に絡むツイートは賑わいを見せていたように思う。概ね、私が自分自身でNMTを使い、評価した結果から判断したことと同じような話がされていたようで、そういう意味では正しい情報出しがされていたのだろうと推測している。 私はあるツールの情報に目が留まり、その画面を眺めていたのだが、どうも気持ちが悪い。MTを使うことを中心において、周りを固めていったような構成になっているように見えるから

        • NMTって結局、何も変わらないのでは?

          Neural MT が登場して以来、今こそ機械翻訳を導入すべきという勢いでツールベンダーがセールス活動を強化しているようだし、あちこちで機械翻訳をテーマとしたセミナーやパネルディスカッションが開催されていて、翻訳に詳しくない一般の人々が洗脳されている感じがしている。 最近、複数社のNMTを試用する機会を得て、出力される訳文を眺めている。決して、どのNMTが優秀かといった優劣をつける目的で見ているわけではなく、単純に商売に利用できるのかという視点でしか見ていない。加えて、現在

        AIを使って素人が英訳できるのか?

          フリーランス翻訳者の交渉ごと

          クライアントやエージェントといった企業と、翻訳者や通訳者といった個人事業者では、商慣習や法務的知識において情報量で圧倒的な違いがある。どうしても優位な立場にある企業側のご都合でものごとが進み、仮に誠意のない企業が相手になると、弱い個人が不公平な条件で仕事をさせられたり、泣きを見ることが多いようだ。 一方で、次から次へと様々な規模の企業が業界へ入ってきており、日本翻訳連盟が発行している翻訳白書を見ると、翻訳関連企業の6割が年商1億未満という規模の小さな企業である。このことを踏

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          NMTは単なる営業機会

          Google が Neural machine translation (NMT) を採用したことをきっかけに、NMTが従来の機械翻訳よりナチュラルな文章を作り出すことを、一般の人々まで知るようになった。そして機械翻訳を売り物にした翻訳システムの販売が加速している感がある。 先日、某社が企業向けに行ったAI機械翻訳システムの説明を聞く機会あった。 説明内容の主たるものは、従来からある翻訳統合管理システムや翻訳支援ツールのそれとまったく変わらない。用語の管理や Tran

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          流し読みの癖を直さないと

          読書は大切。仕事柄、いつもそう思っている。 でも、最近私が読む本は、ビジネス書だったり実用書だったり、新しい知識を得るために読んでいるものばかり。 いまさらだが、これではマズいということに気づく。 必要な情報だけを得れば良いので、時間短縮のために飛ばし読みや斜め読みといった流し読みをするが、その癖がすっかり身についてしまった。もちろん、実用書などはこの手の読み方で構わないのだが、言葉を噛み締めるような読み方ができなくなってしまった気がする。 これは翻訳を仕事にする人間に

          流し読みの癖を直さないと

          翻訳から逃げる翻訳会社

          納品された翻訳物に対して「翻訳としてどうなのか?」と良否を問うと、まともに回答しない。また、自分たちの意見や提案さえできない。 某所に「翻訳の玄人がいる翻訳会社を、誰か知りませんか?」と書いたのは、プロフェッショナルとして、こういったことにちゃんと対応できる翻訳会社に、いまだ出会っていないからだ。 言葉の端々に感じられるのは、翻訳として評価したり、その先にある議論を避けたいという意思が働いているのだろうということ。それを裏返せば、「翻訳に対する理念を持っていない」「

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