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食材の活かし方〜実践編〜モルタデラハムとマッシュルームのペペロンチーノ

こんにちは。大家輝です。

今日は冷蔵庫に余っている食材だけで作っている、普段ごはんのご紹介をします。
レシピだけじゃなく、どういう意図で食材を使っているかも一緒に説明していきます。なので、この『気まぐれごはん』のコーナーを継続的に読んでいただくと、料理人がどういう視点で創作料理を作っているかが分かるようになります。

このコーナーでは、家の冷蔵庫に余っている食材を基本的に使いますので、スーパーで購入できる食材ばかりをピックアップしていきます。スーパーの食材でも充分、美味しくておしゃれな料理が出来ますので、みなさんもぜひ挑戦してみてください。

さて、今日の気まぐれごはんは『モルタデラハムとマッシュルームのペペロンチーノ』です。
スーパーで基本的にある食材とか言いながら、モルタデラハムは普通のスーパーには多分並んでません。初っ端から、すみません(笑)。
本当に家の冷蔵庫に余っていたので、使ってしまいました。このハムの代用としてベーコンとか生ハムが使えると思いますので、ぜひそちらでも試してみて下さい。

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■材料(2人前)

・パスタ 200g
・にんにく 2〜3欠片
・パセリ(みじん切り) たくさん
・マッシュルーム 2〜3個
・モルタデラハム 60g
・白ワイン 15cc
・パスタの煮汁 適量
・オリーブオイル 20cc
・塩 適量
・鷹の爪 少々

■食材の意図

【主役は、にんにくとパセリ】
今回の食材の主役は、にんにくとパセリです。
ペペロンチーノは本来、にんにくとパセリ、オリーブオイル、鷹の爪、塩だけで作るめちゃくちゃシンプルなパスタです。
なのでペペロンチーノとは、にんにくの味とパセリの爽やかな香りを楽しむ料理なのです。今回もその基本に沿って、にんにくとパセリを主役に置きます。

ちなみにパセリには、臭みを消して爽やかな料理にする効果があります。にんにく特有の臭いを抑えて、爽やかなペペロンチーノが出来るワケです。

【引き立て役として、マッシュルームとモルタデラハム】
にんにくの野菜的なうま味と甘さを、補完してあげる食材を選びます。
今回は、モルタデラハムで肉系のうま味をプラス。マッシュルームでキノコ系のうま味をプラスしました。

うま味の組み合わせに関しては、こちらの記事にマニアックな感じで書いておりますので、よろしければこちらをご参照ください。

モルタデラハムはパスタによく絡んでほしいので細切れに、マッシュルームはアクセント的に食感と旨味を演出したいので少し大きめに切っています。

アクセント的に演出する理由としては、ずっと同じ味と食感が続くと、どんなに美味しい料理でも飽きが来てしまいます。そこに、マッシュルームという食感と旨味のスペシャリストがくることで、食べているひとにインパクトを与えます。
こういう、たまにくる「美味しい!」が、魅了する料理には不可欠な存在になります。

【肉の臭み消しと、味に拡がりをつくるために白ワイン】
モルタデラハムなどの動物系のうま味を使う場合、肉の臭さがどうしてもネックになってしまいます。それをうまいこと無くしてくれるのが、白ワインです。

あと、白ワインを入れることで甘味と酸味がプラスされるので、味に拡がりが生まれます。
うま味だけではなく、甘味と酸味といった違うキャラクターを加えてあげることで、豊かな味わいになります。

【全ての味のポテンシャルを解放する塩】
塩の力は絶大です。なぜなら、塩を入れることで味のポテンシャルは最大限に活かせます。
塩に関して語りだすと、ものすごく長くなるので今回は割愛しますね(笑)いつか、塩についての記事も書きたいと思います。

とにかく塩をいれることで、料理は初めて美味しくなるのです。

■作り方

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まずフライパンが冷めている状態のところに、オリーブオイルを入れ、そこにみじん切りしたにんにくを入れます。そしたら、弱火で熱を加えていきましょう。弱火でゆっくり熱を加えることで、にんにくの香りがオイルに溶け出していきます。

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弱火にしてしばらくしてくると、こんな感じでシュワシュワしてきます。こうなってきたら鷹の爪を入れます。

ちなみに鷹の爪はいれるタイミングによって辛味を調整できます。
辛味成分もオイルに溶け出すので、ゆっくりオイルに溶かすと辛いパスタになります。なので、辛いのが好きなひとは初めから入れて、にんにくと一緒に熱を加えましょう。
今回は妻が辛いのが苦手なので、あとの方に鷹の爪を入れています。

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にんにくに熱が加えられて、少しきつね色に変わってきます。このタイミングで、モルタデラハムを入れて一緒に炒めていきます。ハムの旨味をオイルに移していくイメージです。
この間も弱火です。

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ちなみに、にんにくのきつね色のベストな状態です。
これ以上いくと焦げてきて、焦げの香りがオイルに移ってしまいます。そうなる前に何かしらの食材を入れて、オイルの温度を下げてあげるといいでしょう。
ちなみに僕はここでマッシュルームを入れました。

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ここで、マッシュルームと少々のパセリを入れます。マッシュルームは炒めるため、パセリは香りをオイルに少し移すためにいれています。

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マッシュルームにある程度火が入ってきたら、白ワインを入れます。ジュワ~という音がなるので、そのまま火を入れてアルコール分を飛ばします。

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白ワインのアルコールを飛ばした後、パスタの煮汁をいれます。ここで、弱火か中火くらいに変えて、煮汁をぐつぐつさせましょう。

この工程がかなり大切です。
なぜなら、この煮汁にすべての食材の味を溶け出させるためだからです。パスタソースというのは、いわば『ものすごく圧縮された出汁の塊』みたいなものなんです。

なので、食材がぐずぐずになるまで煮汁に火をかけましょう。出汁をとにかくソースに移すんです。

この時の僕の頭は、「ハムの塩分と旨味が溶け出してるかなー。」「マッシュルームの旨味は溶け出してるかなー。」「煮汁の塩分とハムの塩分のバランスはどれくらいかなー。」といった感じで考えていました。

食材がぐずぐずになってきたら出汁がとれた合図なので、ここでパスタソースの味見をします。
おそらく煮汁とハムの塩分がありますので、すこし塩味がすると思います。ここで最後に塩を加えて、塩味を調整します。パスタに絡めた時のことをイメージして、塩分を調整しましよう。

これで、パスタソースが完成です。
この時のパスタソースが美味しいと思えないと、パスタに絡めたときに美味しくなることはありえないので、パスタが茹で上がるまでに納得の味を完成させときましょう。

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パスタが茹で上がったら、強火にしてソースと絡めていきましょう。パスタを入れる前からフライパンが温まってる方がいいので、30秒前くらいから火を強めときましょう。

フライパンを振ってパスタを混ぜるも良し、トングでパスタを混ぜるのでもいいでしょう。
混ぜながら、火にかけていると、ソースが白濁してトロみが出てきます。これを乳化と呼びます。

このトロみのあるソースがパスタ全体に絡んで、美味しいパスタになります。

ソースがシャバシャバして水っぽくても絡みませんし、トロみがありすぎとパサパサしたパスタになってしまいます。ちょうどいいところを経験を積んで、見つけてみて下さい。

ちなみにソースがシャバシャバしているなら、パスタを混ぜて火にかけましょう。トロみが出過ぎたりソース自体がなくなってしまったら、煮汁か水を足して水分を足しましょう。これを出来るだけ手早くこなすと良いでしょう。

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乳化がうまいことできたら、お皿に盛り付けます。
にんにくの欠片がフライパンについていると思いますので、ゴムベラなどでキレイに取って、パスタにかけてあげましょう。
今回は、にんにくが主役ですから。

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最後にみじん切りにしたパセリをかけて完成です。どうでしょうか。緑が入るだけで、一気に美味しそうに見えますよね。

今回はシンプルなパスタなんですが、一応彩りも気にして食材を選んでいます。
パセリの緑、ハムの赤、パスタの黄色、マッシュルームの茶色といった感じです。もし仮にハムが豚バラ肉だったら、味は美味しいんでしょうが、彩りが寂しく見えます。

見た目というのはかなり味の印象を変えますので、彩りも一緒に考えられるとより美味しい料理が出来るでしょう。

■妻の感想

妻の感想は非常に満足してもらえてましたが、「パセリの食感がジャミジャミしていて、気になる。」とのことでした。

僕はパセリが大好きなんで、あえて食感も残す感じにしたんですが、それが仇になったみたいです。
妻の好みに合わせる場合、改善方法は2点あります。『パセリはもっと細かく切る。』もしくは、『パスタを混ぜる際にパセリを入れて、熱を加えてことで柔らかくする。』という方法が考えられます。

どちらも、パセリ自体を楽しむ要素は少し減りますが、パセリが大好きじゃないひとには適切なアプローチだと思います。
こういった感じで、何に重きを置くかで料理は形を変えていきます。同じ食材でも、つくる人や届ける人が違えば、何通りでも一皿の形は変わってきます。

だから僕は、料理は自由で楽しいと思っています。

ここで紹介しているレシピは、あくまでも僕の考えの一皿です。これが正解という形はありません。

ぜひ、あなたなりの料理を作ってみてください。

今日は以上になります。
ここまで読んで頂いた方、いつも本当にありがとうございます。
また宜しくお願いします。

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