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なぜ「長野ダービー」ではなく「信州ダービー」なのか?〜フットボールの白地図 by OWL Magazine【第43回】長野県

<長野県>
・総面積
 約1万3561平方km
・総人口 約202万人
・都道府県庁所在地 長野市
・隣接する都道府県 群馬県、埼玉県、新潟県、富山県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県
・主なサッカークラブ 松本山雅FC、AC長野パルセイロ、アルティスタ浅間、FCマツセロナ、FCアンテロープ塩尻、リベルタス千曲FC、上田ジェンシャン
・主な出身サッカー選手 田中隼磨、塩沢勝吾、今井昌太、高橋義希、橋爪勇樹、三田尚希、新井光

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「47都道府県のフットボールのある風景」の写真集(タイトル未定)のエスキース版として始まった当プロジェクト。5月に入って、ついに第43回を迎えることとなった。今月半ばには、すべての白地図を塗り終える予定。そこで5月10日(月)、ハフコミとOWL Magazineの共同で、下記のオンラインイベントを開催することにした。

 このイベントでは、OWL Magazine編集長の大澤あすかさん、そして副編集長のキャプテンさかまきさんと一緒に、白地図で取り上げてきた中でも、とりわけニッチ度が高い8つの県をピックアップ。その知られざる魅力と「フットボールのある風景」について語っていく。「旅とフットボール」あるいは「フットボールの地域性」に関心のある方は、ぜひともご参加いただければ幸いである。

 というわけで本題。前回は、九州最後のJ空白県だった、宮崎県を取り上げた。今回は人口密度では宮崎県とほとんど変わらないのに、2014年から2つのJクラブを持つ長野県にフォーカスすることにしたい。「2つのJクラブ」というと、われわれは必然的にダービーを期待してしまうが、互いを避けるかのように両者は異なるカテゴリーを戦い続けてきた。よってJリーグでの対戦は、今のところ皆無である。

 もっともJリーグに昇格する以前、とりわけ北信越リーグ時代には、何度もダービーが行われていた(あまりの盛り上がりぶりから、ドキュメンタリー映画の題材にもなっている)。ただし、このダービーは「長野ダービー」ではなく「信州ダービー」と呼ばれていた。なぜ、長野ではなく信州なのか? その理由を探っていくと、この県特有の「フットボールのある風景」が見えてくる。

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 まずは北陸新幹線に乗車して長野駅へ。1998年の冬季五輪の時は、随分とひなびた印象の駅舎だったが、2015年に新幹線が金沢に延伸したタイミングで、善光寺口をリニューアル。巨大な大庇と列柱が印象的な、伝統とモダンが共存する駅舎に生まれ変わった。ここから市内で一番の観光スポット「善光寺」へは徒歩30分。長野電鉄長野線を利用すれば、善光寺駅から徒歩12分である。

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 善光寺は、さながらテーマパークのような広さがあり、一般の宗教施設とは異なる奇妙な高揚感が横溢している。飛鳥時代の朝廷の役人、本田善光(よしみつ)の名に由来するこの寺院は、実はどの宗派にも属していない。日本最古と伝わる、一光三尊阿弥陀如来が本尊で、7年に一度だけ御開帳される秘仏としても知られている。長野冬季五輪の開幕の際には、世界平和を祈念した善光寺の梵鐘が、中継を通して全世界に響き渡った。

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