舞台『イケメン戦国』の中止が決まって以降、ボカンと空いてしまったスケジュールの穴と、心の穴の、コンビネーション・ホールを埋める日々が続いている。

誰かの所為に出来れば簡単かもしれないし、楽なのかもしれないけど、相手の姿は見えないし、敵の正体も捉えられないから、戦隊出身だろうが、仮面ライダーを２回やってようが、こればかりはどうしようもない。

「グヘヘへへ！俺がイケメン戦国をぶっ潰してやったさーグヘヘへへ！」ってわかりやすい悪役が現れてくれれば、雑賀孫一率いる雑賀衆の銃でバチバチ蜂の巣にしてやって、パーっと憂さ晴らしできるんだけどなぁ。

とは言え、攻撃しやすい対象を自ら探して、自分の気持ちを上げる為だけに、無意味に攻撃する時間があるならば、何をしていても下を向いてしまいそうな、そんな自分の性根を叩きのめす為に時間を使いたいと思うわけです。自分、どうにかカッコつけたいんで。

しかしながら、「夏休みの宿題はひとつもやらないでどうにかして乗り切る！」をモットーに生きてきた人間としては、目標なく、予想外に発生した時間のご利用を計画的に使えるはずがなく。地道アイフルも継続プロミスも戦略アコムもできず、何かで見た自己肯定感なる得体の知れない感情を満たす為に、「きょうはブログをかきましたまる」「うでたてをさんかいやりましたにこにこ」「にじかんだんじきしましたてへぺろ」みたいな生活をしていたけれど、どうにも自分を肯定し続けることが困難になってきたため、ここは逆に、自己否定感探し始めました。（冷やし中華の例え使用を我慢したことをここに記す）

具体的に言うと、「やれば出来る感で、やったこともないのに、周囲に文句を言っていたことを、実際に自分でやってみて、吾唯足知をしようじゃないか！」を始めてみました。

歌、終了。

料理、終了。

書道、楽しいかも。

英語、終了。

ダンス、やる前に終了。

真っ先に強く感じたことは、「自分が出来ないことをしている人たちに対する尊敬と感謝」だ。

僕の身近なことで言えば、舞台やドラマや映画は、作ってくれる人がいなければ、当たり前だけど楽しめないし、言う必要ないけど文句も言えない。

そして、思い出したのは学生時代。

学園祭の時に、友達の無茶苦茶下手なバンドが出てきて、これでもかとイジってバカにしたことがあった。

もちろん、上手い方が良いに決まってるし、才能があった方が良いに決まってる。だけど、文句を言ってた奴のほとんどが、もちろん僕を含めてだけど、楽器なんてできなかったし、どんだけ下手だろうがやりたいバンドのために勇気を持ってステージに上がることなんてできなかったし、別にバンドなんてやりたくないすぃーやりたいから出てきといとぅえーダサいんだからーダサいって言ってもいいんだおーって忍法保身抜け道を用意してた気がする。その時、僕は間違いなくそうだった。忍者では間違いなくなかったけど。

だって….…B'zが上手く歌えれば出たかった。

ではなく、二度とそんな忍法使いたくないなと思ったわけです。驚かないでくださいね。僕は、忍者では、ないですよ。

年齢や経験や慣れや、知らぬ間に積み重ねたしょうもないプライドが、てめえの立ち位置を勝手に高く見積もって、どこかバレンシアガとかサン・サーランぐらいの位置から世の中の洋服に点数を付けるように世界を見ていた。いや….…実際はそこまで性格は悪くないけど。大袈裟に言えばね。いや、優しい人間ではあるはず。愛は勝つ。

とにかく。今は、絵を描いたり、脚本を書いたり、ラジバンダリしたり、自分がしたことないことを日々してる。もちろん、絵を描く一本目の線から、物語を書く一行目から、ダメだこりゃって思うけれど、ギャグについてはスルーだけど（使ってごめんなさい）、なんと言われようがステージに立ったあいつらに負けるわけにはいかないから、すべてエンドマークまでたどり着いてみて、つけ上がっていたとしたら自分をきちんと否定して、そのぶん余った力で他人をしっかりと肯定して、自分に出来ることをちゃんと見つめ直して、リゼロから始める自己肯定感ってあると思う日々でございます。

何より….…

満員の客席で、舞台がやりたいな。

最後に。

学園祭で面と向かってイジってしまった友達バンド。本当にごめんね。

ただ….…あの練習不足丸出しで、ギターが途中で音が鳴らなくなり、ベースが諦め、か細いドラムの音だけを背に、『BLOWIN'』を、「ボーイン！ボーイン！インザイン！」って真顔で歌ってた摩訶不思議なB'z。今の俺が聞いても、イジっちゃうかもしれないから覚悟してね。

あの時と違って、少しは尊敬するけどねてへぺろ。

谷口賢志

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