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結婚

フジテレビで日曜日にやっている「ザ・ノンフィクション」が好きだ。
毎週楽しみにしている。
毎回、一人の人間に密着してその生き様を紹介する番組だ。
NHKの「プロフェッショナル」と異なり、何か特別な技術や実績がある人ではない。
完全なる一般の人に密着している。でも、おもしろい。
「どんな人の人生にもドラマがあるんだな」と思える番組だ。
今週は特定の誰かではなく結婚相談所に密着していた。
数人の登録者の様子を窺うことができる。
相談所の経営者からダメ出しを受けても素直に聞く男性や女性ばかりで、彼らの素敵な人格が窺える。

女性とほとんど喋ったことがないまま20代後半になった男性がいた。
大人しそうな方で、うっかり失言をしてしまうことがあるようだが、一般的なコミニュケーションの範囲のように思う。
大学生の方が、もっと女性に対してどうしようもないことを言っている。
モテそうだし、お母さんの話をするときに家族愛を感じる。

結婚相談所のたくさんの登録者の中に密着し、テレビ映えする場面が選ばれて放送されていると思う。
年収も公開され、それを聞いて驚いた。
登場している人よりぼくの方が年収が高かった。

彼らを下に見ているとかではなくて、自分の年収が社会的に低く結婚に向かないと考えていたので驚いた。
「え、ぼくも結婚できるじゃん」と思ったのだ。

いま、ぼくは大学に通っている。毎日働く時間なんてない。月に4日くらい働いて、夏休みや春休みに可能な限り仕事をしている。
それでも、婚活をする人たちよりお金を稼いでいた。もしかしたら、大学に行きながらでも、家族を養えるのかもしれない。
希望だ。
ちゃんと働いていないから結婚なんてできないなと思っていたぼくに、一筋の希望の光だ。

小学校にボランティアの税金教室をしに行くと、子供に「結婚しないの?」と聞かれる。

「婚活してるよ」と答えている。

子供は「何してるの?」と聞いてくる。

「『婚活してる』と言うだけの婚活をしてる」と答える。


子供は「わけわかんない」という顔をしてから、走ってどこかに行ってしまう。
ぼくは彼らの背中を見ながら、その日の給食のメニューに思いを馳せている。

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