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『言葉を愛する者たち』

darlings of the word
Charles Bukowski

サンフランシスコから2人の詩人(1人はかなり有名だ)がロサンジェルスにやってきた
女はやつらの朗読を聞きに出かけて行った

オレはその時
もう人前で朗読しなくていいと喜んでいた

オレは別に朗読会場にせかせかと向かい
群衆たちに詩を読み聞かせるために書いているわけじゃない

カネのために詩を読んでいたこともある
家賃を払うためにやったことだ
だが有名なカネ持ちたちがいまだに朗読していることを聞いて
オレはやつらの選択に心底驚いている

詩人たちがそんなに外向的なことを
オレはいつも不思議に思っていた

やつらは会場に行き
自身の詩をさえずることに陶酔していた

オレは1度詩人にこの欲求について聞いてみた
やつは言った:
それは言語そのものと同じくらい昔からある:
詩人たちは大昔から通りを歩きながら
自分たちの詩を歌っていただろ
詩は民衆たちのものさ

「そんなことは知らねえな、」オレは言った、「だが結局は出版物のために書く文章だって虚栄心の表れだろ」

「詩は民衆たちのものさ!」やつは繰り返した

「そうか、」オレは言った、「もうこの話は止めにしよう」

もしオレが役者になりたかったら
ハリウッドに行くだろう

詩人にとって必要なことは
ただ詩を書くことだ
それ以外のことはすべてプロパガンダだ

教師たちから学ぶことや
講義を聞くこと
書物を読むことは

けっしてすべての始まりの原動力に匹敵することも
ましてやそれに取って変わるものでもない

2人の詩人がサンフランシスコからここに来ている

かなり遠いところからここに来ている

今もここに来ている


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