『結核』
TB
Charles Bukowski
オレは1年間こいつと戦っていた、
ベッドで本当に多くの時間を過ごした、
咳が出ないように枕を2つにして身体を起こして眠った、
頭からすべての血が抜かれベッドから横向きに倒れそうになって目を覚ますこともよくあった
結核の感染力が強くなってからは見舞いに来るやつらもいなくなり電話が鳴ることもなくなった
これは結核にかかってよかったことだ
日中はテレビを見てメシを食って過ごしたが
満足のいく生活とは言えなかった
連続ドラマとトーク番組は日中の悪夢だった、
他にやることもなくオレは野球の試合を観て過ごし
ドジャーズをペナントレースに行けるよう応援した
抗生物質と咳止めの薬を飲むこと以外にやることはなかった
オレがやったことは車の走行距離をムダに消費しなかったことぐらいだ
老朽化したオンボロの競馬場が恋しかった
世の中の潮流から引き抜かれたときやっと気づく
オレたちは誰もそもそも必要とされていない
オレたちがいなくなっても鳥たちは気づきもしない、
花々は気にもかけない、
周囲のやつらは無関心だ、
だがIRSや電話会社、ガス電気会社、DMV
そんなやつらだけが未だに連絡を取ってくる
病気であることと死んでいることは
社会の目から見れば同じことだ
どちらにせよ、
身体を休めてその時を楽しんだほうがいい
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