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『自分自身がロクデナシだと知ることは最高だ』

It is good to know when you are done
Charles Bukowski

たいていのことは最終的にはうまくいく
タバコに火をつけ通り歩き、年を取り、贅肉がつき、感受性を失っていく
靴を履くこと、愛を交わすこと、思い出すこと、伝えること、かつて小説を読んでいたこと、それはただの行為に過ぎない
友人たちに天気や体調のことでさえウソをつく
今日は水曜日か?あるいは木曜日か?
ピアノリサイタルに行くかあるいはフットボールの試合を観るか:
現状に満足するにはこうやっていくしかない
眠れ、眠っているのが1番だ
オレたちと人生で繰り広げる毎晩のちょっとした死のゲームだ
用意しろ
ときには花は開き
ときには花は死ぬ
オレは酔っ払っている
オレはタバコを吸いすぎる
オレは足の爪を切る
オレのことなんか気にもかけていない誰かに電話をする
そしてオレは静かに、言う、クソ食らえ
オレはロクデナシだ
誰だって最終的には、ロクデナシだ
自分自身がロクデナシだということを知るのは最高だ
オレたちは真っ暗闇の井戸の底を這い回る太った蛇にもなれる
オレたちはなぜアル中なのかも知ることができる
素面のやつらは大勢いる
やつらだって本当は素面なわけじゃない
やつら自身が素面だと思っているだけだ
アホどもが素面だったことはない
やつらは独自の価値観に基づいて行動し世界を無視するからだ
オレたちは世界の終わりを求めない
だがそれは白い紙に書かれた軍隊のようにやってくる
それは指先に知恵が宿るようなこと
それは惑星の名前を知るようなこと
それは木の暗い側面に生える緑色の苔を見て
それに包まれるようなこと
頑固で聞く耳を持たないやつらは最低だ
そういうやつらは牧師になり政治家になり聖者になり愛する者になる
そう運命づけられている
真実は物事を素直に見つめていれば見えてくる
かつては素晴らしい男たちが数多く存在していた、
だが数は少なくなったがまだまともなやつらも生きている:
やつらの無言の唇は動きやつらの目は開く、
やつらは木々のように遥か彼方の星々のように物を言わない
いつの日かやつらもいなくなっちまうということがオレを悲しませる
死んだやつらはいたるところにいる、
そんなやつらが群れになって
オレの眠れない夜を苦しめる
それでも、結局は、やつらがかつてがここにいたということは素晴らしいことだったんだろう

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