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「攻め」の休日をデザインする


今日は休日、という方も多いのではないでしょうか?いつもよりちょっと遅く起きたり、ネットフリックスで映画を観たり、サクラを見ながらランチを食べたり。一日中、心身ともにリフレッシュして今ごろディナーを楽しんでいるところでしょうか?お酒を飲んで、家族と話しをして笑って、夜更かしして明日ものんびり過ごそう、そんな心境の方も多いと思います。

「現代人は間違ったストレス解消法を使っていることが多い」

アメリカ心理学会の公式声明です。ゴロゴロする、とにかく食べまくる、お酒を飲む。どれも一般的なリラックス方法だと思いますが、これらは推奨されていません。どういうことでしょうか?

リラックス、ストレス発散には「コントロール感」が重要。産業組織心理学者のキャリー・クーパー氏の助言です。深酒で二日酔い、お昼ごろに起きてダラダラしてたら夕方になった。ショッピングのときは楽しかったけど、家に帰ったら後悔。会食や買い物は楽しい行為ですが、酔っぱらったり、与えられたものをただ消費したりにはコントロール感がありません。前向きな気持ちが削がれるのでリラックス感も一時的。明日には効果が薄れてしまうそうです。

●スキル習得、学習
●友人との会話
●ボランティア、利他の心

コントロール感があってなおかつリラックスできる休日の過ごし方。いずれも積極性が強くて、結果的にポジティブな感情が高まって、ストレスを解消することができます。シンプルに表現すると「攻めの休日」 明確な意図をもって休日をデザインすると、脳にポジティブな刺激が伝わって、本質的なリラックスを得ることができます。

優秀なバイオリニストほど練習時間が長いことを証明した実験では、同時に「自覚的に休憩を設計している」ことも明らかにしています。約90分の練習ごとに30分の休憩を挟み、そのあいだは、バイオリンから完全に切り離した行動、たとえば散歩をしたり昼寝をしたりして脳をリラックスさせていました。

また休憩の「時間」についても興味深い結果が出ていて、一般的な奏者は平均20時間/週の休憩をとったと申告しましたが、実際は35時間。ところがトップ奏者は、申告と実際の差がほぼなかったそうです。つまり優秀であればあるほど、攻めの休憩を志向し、同時にしっかり休めているかどうかの見積もりが正確だったということ。

「偉大な天才は働いていないときに成果をあげる」

レオナルド・ダ・ヴィンチはそう語りました。トップパフォーマーほど、休憩の大切さを認識していたということでしょうか。休日の目的を明らかに、そしてそのために必要な攻めの姿勢を忘れず、決めたとおりにしっかり休むこと。細かい内容は人それぞれであり、ライフスタイルに適した休日をデザインすることが重要なんだと思います。

苦痛は若返りシステムを起動させると言われています。運動が典型的な例。身体が健康体であればあるほど、年の割に若く見えるという実験結果もあるくらいです。野菜や果物は、外敵から身を守るために毒素を放出(辛味や渋みなど)していますが、この毒素が人間にとっては適度な「苦痛」となって健康が促進されます。赤ワインも同様のメカニズムが認められています。仕事のストレスなんかも、「なぜ怒られているのか」が整理できていれば、心的外傷後成長という現象がはたらいて、若返りのスイッチが入ります。

ところがこの苦痛は、適切な休息をとらなければ害をもたらすということも、運動に休憩が欠かせないことを知っていれば理解しやすい。苦痛による筋繊維の破壊を休息によって回復させるからこそ、筋トレによって筋肥大が実現します。ですが休み方が間違っていれば肥大率は抑えられてしまう。「休日の過ごし方」も同じ原理です。

本を読むことは「新しい情報に触れる
運動することは「意図的に苦痛を与える

とにかく何か「新しいこと」をひとつでも取り入れつつ、意図的に「心身に苦痛」をもたらす行為をひとつ入れるだけで、攻めの休日が過ごせそうですね。明日は遠征。パートナーであるJリーグクラブのホームゲームを視察してきます。飛行機に乗って、サッカーの試合を観戦して。「非日常」で攻めの休日を過ごしてみたいと思います。

久保大輔




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