見出し画像

品質新撰組 /ep 4; Keep the Faith

店長となる打診を受けた翌日―
思わず、いぜん見かけた看板に書かれた工場総務の求人に電話をしていた。明日の面接となった受話器を置きながら、今日、明日の休暇で検討する事になった店長引き受け可否は、この面接結果次第と考えた。
 
先月竣工した工場の面接に行く車中―
アルバイトで働くつもりの靴屋で、正社員への誘いを受けたのは軽率だった。店にも申し訳ないと思えた。総合不祥社での諸々の出来事で生じた企業への疑問や迷いが、払拭出来ていなかった為だが、今や言い訳だろう。実家に戻り、家族や、友との関わりから、自分の内面を見つめ直した事で、自我の再構築が進み、やっと、先の事を考えられる気持ちに成れた。
など、色々考えながら車を走らせた割に、あっさり面接は合格したが、靴の石田店を辞めるまでには、2か月を要した。。。。
 
工場勤務初日の朝―
ローバーミニに乗ろうとすると、
やっと本気になった顔だな、歳と兄貴に声をかけられた。
そうかな?
お前の性格からして、靴屋に申し訳ないと思うはずだが、吹っ切れた顔をしていたからな
確かに、店長にしてくれると打診されながらの辞めるまでの2か月、、、、悪いとは思ったよ
まぁ本気なら、それもありだろ、頑張りな
じゃぁ行ってくる
と車のドアを閉め、エンジンをかけるとBon Jovi  Keep the Faithが流れ出した。
結局、退職願いの差し戻しを3回、退職までの2ヶ月は休み無しで、店長となる事を受けて昨日の日曜休みだけを挟んでの今日から転職。
 
おはようございます!
と新しい職場の事務所に入った。
面接をしてくれた総務兼経理の清河課長から、研修目的で1ヵ月間の品管部門経験を指示され、袴田鴨課長を紹介された。
四方君は、前職が靴屋で、その前が総合商社なのだね。
はい、工場勤務は初めてです。解らない事ばかりですが、よろしくお願いします。
まぁ品管業務は技術系とされているが、関係部署との調整や客先対応など、業務は多岐に渡るから文系も理系も関係ない。品管に一番大事なのは、度胸と覚悟だよ

内心、研修ではなく、品管に配属されたような挨拶だと思いながらも、靴屋の最終日、新選組の話題が思い出された。
初めて会った時は、ふわふわした感じと、眼つきの強さの同居に興味をひかれたけど、今は、ふわふわ感が消え、覚悟を決めた感じが残念だけど、丁度、昨晩TVで見た、新選組の土方みたいだな。何を言おうが、考えを変えない。
、、、、前回の体調不調などによる退職とは違い、覚悟を決めた転職と言われたのは、家族や友からのアドバイスが大きな支えになったからだ。
幕末はテロとか暗いイメージで好きじゃないけど、調べてみようと意識が流れた事が、今後の仕事に大きく影響するとは、思いも寄らなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?