オワリはじまり⑤ 「読書の秋」

10月15日日曜日、僕は家でのゆっくりした時間を楽しんでいる。
昨日は午前中に健康診断を済ませ、午後から図書館で勉強、2日分の食材の買い出し、そして家に帰ってから掃除と家事…

社会復帰してからの僕は土曜日に外出や家事を頑張り、日曜日は1日中家でゆっくりすることにしている。

今日は天気がいいので庭にキャンプ用の椅子を出して本を読むことにした。
大自然に囲まれ、周りを気にしなくていい我が家だからこそできることかもしれない。

今日の読書時間で僕は「恍惚の人」を読み終えることができた。

この時に僕は初めて恍惚の人という本を実際に手にし、読むことができた。

そして、その数日後、野球観戦のために福岡に行った際に博多駅に隣接する博多バスターミナル内にある本屋で恍惚の人の改訂版を購入した。

この本の初版は母が小学生の頃に発行された歴史ある本。
戦後でまだ認知症(痴呆症)の存在が知られておらず、介護に関する制度がなかった時代に、少し前までの僕のように認知症の家族の介護を家族で奮闘しながら頑張る姿が描かれた本である。

この本を読んでいると、我が家との間に不思議な共通点があることがわかった。
・介護をする家族の中に孫も含まれている
・その孫の名前が亡き祖父と同名である(漢字も一緒)

上記の共通点をはじめ、認知症とわかる前の傾向、認知症患者の側で介護をする家族と側にいない家族の間で起こる「認知症」という病に対する認識の違い、周囲の人との関わり方など、この本を読んでいると終始「わかるな〜」や「こんなこと、うちでも起こったな」など自分の介護経験と照らし合わせることがよくあった。そんな時僕はいつも読書を止め、頭の中でその内容と似ている我が家で起こった出来事を思い返していた。

本当は介護中に読み終わりたかったが、上の理由やその期間に読書ができたのは祖母をショートに預けた日や野球観戦に行った日の移動中にでしか落ち着いて読む時間が用意できず、介護が終わった今日437ページを読み終えたのだ。

さいごに
現在の祖母の認知症レベルをこの本に登場する老人に例えると、本の3分の2を読み終えたあたりだろうか?もちろん老化の具合や年齢・性別の違い、この本に書かれてはいないがその老人が患っていた認知症の種類(アルツハイマー?)など違いがあるだろうが、この本の終盤、おそらく介護度でいう要介護4〜5あたりから最期の時を迎えるまでの内容を読む際に、僕は今後の祖母の姿を想像してしまった。

この本は僕の人生にとって、バイブル(聖書)的な存在になった。
通常の僕は読み終わった本は本棚から整理するタイプだが、この本は本棚の一部としてこれからも置き、時々時間を作って読んでいきたいと思っている。



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