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【小説】バージンロード vol.3「入り浸り」

そんなこんなで合鍵をもらった私は、毎週末遊びに行った。

週末はソウも家にいることが多く、一緒にチャットしたりしてすごした。

たまにはウィンドウショッピングにも行った。

ソウは雑貨屋が好きで、いくつかお店を見て回るのが好きだった。

私も影響されて見に行くことが好きになった。

この頃は、まだ、ハンドルネームで呼びあっていた。

ソウがシールで、私が豆。

ネームがシールの由来は知らない。

私の名前は当時読んでいた絵本に由来する。

そのうち、私は平日にもソウの家に入り浸るようになった。

当時、うつ病がひどく、会社を休むことが多かった私は、ソウの家に入り浸ることがかなり多くなった。

そのうち泊まったりするようになり、私たちは自然と付き合うようになっていった。

ソウはいつも優しく、ニコニコしていて怒ることがなかった。

私がパニックしてヒステリーを起こしても、にこやかに優しく笑いながら対処してくれた。

優しく背中を撫でられる、幸せな一時だった。

二人でビストロ巡りなんかもした。

私がビストロ好きと知ったソウがお店を探してくれたのだ。

三店舗くらいをうろうろした。

食べてるときにソウが美味しいね、と言う、その瞬間が幸せだった。

私は、大学に行きたくても家庭の事情で行けずにいたので、お昼を学食で食べるのも楽しみだった。

大学はやっぱりオーラが違う。

若者の元気一杯のオーラが充満している。

職場のだらだらした雰囲気とは全然違って好きだった。

一番楽しかったのは、学祭だった。

ソウの部も屋台をだしていて、美味しい焼きそばを買った。

次の日には、演劇の公演があってソウが音響で活躍するところも見れた。

学祭など行ったことがなかった私は、存分に学祭を堪能した。

職場を休みがちになり、長期病欠いう話が出てきた。

私の会社には3ヶ月病欠をとることができるシステムがあった。

当然休みがちな私は、そのシステムに則り休むこととあいなかった。

親にも秘密で毎日アパートに通った。

この頃から、やっとお互いを「ソウ」「あゆみ」と呼べるようになっていった。

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