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君が恋をしたなら vol.15「満足」

今週もやはりダメダメ週間だった。

気持ちを切り替えて仕事しなきゃとわかっているのに、どうしても二人のことが気になってしまう。

恋煩いだわー、なんて呑気なものでなく、仕事にも影響してるから、やっかいだ。

普段のメールは何も変わっていない、ただ、サイズアップしたらね、の冗談を言わなくなったくらい。

言わなくなったって、結構ピンチじゃない?それだけ麻美に傾いてるとしたら…。

自問自答する。

食欲がわかない。ダイエット中だからいいんだけど、食べたくない。

お母さんにまで心配をかけている。

食事も喉を通らないなんて、ほんとにあるんだなと思った。

この週の土曜日も、麻美は一緒だった。

今日は麻美、ユウタ、私、ふみ、マルオの順で席が決まった。

ユウタはスツールをギコギコしていたので、こけるよ、と注意した。

選曲には、また頭をくっつけて、ポテトあーん、も健在。

ただ、今日は座る位置関係から、腕をくんだりはできなかったようだ。

二回目ともなると慣れるもんで、むかつきはともかく、自分も歌いたい曲を入れていた。

むかつくけど、彼女でもない私は出る幕もないわけで。

マルオが

『二人とも、仲がいい、つきあっちゃえば?』

と囃し立てて、ふみにつねられていた。

『そんなことないですよぉ、ね、先輩!』

『まあ、そうだな。』

と曖昧に答えるユウタ。

そんな二人にイライラする私。

と、そのときだった。

スツールをギコギコしていたユウタがバランスを崩した。

思わず受け止めようと、飛び出した。

ユウタは受け止めたけれど…。

『いでーーー!』

女の子らしからぬ痛がりかただ。

指が、指が変な方向に!!

ユウタは飛び退いて私を抱き起こした。

ユ『俺、ちょっと病院連れていくわ』

カラオケ七時間パックにしててよかった、と思った瞬間だった。

すぐに近くの救急病院へと移動する。

こんな真顔のユウタは初めて見た気がする。病院についたら、なにやら混みあっている様子。

今日は土曜だから、休日診療になるらしく、めちゃめちゃ待たされた。

待たされる間に何か話さなきゃと思うが、思うような話題がない。

ふと、ユウタがしゃべりだした。

『俺のせいでごめんな…。』

『ううん、思わず飛び出したのは私だから。』

『みんなにも悪いことしたな』

『しかたないよ』

一時沈黙。

今度は私から話しかけた。

『麻美ちゃんのこと、どう思う?』

『どうって…。まあ、可愛い妹?』

『私は?私のことは?』

頭をくしゃくしゃしてくると、

『お前は特別だからな』

と言った。

それだけで、私は満足だった。

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