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【小説】バージンロード vol.8「繋ぐ」

街はすっかりクリスマスモード一色だ。

いたるところでクリスマスソングが流れ、イルミネーションも始まった。



私もレンへのプレゼントを買っていた。もちろんソウの分も。

パチンコにはまりすぎて借金地獄だったが、そういうことは参加してしまう私なのだった。



クリスマスは先にレンに会うことになった。

待ち合わせの駐車場につくと、レンはもう来ていた。

「待った?」

「少しね」

レンが大きな紙袋を持ってくる。

「これ、気に入ってもらえるかわからないけど、プレゼント」

「なんだろう?開けていい?」

と言うと、どうぞと言う。

開けてみてびっくりした。

白のダウンジャケットだった。

前から欲しかったのだけれど、汚すから、と言って買ってもらえなかったものだった。


それから、ちいさいかわいらしいピアスも入っていた。


ダウンジャケットについては、以前ウィンドウショッピングの際にちらっと言っただけなのに覚えてくれてた。

私はそれがうれしくて、すぐに着てみた。

ちょうどいいサイズ。

実は、購入にあたって、私と同じくらいのサイズの店員さんにわざわざ着てもらって確認したらしい。



早速着てからショッピングモール散策をする。

新しいジャケットを着ただけで妙に自分に自信が沸いてくる。



私はレンに、アウターをプレゼントした。

実は、セール品。かなり安かった。

それとは知らずレンはとても喜んだ。

「これ、高かったんじゃない?」

「う、うん、まあね……。」

ホントは安かったなんて言えない。


とりあえず喜んでもらえてよかった。



帰宅すると、ソウから荷物が届いている。

中身を開けてみると、かわいらしいネックレスだった。

これならいつもつけていられる。

ソウのプレゼントは、次の日、クリスマスに渡しに行った。

こちらもアウターだった。

この日は久しぶりに二人でビストロへ行った。

そして、久しぶりにソウの家に泊まった。



わたしには、二股をかけている感覚はなかった。

それぞれにいいところがあるし、大事にしてもらっているからだろう。



クリスマスを通して余計に大事にされていることがわかった私。

けれどいつかはどちらかを選ばなくてはならない。

それがいつかは、わからない。



クリスマスが過ぎたら正月だ。

正月のカウントダウンの相手は、ソウに決めた。


とある山の上にあるお寺で、除夜の鐘を聞きながら迎えようということになった。

レンは正月は実家に帰るそうだ。実家は県をはさんで、隣の隣の県だ。

ソウも実家に戻ってきている。

ソウの実家は隣町で、車で10分くらいの位置にある。


私はソウを迎えに行くと、出発した。


車を一時間ほど走らせると寺が見えてくる。

すでに人だかりが出来ている。

除夜の鐘を鳴らす順番のために並んでいるのだ。私は興味がないので、スルーして先を急ぐ。


カウントダウンの花火を見るためだ。


結構途中時間をくっていたので、間に合わないかな……と思いながら坂道を登る。


登りきったときに花火が始まった。

「明けましておめでとう」

ソウが笑顔で言う。

「今年もよろしく」

私も笑顔で返す。


そして私はレンに花火の写メを送った。

レンからの返事はこの日は来なかった。



家に帰り、一旦寝てからまたソウと合流する。

初売りのモールを見に行くためだ。

さすがに人が多く、はぐれそうになる。

はぐれると、私と同じ身長しかないソウは見えなくなってしまう。

二人はしっかり手を繋いだ。


この手が離れてしまわないように。

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