見出し画像

VRにおける"時間"と"自分" - VR演劇「Virus」と音と光の祭典「バチャフェス」で感じた、"没入感"以上のもの

つまり

VRの没入感なんてものは当たり前になりました。

VR関連イベント盛りだくさんの3連休

こんにちは、ちまきん(@__timakin__)です。

先週の日曜日、掃除洗濯ツイッターをしていたときにふと見つけた、バーチャル劇団まぼろし座第3回公演、 VR演劇「Virus」と、VRChatで開催されたミュージックフェス「VIRTUAL FESTIVAL 2018(通称:バチャフェス)」に視聴者として参加してました。


VRコンテンツ盛りだくさんの東京ゲームショウも開催されてたのに、同じ日にこれやってるのやばくないですか?

なおもう一つ、VR個展「1%の仮想」も開催されていたようですが、すみませんこちらは行けませんでした。要領が悪かった。


さて、以前VRChatが、現実世界における認識を変えてくれたという主旨のブログを書きましたが、今回は少し違う視点から価値観の変化を感じたので、それを記録しようと思います。

大まかに書くと、これまでVRChatで自ら様々な場に身を運んでいくことで、別の世界も見てみたいという欲求が強くなり、リアルワールドでの行動の動機付けがされていたのですが、今回は視聴者という受け取り手の立場からイベントを観ることで、バーチャル空間ならではのスケールや、バーチャルにおける自分のあり方というものを考えさせられた、という話です。


Virusについて

Virusとは...?そのストーリーとは?脚本に込められた筆者の気持ちは...?とかを論じるつもりはありません。というか以下です。早く体験してください。

このVR演劇が他の視聴型コンテンツと違うところは、やはりVRならではの登場人物がいる空間に同居しているような点や、遠目のスクリーンではなく非常に近い距離で、それこそ足元くらいの位置で生じるエフェクトだったりによって、自分の身に起こっている出来事として錯覚しながらパフォーマンスを楽しめる点でしょうか。キャラクターが驚く場面で自分が普通に驚いてしまい、その場を自分ごととして捉えることができます。

また、場面転換の手法として、自分自身がステージから距離を置きつつ移動し、別のシーンにシームレスに移動するというものがありました。これは通常の演劇で見られる回り舞台とはもう1次元高く、Z軸方向にも座標移動していくことで、より目の前の舞台を一個の世界、箱庭のようなものとして捉えることを可能にしています。

個人的に楽しめた点は、ストーリーもそうですが、製作者の方が手法をこらすなかで、自分の視聴スタンスが「その場にいるかのような主体的視点」と「箱庭を眺める第三者的視点」を往き来していることに気づいたことでした。

これは、VRでの体験をよく表現するのに使われる、「没入感」という単語で表わそうとすると、単語の表現力が、表そうとしている事象の多面性に負けてしまう稀有な事例ではないでしょうか。


バチャフェスについて

Virusの興奮冷めやらぬまますぐにバチャフェスに向かいました。「まったくよぉ、世界が俺を休ませてくれねえな〜(最上のイキり)」 って感じの顔をしながらVRChatのセットアップしてた気がしてて、だいぶ気持ち悪かったと確信してます。

バチャフェスはVRChatでの開催でして、招待制のワールドとサテライト中継のワールド、あとYouTubeでの動画配信がありましたが、僕はサテライトの方で参加しました。これも努力が足りない。

このイベントも4K全天球動画として視聴することができます。早く見て。

今回の動画配信は、VRChatにワープゲートをつくりがちな、安心安全のVoxel Keiさんによるものでした。

イベント自体は途中アクシデントもあり、「ワールドが落ちる」という事態もありましたが、「これが世界を落とすデスボイスってやつか、わははー」などと軽口を叩きながら皆不満を言わず参加していたのが、参加者も作る祭りって感じがしてよかったです。この表現、コミケを表すのによく使われますね。

あと、たまにパフォーマーが再ログインさせられてVRChatのルームが一面に映し出されてたのはめっちゃ笑いました。まあでもこれは見ているものを共有する別の類のコンテンツとして楽しめたのではないでしょうかw

さて、会場のワールドに入るとまずヘリポートのような場所に落下して、次のような階段を登ってフェス会場に向かいます。だんだんとフェス感あるパネルが見えてきてるのがわかると思います。攻殻機動隊で見たぞこんなサイバーパンクって感じの風景ですね。

サテライト会場は可愛いアバターの人がいっぱいで、僕がいた会場にはキツネツキさんがいらっしゃいました。嬉しくてまだ話してもいないのにフレンドリクエストを送るという不審者ムーブをかましたあと(キツネツキさんリクエスト承認ありがとうございました!)、ステージを見始めました。

パフォーマンスが始まって、ステージの音楽を聴きつつ、周りを見渡せばパーティクルが飛び交い...って時間が過ぎて行きますが、それはただ広いワールドを見た時とは違う、もう少し現実感を伴った場として体感できました。

「VRだとこんなに広い空間も表現できるのかー、奥行きあるなー」とかではないのです。「うわぁ、広いなあ」とだけ感じるんです。これは、初めて学校の体育館を見た時の感覚におそらく近いと思います天井が自分の背丈よりはるか上にあり、届きそうもないなとか、ステージまで距離遠いなとか、そういった現実的な距離感を感じるんです。

音楽という現実にもあるパフォーマンスと、実際それが行われる場所を模したワールドというシチュエーションが用意されたことで、僕はその場にまさしく没入し、現実を見る感覚とバーチャル空間を見る感覚が融け合っていくのを感じました。

ちなみにライブのコンテンツについてですが、おきゅたんが勢いよくジャンプしてるのを見て、「ひゃぁ〜アイドルとしての素質〜」となりました。じーえふさん編曲の音楽に合わせてじゃんじゃん盛り上がっており最高体験でした。


今回の2つのイベントが変えた、僕のVRへの印象

この2つのイベント、合計時間は半日にも満たないわけですが、VRというものへの捉え方を、また一歩進めてくれました。ここで主に感じたことは2つです。

1つ目は、自分がVRというものを「仮想」ではなく「ほぼ現実」とみなし始めると、現実と同様に自己というものを考え始めるということです。具体的には周りを見渡しながら自分がどんな存在なのかというのを意識し始めるということです。

周りに可愛いアバターの人が多かったからもあるとは思いますが、自分があたかも現実と同じような場所にいると感じ始めた頃、自分の使うアバターに対して「」のような感覚が芽生え始めました。

"見た目"という現実ではデフォルトパラメーターにかなり依存する要素が、バーチャルという空間ではコントロール可能なわけですが、その要素をユニークで優れた形に持っていくまでになっていない場合、そこまで持って行けてる人に対して多少なりの劣等感、恥というものを覚え始めるのだと知りました。まあこれは僕が意識しすぎな面もありますが、目の前の空間を本当に自分ごととして捉え始め、そこに他者がいると、周囲と比較した自分のあり方について考え始めるんだなあと、改めて感じました。

2つ目は、「ライブ」という要素の定義を見直す必要があるかも、ということです。僕はライブとは、「今、全く同じ時系列で生じていることをどう感じるか」にかかっていると思ってましたが、そうではないようです。

VRで行われるライブというのは、空間で起こった出来事をほぼそのままリプレイ可能な、「繰り返せる今」という性質を持っています。それは例えば、感受性の高い人が自分の行ったライブの録画を見て、その思い出を想起して臨場感を感じるとかそういうことではないのです。VRで保存されたライブというのは、その体験を同じ時刻に経ていようがいなかろうが、臨場感を感じることができます。これはとても大きな違いです。

もちろん、その場にいる人と体験を共有するということはできないかもしれませんが、再現上映を大人数で同時に視聴するということができれば、それはほぼ同一の体験をできていると言えるのではないでしょうか。酒の肴に思い出話をするとかではなく、もし思い出したかったらそれを体験すればいいのです。僕はここにロマンを感じずにはおれません。


まとめ

ここまで書いて何が言いたかったかというと、これまで「没入感」をいかに追求するか、五感をどう満足させるかという観点に目が向けられていたVRですが、全く別の角度から僕はその没入感を超えた感覚を覚えることができた、ということです。

ViveやらゲーミングPCやらに投資して、高い買い物をしたと感じたことは正直あまりありません。ここに書いたような、現実だけでは見えない物事の捉え方というのを見つけさせてくれる機会を買ったと思えば、お得と答えるほかないでしょう。

最後に、上記のようなVRの可能性を、手を動かし実現し、驚くことに無償のものとして披露してくださったクリエイター、演者のみなさま、本当にありがとうございました。「今」が「未来」に近づいていくシーンに立ち会えるというのは、とてもありがたいことです。


#VR , #VRChat , #バーチャル , #VTuber , #バーチャルユーチューバー , #音楽 , #エンタメ , #芸術 , #アート , #フェス , #演劇 , #ポエム , #エッセイ , #テクノロジー , #youtube , #ART



この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?