萌木さな

宮沢賢治、中原中也が好きです。

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最近の記事

【詩】晴天

「晴天」 間抜けなほど晴れた日に 洗濯物を干していると 用水路に沿った側溝から 栗色のイタチが出てきた イタチは慌てた様子で 道路を横切って近づいて来たが すぐに向きを変えて引き返し また側溝に入っていった 何がしたかったのだろう

    • 【詩】秘密

      「秘密」 夜更けの森 月明かりが湖に揺れる 動き出す小動物達 山猫が笑う 枝に爪を立てて掴まっている フクロウ 丸い目を見開いて 首をクルッと回し様子を伺う カサカサと雑草の音 タヌキがエサを探している モモンガが木から木へと 四肢を広げて滑空する カラスウリが咲いて 甘い匂いを漂わせていた

      • 【詩】過去

        「過去」 古びた家に 向日葵の絵 荒廃した村 人影はない ギシギシと音を立てる 外れかけた扉 焼け焦げたカーテン 風に舞う砂埃

        • 【詩】泥水

          「泥水」 泥水に落ちたように 視界が濁ってゆく 光が遠ざかり どんどん暗くなる (心は自分の中にある) (周りを見渡してはいけない) そうだ このまま沈んでしまおう 深く深く 光の届かない場所まで そうすれば もう、何も見なくていい

        【詩】晴天

          【詩】醜いアヒル

          「醜いアヒル」 理解されずに辛いのは 相手がいるから 伝わらなくて苦しいのは 集団でいるから いっそ、 人間なんて下等生物だと 地球外生命体にでもなってしまえば 楽になるのかもしれない 醜いアヒルの子が 白鳥だったように 寂莫の中で つまらない蜃気楼を見る 醜いアヒルの子は 醜いアヒルになった 辺り一面に何も見えなくても 心の中には仲間がいる事を 忘れてはいけない

          【詩】醜いアヒル

          【詩】サヨナラ

          「サヨナラ」 或る日、突然 私を理解してくれる人は誰もいない という孤独に襲われ 夜中に酷く泣いた 今でも、時々 同じ様な孤独に 胸を痛める時がある 寂しい 音もなく乾いた風が吹く 白骨化する自愛 遠ざかっていく人影 ただ、受け入れるしかない サヨナラ

          【詩】サヨナラ

          【詩】老眼

          「老眼」 近くのものが見えなくなる 老いるとは そういうことなのかもしれない やたらに 遠い過去の事を思い出して 感傷に浸る 枯れていく花から 目をそらすように 雑踏に 足が衰えて着いて行けなくなる 独り 夕陽に照らされて ポツポツと歩く

          【詩】老眼

          【詩】詩の定義

          「詩の定義」 抽象的なイメージではなく はっきりと伝えたい 今は そんな気分 すぐに飽きてしまうだろうけど 詩というものに 抗いたいのかもしれない もがいてあがいて その先に何もなかったとしても 全ては終わるのだから いずれは消え去るのだから 好きなように歌おう

          【詩】詩の定義

          【詩】約束

          「約束」 綺麗事を書きましょう 肉体の苦しみは一旦忘れて それが文芸というものです ここは避難所 あなたを怖がらせる鬼は ここにはいません 優しく風が吹いて 草花を揺らし 小川からは せせらぎが聞こえます 木漏れ陽が差し込み 陽だまりに蝶が舞う 空は青く高く 澄み渡っています 小鳥のさえずりと 爽やかな樹木の香り 岩には苔が映え 透き通った雫を湛えています あなたが苦しい時や辛い時 全身から涙や叫び声が放たれる時 ここに再び帰って来てください 私と約束をしましょう

          【詩】約束

          【詩】言葉と文芸

          「言葉と文芸」 言葉に壁があったとしても 文芸に壁はないと アルチュール・ランボーの翻訳を読んで 確信しました どんなに多言語を話せたところで 言葉に心が込もっていなければ 誰の心にも届かないでしょう 例え拙い言葉づかいでも 心が込もっているのなら 必ず誰かの心に届きます 文芸にとって 言葉は道具に過ぎません 心と心が出会う場所 そこに詩が宿るのです

          【詩】言葉と文芸

          【詩】鬼ごっこ

          「鬼ごっこ」 朝8時までに出社 のために 押し込まれる満員電車 ラインに流れる製品に追われ 機械に巻き込まれて亡くなった労働者 時間に人間に機械に追われ 逃げ回るストレス社会 病気になり障害を負い死亡するまで 終わりの無い鬼ごっこ

          【詩】鬼ごっこ

          【詩】ココロ

          「ココロ」 私達は それぞれが自分の夢の中に生きているので なかなか出会う事がありません お互いに向き合っていても 別の場所にいるのです だから心が大事です ココロはココノトコロ この場所という意味です 私は あなたを待っています いつでも この場所で

          【詩】ココロ

          【詩】ヒグマの目

          「ヒグマの目」 お腹を空かせたヒグマにとっては 聖人君子も極悪人も 食糧にしか見えないでしょう 善悪は 人間が人間に押し付けた 人間のためのルールで ヒグマには ヒグマを保護する法律さえ 関わり合いのない事です 山に食糧が無くなれば 人里に降りてきて 大きな爪で人間を襲い それを山に持って帰って 子熊達に与えているかもしれません すると 子熊達は人間の味を覚えて 大きくなると同じようにするでしょう だから 昔は生け贄とされた人間が 自ら山に入って行き ヒグマが

          【詩】ヒグマの目

          【詩】肝腎なのは

          「肝腎なのは」 肝腎なのは 期待しないこと 自分にも他人にも未来にも そうすれば 少しは楽になるでしょう 肝腎なのは 期待に応えようとしないこと 親や友達や世間に対して 期待は応えれば応えるほど 重く伸し掛かってくるでしょう 誰にも期待せず 誰の期待にも応えようとしなければ あなたらしくいられるでしょう

          【詩】肝腎なのは

          【詩】貧乏神

          「貧乏神」 貧乏神は良い神様です 貧乏な人を幸せにしてくれる神様だから 痩せていて非力で不運な神様 青白い顔で着物も継接ぎだらけ 座敷童子は悪い神様 お金持ちにしてくれる神様だから 可愛い顔と美しい髪の子供の神様 まだ幼いから気まぐれで悪戯好き 家に来ると大金持ちになれるけど 家から出ていってしまうと没落します だから 私は貧乏神を祀るのです

          【詩】貧乏神

          【詩】心を込めて

          「心を込めて」 心無い言葉は 人を傷つける 言葉には 心を込めて 言葉は 毒にも薬にもなるから 心を込めて あなたに贈りたい

          【詩】心を込めて