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40名のスタートアップが4ヶ月で自己応募で12名採用できた話

採用こそスタートアップの一番の悩み

スタートアップにとって人材採用は一番の悩みではないでしょうか。ノインでは私が入社したとき社員は私を含めて10名でしたが現在では50名を超える規模になってきました。採用については昨年の12月まで専任の採用担当なしでなんとか回してきましたが、さすがに回らなくなり4ヶ月ほど前から採用担当を採用して採用を強化しています。採用担当を入れてからの成果は以下です。

採用担当:2020/12入社
実績(2020/12以降の入社):19名(うち自己応募12名)
※全社員54名に占める新入社員:35.1%


実に現在の全社員の1/3以上が新入社員です。

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※私が入社したのは2019年3月

採用担当の採用

40名の規模まで専任の採用担当なしでノインが採用をできていたのは管理部の部長である土屋がエージェント出身だったため、採用がどういうプロセスで進むのか、エージェントとの交渉はどうすべきかというようなことが分かっていたのが大きいです。ただ、土屋はエージェントでは経理担当だったため、ノインでも採用の他に、経理や総務等々も兼任し、採用は割と片手間で最低限だけやっていた感じでした。コロナがどうなるかわからなかった昨年は採用を弱めていたために専任の採用担当をおく判断が出来なかったというのもあります。兼任ということを考えると十分よくやっていたとは思いますが、採用を強化して事業にドライブをかけようというタイミングでこの体制ではまずいということで採用強化の第一歩として「専任の採用担当の採用」を決めました。

「一人目の人事」ということで採用担当に求めたことは2点

会社の事業そのものに興味があること

カオスを楽しめるメンタリティ

採用においていちばん重要なのは会社の事業方針や魅力を正しく候補者に伝えていくことです。特に私たちのようなスタートアップでは朝令暮改的にやることが大きく変わったり、予算や人的リソース配分が大きく変わることはよくあります。よくわからずに事業を眺めているだけでは会社の意思は分かりません。経営側の課題でもありますが、このあたりを正しく伝えなくては社内は混乱してしまうのですが、なかなかこれが徹底できないのも事実です。私たちが採用担当に求めたのはこのカオスの自発的なキャッチアップです。そしてこれを楽しめるかどうかはとても大事です。

事業で今どこが一番重要か?これから問題がおきそうな部署はどこか?それにあたって採用すべき人材はどこにいるのか?

これらは事業に興味を持ちながら経営とコミュニケーションを取れる人でないと難しいです。かなり多くの方々と面談させていただき、昨年12月に渡邉にJOINしてもらいました。元エンジニアというキャリアからスタートし、エージェントのトップセールスを経て当社に来てくれました。

渡邉は開発経験が5年あり、エンジニアのレジュメが読めるだけでなく、質の高いカジュアル面談が可能で今かなりの数をこなしています。ここについてはこれからのエンジニア採用の実績に期待したいところです。

具体的な採用強化ポイント

正式に専任の採用担当をおいて社員採用を進めるにあたりKPIとしたのは2つです。

①エージェントからの紹介を増やす

②自己応募を増やす

エージェントからいい人を沢山紹介してもらう自ら当社の魅力に気づいて応募してくれる候補者を増やすというために何ができるのかを軸に戦略を組み立てました。

最初にやったこと

まず最初にやってもらったのは「出来るだけ多くの人に会う」という当たり前のことです。理由は、下記3点です。

・候補者の経歴だけでは分からない考え方・マインドを知るため

職務経歴書やwantedlyの経歴だけでは、候補者をスキル観点でしか確認できません。一緒に働くにあたって重要な考え方やマインドなどの詳細を確認することが書類だけではできない為、会うことで経歴書では見えない部分を確認してもらっています。

・候補者にノインのことをよく知ってもらうため
ノインではまだオウンドメディアや会社説明会動画などがまだ充実していないので、会社のことを理解してもらえる場が少ないです。なので、一次面接では人事から候補者に沿った形での会社説明を意識しています。

優秀な候補者だと10社以上同時に受けているケースも多く、最初の面接の印象次第で今後の選考に進むかどうかを判断する大事な接点でもあります。そのため、最初の面接は相手の状況を確認するのと同時にノインの魅力を十分に伝えられるよう意識して面接に当たっています。

実際入社してもらった社員からも、一次面接を数多く受けて選考を絞っている中で、ノインの最初の印象をよく思ってもらったことが二次以降に進んだキッカケと入社後に感想もらっています。

・候補者全ての転職理由や希望を把握したいため
一次面接通過で次回選考の際に、候補者の転職理由や希望を把握してエスカレしておくことは非常に大切です。わざわざ形式的な同じ話を何度もするのは時間の無駄ですし、ご縁あって入社に至った際の配属部署や、面接を進める中での他社との比較など、その候補者のことを知っているか知っていないかでは進め方も全く変わってきてしまいます。背景の理解は当然ですが採用でも重要です。

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※ある週の渡邉のスケジュール(24件の面接が入ってます)

エージェントからの紹介を増やすためにやったこと

エージェントは様々な人材を抱えています。彼らを活用せずに採用を進めるのはやはり難しいです。彼らに登録のある「いい人」を優先的に紹介してもらうことは非常に重要です。対エージェントでやったことは非常にベーシックですが手間はかかります。具体的には、

・エージェント説明会の実施

・CA(キャリアアドバイザー)向け説明会の実施

・各エージェントとのMTG(応募要件摺り合わせ)

・クロージングストーリーの設計

・会社説明会資料の刷新

などです。主だったところをご説明します。このあたりの戦略は元エージェントならではかもしれません。

エージェント説明会の実施

ノインではエージェント向けの説明会を毎月実施しています。開催の目的は、月一で定例化することで、エージェントにノインの今欲しい人材を理解してもらうことと、ノインの今の事業をエージェントにも理解してもらうことです。エージェントの事業理解が曖昧では紹介してくれる人材像もぼやけてしまいます。ここのピントがズレることは採用につながりにくいのでお互い効率が良くないです。

裏の目的は、70社近いエージェントさんと取引しているので、全て個別で定例にしていると時間もかかるので、月一でまとめて説明することで時間効率化という目的もあります。

説明会の内容は、最新の募集要項の説明と、最新の事業内容の説明です。
参加者はノインと取引のある全エージェント向け(ノイン営業担当の参加者がほとんど)でオンライン開催です。

事業内容とそれに伴う募集人材がコロコロ変わるのはスタートアップならではと思うので、月一開催し、最新の情報をアップデートしてもらってます。

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※エージェント説明会で私が事業説明しているシーン(ガラ悪い…)

CA(キャリアアドバイザー)向け説明会の実施

候補者と距離の近いキャリアアドバイザーにノインの事業の魅力と、採用温度感・採用基準を理解してもらうことで、ノインへの応募数を増やすことも重要です。

普段のエージェント説明会は、営業担当(RA/リクルーティングアドバイザー)しか参加しないことか多いです。そのため、リクルートのような分業制をしいている大手エージェントの(候補者と繋がりの深い)キャリアアドバイザーにまでノインの情報を伝えるのは難しい状況でした。

そこで、直接キャリアアドバイザーと会話する機会(CA向け説明会)を設け、キャリアアドバイザーに直接ノインの魅力や採用温度感や採用基準を伝え、結果応募数の向上に繋がりました。

対象は、全エージェントではなく、注力している各エージェントごとに個別で実施しています。

(ちなみに、CA向けの説明会と最初聞いたときはなぜサイバーエージェント向けに説明会をするのか謎でしたw)

クロージングストーリーの設計

ここはけっこうハックだったなと思っているのですが、クロージングのストーリーをエージェントさんと一緒に決めるようにしてから内定承諾率が格段に上がりました。基本、採用担当はエージェントにクロージングのストーリー(内定がでた候補者に対して、いつを回答期限にするか、どのタイミングでオファー面談するか等々)を任せることが多かったりしますが、ノインではクロージングのストーリーをエージェントさんと擦り合わせしながら決めています。

スキルの高い候補者の方だと複数社から内定が出ることも多いですが、その際私たちを選んでいただくにあたってはクロージングのストーリーが非常に重要になります。

このストーリー決めが苦手なエージェントさん(そもそもストーリー決めすらしていない)は意外に多く、かつエージェントさんがストーリーを決めたとしても採用担当側が全く協力してくれず絵に描いた餅になるケースも多いので、そのストーリーは実現可能なのかをエージェントさんと擦り合わせをしながらストーリー決めを進めています。

実際このストーリーを握るようにしてから、営業のマネージャーや、iOSエンジニアなど重要ポジションの採用に成功するなど明らかな効果が出ています

会社説明資料の刷新

会社の説明を丁寧に行うと最低30分はかかってしまうということもあり、説明資料を投げるだけというエージェントさんも多いと思います。なかには説明資料を候補者に見せたり見せなかったりすることも散見されたので、説明資料を刷新し、ノインへの応募意思に関わらず、ノインの求人を紹介するフェーズで説明資料を必ず候補者に送ってもらう運用を徹底してもらったことで、応募数が格段に上がりました。

また、会社説明資料をキャリアアドバイザーがどう候補者に口頭で説明していいか分からないというのもあると思ったので、キャリアアドバイザーが候補者に口頭で説明する用に、会社説明資料に吹き出しでこう説明してくれという別の資料を作成して展開したのもエージェントさんからは評判良かったです。

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※会社説明資料に説明しやすいよう吹き出しで解説を入れた例

自己応募を増やすためにやったこと

エージェントを介さずに自己応募をしてきてくれる候補者もかなり増えました。スタートアップは資金に余裕がないので、エージェント経由よりも自己応募のほうが助かるのは事実です。エージェントフィーは候補者の年収の約35%でスタートアップにとってはかなり大きい金額です。エージェントさんからもいい人はご紹介いただけるのでたいへん助かっていますが、当社の魅力がもっと伝わって自己応募が増えてくれるに越したことはありません。先に触れた2020年12月以降の新規採用19名の採用のうち、直接応募はなんと12名です。

具体的に実施したのは下記です。

・wantedly求人アルゴリズム対策

・会社説明会の実施

wantedly求人アルゴリズム対策

求人媒体として定着しつつあるwantedlyですが、競合が非常に多く、その中で目立つのはなかなか難しいです。一方でうまくハマれば直接応募が増え、結果としてコスト削減にも繋がります。ノインでは直接応募を増やすためwantedly求人対策をおこない、各種KPIを伸ばすことができました(2020/7-11と2020/12-2021/4との比較)。

フォロワー数 +2223名 +35%
応募数 +1665名 +33%
ブックマーク数 +1713名 +37%
PV数 全国3位(34,497社中)

wantedlyで応募件数を増やすためには、wantedly内での掲載順位を上げる必要があります。この掲載順位は、wantedly内のサイトアルゴリズムによって変わってきます。このアルゴリズムは非公開ですが、PV数を増やす、ブックマークしてもらう、応援をもらう、フォロワー数を増やすと掲載順位が上がるのは明らかなので、色々と思考錯誤しています。

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※競合を抑えて3位を獲得

例えば、
・求人は新規で作成することによって新規求人タグが出るので、定期的に新規求人に書き換える

・ハッシュタグで、今話題のキーワードを既存求人に定期的に入れることで、検索時にヒットしやすいようにする

・写真とタイトルで着目度も変わってくるので、色々な組み合わせのパターンを試す

などです。SEO的な考え方や広告運用的な知見がここでは役に立っているかもしれません。アルゴリズムが非公開ではあるので正しい努力かどうかという点は結果でしかなかなか分かりませんが、色々と試行錯誤することで傾向はつかめてきます。結果としてPV数・フォロワー数などが大幅に伸びて、結果応募に繋がりました。

会社説明会の実施

エージェント向けやキャリアアドバイザー向けの説明会は先に触れましたが、候補者向けの説明会も実施しています。この目的は、ノインの内部を知ってもらい、ノインの認知をあげることです。

ノインではまだオウンドメディアを通じた外部発信をまだできておらず、社内の雰囲気や事業にかける思いなどを候補者に届く形で伝える手段がまだまだ少ないです。これからやっていく予定はあるもののそこまで出来ていないのが実情です。

そのため、会社説明会を書類選考無・応募意思不問で実施し、ノインについて幅広く知ってもらうことを目的に開催しました。この説明会では私も登壇して事業について色々と思いをお話しましたが非常に鋭い質問も飛び出し、私にとってもとても勉強になりました。

前回が初開催でしたが評判も非常によかったため、これからも定期的に開催していこうと思っています。初回は45名の方に参加いただき、終了後のアンケートでも大変好評でした。

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※ノインにとても興味を持ってもらえました

そんなこんなで引き続き積極採用中です。募集しているのは下記ですが、それ以外でもご興味あれば是非ご連絡ください。


サポートいただいた場合とくに収入とするよりは書籍購入やセミナー参加等してその内容をまとめるなどの方法で還元予定です。