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ジャズ・アンバサダーズ 「アメリカ」の音楽外交史

時代を追うごとにより自由な表現形態を追求し、演奏者個人の創造性を重視する「自由の国アメリカ」を象徴する音楽、ジャズ。第二次世界大戦後、「自由」を宣伝し国内の人種問題に対する負のイメージを払拭するため、アメリカはジャズミュージシャンを「ジャズ大使」として積極的に世界各国に派遣します。しかし、その思惑通りには行きません。ジャズのもう一つの側面である「抵抗の音楽」が、国境と人種を超えて影響を与え合う様子を浮き彫りにした斎藤嘉臣氏の『ジャズ・アンバサダーズ』(講談社選書メチエ)は、まさにジャズセッションを間近で見ているようなスリリングな一冊です。
また興行である以上、「米国内のツアーの方が儲かるから」という理由で政府からの依頼を断るミュージシャンや、人種差別を禁じる契約条項を入れることで、偏見をビジネスの面から打破していくプロデューサーがいたことも重要です。

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