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子どもの7人に1人が貧困の意味

今、日本では子供の7人に1人が貧困状態であるとされています。

え?うそだろ?と思いますか?

もしそう思われた場合、おそらく「貧困」のイメージが
現実とズレているからだと思われます。
貧困、というと、我々の世代(40〜50代)は、
昔のカンボジアの難民とか、USA for Africaとか、
そういうイメージを思い浮かべがちです。

けれど、現代の日本で定められている貧困の定義は、
年収122万円以下の人を指します(相対的貧困)。

年収122万円以下の17歳以下を子どもの相対的貧困といい、
それが7人に1人なのです。

子どもたちの多くは自活しているわけではないでしょうから、
その親が貧困であるということが原因の場合が多いでしょう。

こういう現実を知って、あなたはどう思うでしょうか。

7人に1人の子どもが、経済的に極端に困窮している。
その親も概してそうである。

つまり、この社会の一部に、困った人、可哀想な人、哀れな人がいる。
自分の見えないところに、この世のどこか目立たない裏側に、
そういう人たちがいる。そう感じてしまいますか?

だとしたら、それはもしかするとまちがいかも知れません。

7人に1人とは、35人のクラスの中で5人です。
我々、ベビーブーマー的に言えば、42人のクラスで6人。
それだけの子が貧困で、生活が本当に苦しいのです。

人間というのは、ご飯だけ食べてればいいのではありません。
社会の中で、社会に参加しながら生きていくには、
相応の教育だって受ける必要があります。

しかし、親が低所得の家庭では、子に教育を受けさせられず、
親の所得と子の学力が相関していることが明らかになっています。

教育は子どもたちの未来の可能性を広げます。
それを最初から奪われているということは、
子どものうちだけ貧困なわけではなく、
その子の人生はかなりの高確率で低所得層になるのです。

教育を受けていない親は、自分の子供にも教育を受けさせません。
経済的な理由もあるし、
生活の中に教育というものが存在してこなかったので、
その必要性を想像できない、という理由もあります。

所得にある程度の上下があるのは仕方がないとしても、
今の日本ではあまりにも所得の格差が広がっていて、
低所得層はどんな偶然が起こっても状況を挽回できることはありません。

そういう袋小路のような社会に産み落とされた子どもたちは、
果たして人生に希望を持てるでしょうか・・・

クラスで5人。それは野球部員やサッカー部員より多くないですか?

かなりの人数であることに気付いて欲しいのです。
かなりの人数が、この社会に絶望感を持っているのです。
そしてそれは、この国の十数年後の未来社会そのものなのです。

7人に1人が貧困の国、というのを聞いて、
あなたは「豊かな先進国」をイメージできますか?

できないのではないでしょうか。
どこか遠くの貧しい国の話に聞こえるはずです。

しかし、それが日本という国なのです。

これは「この世のどこかに、ごく一部に貧困の人がいる」などという
片隅の問題ではなく、日本のメインイシューです。

なぜなら、もしこの国が素晴らしい国であるとするなら、
この国に生きるすべての人が
素晴らしい人生を送っていなければいけないはずで、
子どものころから教育も受けられなかった大人が
チャンスも希望もなく彷徨っている国に、
素晴らしい国たる挽回の機会はないのです。

いくらオリンピックをやってみたり、万博をやってみたりして
外面だけを取り繕ったとしても、
中身が伴っていないなら、意味がないのです。

日本はこれから、まちがいなく急激に衰退していきます。
それは、貧困問題を放置していることも大きな原因です。

我々ひとりひとりが日本をつくっています。
我々が日本そのものなのです。
その7人に1人が貧困で、社会がそれをなんとかしない。
それでは、自ら没落の道を歩んでいるのと同じですよね。

ここを感覚的に、すべての人に理解して欲しいのです。

この国の貧困問題、格差の問題は、
それぞれの個人の努力が足りないことが原因なのではなく、
社会の構造が原因なのです。

普通の人が貧乏になっていく社会ではなく、
普通の人が普通に生きられる社会が、豊かな社会です。

今の日本は、変わった人が大儲けすることはできるけれど、
普通の人はどんどん貧乏になっていく社会です。

この仕組みは、我々自身が立ち上がり、
我々自身が変えなければ、誰も変えてくれません。
そして、貧困層を放置することが、
まちがいなく、この国の没落の原因となるのです。

言いたいのは、貧困の問題は、
貧困層だけが解決する問題ではない、ということです。

格差社会の上の側にいる人間が、
自らのサステナビリティのために(もちろん本当は人道的な意味で)、
この極端な構造を打開するように動かなければいけません。

もちろん貧困層も声を上げなければいけませんが、
それだけでは絶対に変えられないのです。

この状況は、ゆくゆくは勝ち組さえも食い尽くしていきます。
社会がある程度ピラミッド構造なのは仕方ないとしても、
やはり土台がしっかりしていなければピラミッドごと崩れていくのです。

底辺を支える人々が、どれだけ豊かに暮らせるか、
ということが、その社会全体の活力なのです。

そういう意味で、「子どもの7人に1人が貧困」という事実のメッセージを、
しっかりと解釈しなければいけません。

7人に1人が社会から落伍して行ったら、
未来はいったいどうなりますか?

みんなで生き残らなければいけません。
誰も取り残してはいけないのです。

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