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履歴書に形成された無意識な自分の軸を見つける方法とは

面接の職務経歴の説明はどうすればよいのか

質問箱にこんな質問が来ました。

特に面接の場で困るんですが、構造化して話すのが苦手です。何かおすすめの書籍や、アドバイス等いただきたいです。以下の質問等で構造化することに困っています。
・今までの職務の経歴を教えて
・どんなプロジェクトだった?
・もう一度そのプロジェクトをやるとしたらどう工夫する?
(*一部改変)

中途面接において、自己紹介してくださいというと、大体の人が何も考えずに時系列で説明することが多いと思います。

こういうときの時系列というやつはなかなか強力でして、ついつい引き込んでくる蟻地獄のような存在です。何も考えなければ、経験なんていうものは構造化なんて考えずに、そのまま最初にあったことから次にあったことを話していくだけに陥ります。

何も考えずに時系列を選ぶと軸がなくなる

しかし時として、こういった脳死時系列は構造化の邪魔になります。できることならば、経験も時系列はざくっとだけ話し、全体像として多く経験したことを抽象化して伝えるべきです。

時系列というのは、ひとつの構造化の軸ではあります。一方で、考えずにただ選んだ軸としては弱すぎて、オチがない漫才と同様のただの薄っぺらい話になってしまいます。そもそも構造化は目的にあわせた軸で切るべきですが、それの第1軸を”何も考えずに”時系列にすると、言いたいことが訳わからなくなることがよくあります。

議事録の作成など、初心者は聞いた順にそのまま書いてしまって、まとまりがなくなる最たる例です。話というのは飛びがちですが、時系列のままに書き下すと、あっちにもこっちにもさっきも聞いた話に近い話が分散してしまって、なんらパワーを持たないものになってしまいます。

2つの王道パターンはストーリー軸かスキル軸か

職務経歴であれば、(1)ストーリーとして語る方法(2)スキルを軸に語る方法があると思います。

あなたの職務経歴にストーリーがあるのならその時系列で語ればいいと思います。一方、スキルを軸に語りたいのであれば、それぞれのスキルをいつどこで磨いてきたかという話方になると思います。

僕が自分自身の経歴をストーリーとして語る方法(1)で話すとすると「評論家→支援者→事業家と、企業を部外者として見る人という外の立場から、企業を経営するという中から見るに、だんだんと近づいてきました」と話します。しかし、通底する軸を通しておきたいので、全部をまるごと「企業価値への関わり方として」というラッピングでまとめます。

「最初は証券アナリストとして企業を評論し、次はコンサルとして支援をするようになり、最後に自分で経営するようになりました。一貫して企業価値に向き合っています」という感じです。

また、僕がスキルを軸に語る方法(2)で話すと「ファイナンス×経営戦略=CFOです」と話します。

「僕はCFOとして2つの能力が必要だと思っています。それはファイナンスと経営戦略です。ひとつめは1社目で~…ふたつめは2社目で~。その2社で学んだことを、重ね合わせて実地経験として積んだのが3社目です」という感じです。

全体の構造化にはフレームワークを用いるとよい

便利なフレームワークとしては、NLCというものがあります。
1. Numbering
2. Labelling
3. Contents
という順に文章を並べるというものです。

最初のNumberingでストーリーなら第1章から何章までかを宣言します。スキルならその種類の数でいいでしょう。そこにLabellingつまりタイトルをつけます。「評論家期」「支援者期」「事業家期」や「ファイナンス」「経営戦略」という部分です。

そこに最後にContentsを足します。評論家期に行っていたのは?ファイナンスを学んだという具体的な内容は?などです。評論家期に2社あれば、2社分まとめて話すでしょう。1社ずつが1チャンクではなくていいと思います。ちゃんと1つの物語の章ごとにある箱に、適切にボールを割り振るのが正しいと思います。

全体を整えるタイトルとなるラインを見つける

全体を俯瞰したときに見えるラインを抑えておき、それを仕事全体の根底の軸として置くとより良いでしょう。「立場は変われど、企業価値に向き合っています」とか「CFOとしてのスキルを2段階で身につけてきたんです」とか、「企業価値」や「CFO」といった軸です。

そんなの考えながら転職していない、と思うかもしれません。でも「Connecting The Dots」点と点を結んだときに、線が見えるはずです。ここは抽象化が必要でしょう。全部を俯瞰してみた時に共通するものは何でしょうか?スキル?働き方?それともまわりの人?切り口は無限にあります。その中から全部をつないだときに見える線を探してみてください。そして、その線に沿って、話を進めてみてください。

そのラインの延長線上にあるものがあなたの次の転職先であってほしい

そうするとあとは今、目の前にいる面接官にそれが刺さるかどうかです。その線の上にその会社が与えられるものがあれば、その面接はうまくいきます。

できれば面接に行く前に、その転職先候補の企業や業務も1つの点としておいた上で、過去の点たちとも混ぜて、そこから浮き上がってくる線であれば、きっと間違いありません。

また、テクニカルには、先に述べたように切り口は無限であることを利用するでしょう。僕の経歴でも2つの説明の方法があったわけで、もし次のステップがあるとしたときには、4社目の企業も含めて見直してみて、よりフィットするほうの話し方で自分がなぜここで働くべきなのかを語ると思います。

そうしてテクニカルに無理やり軸をひねり出すのもよいですが、おすすめしたいのは単純に自分自身の過去の選択を俯瞰することです。

俯瞰してみるということは、真にあなたの根底に流れる大切なものに気づかせてくれると思います。無意識にでも、あなたが譲れなかった”何か”がきっと何かあるはずです。そして、それと自然に次の転職先もあれば、きっとその転職は成功だったと言えるのではないかと思います。

サポートしてくださった方のご厚意は、弊社の若手とのコミュニケーションのためのコーヒーショップ代にさせていただきます。