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冬来たりなば

冬の到来は、かつては祝福のようなものでした。白銀の世界が広がり、子供たちの歓声が空に響き渡る。福島の海は荒い波を砂浜に打ちつけていました。その中で寒さに身体を縮こませながら、釣りをしていた思い出。家族と過ごす暖かな夜、友人たちとの賑やかな集まり、それらはすべてが心地よい記憶として残っていました。しかし、今では、冬はただの長く、苦しい季節になってしまいました。

朝、目覚めた瞬間から、その重苦しさが私を襲います。窓から見えるのは、灰色の空と裸になった木々の姿。太陽の温もりはどこにも感じられず、ただ冷たい風が吹き抜けていきます。部屋には暖房が効いていても、その暖かさが心まで届くことはありません。

昔は冬の訪れを心待ちにしていました。雪が降るのを見るのが好きで、冷たい空気を深く吸い込むのが心地よかった。しかし今、それらは遠い記憶。窓の外に広がる冬景色は、かつての喜びではなく、心の中の重さを増すだけになってしまいました。

冬のイベントは、人々に喜びをもたらします。街はイルミネーションで飾られ、歌と笑い声があふれています。しかし、私にとって、それらは遠い世界の出来事のようです。周囲の喜びが、私の心に届くことはなく、ただ遠くで響いているだけです。

彼らが笑い、楽しんでいる姿を見ても、心はただ重く沈んでいきます。彼らの幸せが、私の心に反響することはありません。孤独感だけが、冬の夜に増していきます。

夜が更けるにつれ、部屋の中の暗さと静けさが、私の心を覆います。暖房器具からの温もりも、心の凍えを溶かすことはできません。長い冬の夜は、ただただ私を苦しめます。枕に顔を埋め、春の訪れを切に願うばかりです。

春の光が、この長い冬を終わらせてくれることを願いますが、その希望も脆弱です。現実は、冷たい風と凍てつく空気の中にあります。春の訪れは、私にとっては遠い夢のようなものです。

かつては冬を愛し、その美しさに心を躍らせていました。しかし、今ではその季節は苦痛の源に変わってしまいました。冬の寒さが心を凍らせ、もう昔のようには感じられなくなっています。

部屋にこもり、外の世界を眺めると、かつての喜びが嘘のようです。冬の寒さに、心が閉ざされてしまうのを感じます。かつて愛した季節が、今ではただの苦痛になってしまったことに、寂しさを感じています。しかし、その寂しさもまた、冬の寒さに凍てついてしまうのです。

冬の夜は長く、孤独を感じさせます。部屋の中の暗さと静けさが、私の心をさらに覆い隠します。暖房器具の温もりも、心の寒さを和らげることはできません。夜が更けるにつれ、私の心はさらに沈んでいきます。

私は、冬の終わりをただひたすら待つばかりです。春の訪れが、心に少しの軽さをもたらすことを期待しています。しかし、その春の訪れも、私には遠い夢のようです。今はただ、冬の長い夜を耐え忍ぶしかありません。

かつては好きだった季節が、今では苦痛の源になってしまったことに、私は少し寂しさを感じます。しかし、その感情もまた、冬の寒さに凍てついてしまうのです。


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