アートボード_7_のコピー

A4:きっかけは「父」です。いろいろありました。(回答者:前田高志)

さとちゃんは忙しく仕事バリバリするのが好きなんですね。丸の内朝大学、よく知らないけどなんかすごそう!そこを仕切ってたってもともとリーダーの資質があるのかもしれないですね。


さて、さとちゃんからの質問の回答ですが、今回の話はまぁまぁ重い話になりますよ!


本気でフリーランスになろうと考え始めたのは、退職の2年前からです。辞めるまで結構かかりました。でもその当時、勤め先で所属していたグループメンバーが産休に入ったり異動になったりで、立場上とても辞めることを言い出せる状況じゃなかったのです。


それでも、決意したきっかけは「父」です。


父の認知症が進行していて、その頃はなんでも口に入れてしまっていたんです。冷蔵庫の中身はすぐになくなります。ネットで冷蔵庫に鍵をかける器具を購入しました。あれは、ほんとにナイス発明。助かりました。おせんべいの袋によく入ってる乾燥剤も食べてました。あれは辛いそうですよ。「辛い、辛い」って言ってました。


ある日、痔の薬を食べてしまって父の目が虚ろになってしまいました。母が慌てて119番。救急車が到着して、乗せようとしても父は必死の抵抗。救急隊員の方に噛み付いたり、殴りかかったり、暴行をしだしました。かけつけた兄も殴られました。僕の妻もも殴られそうになりました。


その一件を仕事から帰って妻から聞かされました。「なんで連絡してくれへんの?」っていうと、「京都やし連絡しても間に合わへんし、仕事の邪魔になると思って・・・」と。僕は無力さと悔しさと複雑な気持ちになりました。「ゲームの広告なんて作ってる場合じゃないのかも。」そう思いました。


この先、嫌な予感しかない。


さらに、ある日のこと。弟が夜中仕事から帰ってきた時に、父は弟のことが認識できず、泥棒と勘違いして父は包丁を持ち出したそうです。弟はとっさに包丁の刃を素手で掴み、なんとか無事でした。これは、いつか事件が起こる。このまま行くとヤバい。猛烈に不安が押し寄せてきました。


幸い事件にならなくても、この父を自宅で介護してたら心労で母が倒れるかもしれない。こうなると悪いことしか考えられなくなります。


さらに、父親のお兄さんも認知症が発症し、父のお母さんも認知症だったということを聞かされました。父は今から8年前の65歳になる前に発症しました。認知症って遺伝であることが多いって聞くし、「ああ、僕の人生は半分過ぎたんだ」と思いました。あと、25年くらい。自分の人生を俯瞰してみると時間が全然ないことに気がつき焦りました。


これまで会社を辞めるなんていろんな人に迷惑がかかるし、グループマネージャーとして立場上とても言えなかったけど、それでも振り切るしかなかった。やるべきこととやりたいことをハッキリ決心しました。


父の病気がなかったら踏ん切りつかなかったと思います。ある意味、きっかけをもらった父には感謝です。自分ではもともとフリーランスでデザインやりたかったんですが、なかなか踏ん切りがつかなかったのです。父は僕が大学受験に失敗した時に「4浪でも5浪でもしたらいい。兄弟4人もいるから1人くらいそういう奴がいた方が面白い」って美大受験も応援してくれました。人生のターニングポイントは父が大きく関わっていることがわかりました。


その後の父ですが、自転車にのって行方不明とか、子供への暴行とか、大晦日から元日にかけての深夜になぜかバスマット持って逃亡・・・など多々事件あり、さすがに自宅介護が大変になってきてデイサービスにお世話になることにしました。

でも、デイサービスで相性の悪いご婦人がいて手を上げてしまい、そこにいることができなくなりました。宝塚の山奥の特養に移るも、そこでもこの状態では預かることができないと言われ、精神病院を勧められます。半年間、精神病院で治療しどうにか気性は落ち着きました。認知症って例えば、言葉も場所もわからないところにポンっといきなり連れてこられたような状態になるそうです。だから、不安で怖くなって暴力的になる人が多いそうです。認知症ってしんどい病気なんです。


現状、落ち着いたというか認知症がかなり進行しました。父の自我はほとんどなくなってしまいましたが、気性はだいぶ落ち着きました。肩を揉んであげるとうっすら気持ち良さそうな顔をします。介護は、ほぼ近所の特養にお任せ状態で助かっています。しかも、歩いて行ける近さのところに運良く入れてよかったです。


今から思えば、認知症の初期症状はメールを返信しなくなったこと。あの時気づいたらよかった。みなさん、普段メールしてる人から返事が来なかったら疑ってみてください。


今回、重い話を長々とすみませんでした。言いたいことはただひとつ・・・


人生は長いようで短い。
やりたいことやり尽くして生きましょう!



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