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母の死。ガンダーラ編。

もうすぐ3年が経つ。
そろそろ泣かずに当時を振り返られるようになったので
覚えている限り記録として残しておこう。

余命を隠されていた私が
母の余命が1ヶ月半しかないと知り
介護をしていた頃
私は、人間の声が聞けなくなった。
主にテレビだった。


バラエティは勿論のこと、CMもニュースもアニメも見れなかった。
ニュースが一番みられなかったのを覚えている。
生きてる人間の為に情報として流すからだろうか。
なので、私には世の中のことを全く知らない時期がある。
分かりやすいのが
コロナの第4波、5波、6波である。

母の一周忌を迎えた夏に、コロナに感染し
当時第七波と聞いたときに
とても驚いたのを覚えている。
4,5,6はいつあったの?!

音楽も当初は聞けなかったので
ヒーリングミュージックやクラシック等、
人の声が入ってないものを聴いていた。
そのうち、不意に聴けるようになったのが
ゴタイゴのガンダーラであった。

何故か、母の介護をしていた頃ガンダーラの歌詞が
頭に過った。

しかし、よくよく歌詞を聴くと

愛の国ガンダーラ

生きることの 苦しみさえ 消えるというよ
旅立った人はいるが あまりにも遠い
自由なそのガンダーラ
素晴らしいユートピア
心の中に生きる 幻なのか

(作詞:山上路夫 作曲:タケカワユキヒデ)

私は、死に向かう母と接していくうちに
ガンダーラを探していたのかもしれない。
それとも、
これから母がガンダーラへ辿り着いてしまうという
予兆だったのか
ひたすらガンダーラを聴いていた。

母はガンダーラへ辿り着いただろうか。
母なら行ける気がする
な、と
この曲を聴くと
死後の母が楽しくいてくれたらと願ってしまう。
死んだ人に「元気だろうか」と思うのは変なのかもしれないが
私は、母が
今まで亡くなった飼い猫たちと会えたら良い。
祖母には「早すぎる!」と怒られてるかもしれないが
母が猫たちと、父と私を待っていてくれたら嬉しい。


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