10/30 年齢を追い抜く

 『池袋ウエストゲートパーク』シリーズの最新刊『絶望スクール』を読んでいたら、主人公のマコトの年齢がわかるような描写に出合った。20代後半、アラサー。マコトやキングがそれくらいの年齢だってことは大体わかっていたけれど、実際に年齢がわかる描写が出てきて、それでほとんど無意識のうちに頭の中でちゃちゃっと計算してしまって、でてきた数字に「あー……いつのまにか10歳近く年下になっている……」と(ちっちゃくだけれど)衝撃を受ける。小説やゲームの中の、少し年上だった憧れのおにいさん・おねえさんたちが、どんどん年下になっていく。現実世界に生きる自分は、時間の進みがゆっくりな世界を生きる彼らの年齢を抜かして、どんどん年を重ねていく。ついこないだは、ショーリとかれんがとっくに年下になっていたのに気がついたし(ショーリとかれんどころか、ひげのマスターまで抜いている!)(『おいしいコーヒーの淹れ方』シリーズ)、FF8リマスターをプレイしはじめたときは、自分の年齢がスコールたちの年齢の2倍近くなっていることに驚いた。だからなんだと言われれば、別に特に何があるわけじゃないのだけれど。でも、よく登場人物たちの年齢を見て自分と比較して驚いている。ティーンエイジャーの頃に出合った物語だと、今になって年齢を知ると尚更衝撃を受けがち。「あんなに大人だと思っていたのに、今のわたしより全然若いだと!?」とか。

 逆に、自分と同世代の人が登場人物な物語って、滅多に出合わない気がする。今ぱっと思いついたので、去年読んだ『コンビニ人間』くらい。『産む、産まない、産めない』も近かったな。すぐに思いつくのはそれくらい。30代後半を主役にした物語がそもそも少ないのか、わたしが絶妙に出合わない(避けている?)のか。なんだろう。同世代物語にはあまり出会わないけれど、同世代エッセイはよく読む。「同じようなこと考えてるな」と思いながら読む。

 学生の頃の、1つ2つ先輩たちのかっこよさ・大人っぽさってなんだったんだろう。たった1年2年の差が、絶対に手の届かない距離に感じていたあの頃。学校を卒業してから出会った人たちだと、1つ2つなんて関係ないどころか、そもそも年齢を知らない、なんてこともざらだ。なのに、学生時代の知り合いだと、大人になってからでもその先輩後輩の関係は無効にならず、なんとなくの上下関係はあり続けて。不思議。

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