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修士論文を執筆するための準備

はじめに

修士1年生のTaiです。私が所属する国内MBAの学校では卒業の要件として、修士論文が課されています。ただでさえ、執筆するのに大変な論文に1年未満で挑むことになるわけです。

しっかりと修士論文を書き切るため、いろいろな準備をこれからしようと思っています。それにあたり私が必要だと思うツールを紹介していきたいと思います。


1. Paperpile

まず、先行研究の論文や学術本などを管理し、文献の引用を容易にするツールとしてPaperpileを紹介します。私は以前のnoteでPaperpileについて触れていましたが、このツールはGoogle ScholarやGoogle Chromeと非常にうまく連携し、研究文献の整理やアクセスを容易にします。文献情報のアップデートも簡単に行うことができ、また引用フォーマットの生成も簡単です。

Paperpileのもう一つの魅力は、iPadを使ってPDFに紙のノートのようにハイライトや書き込みができることです。実は、直近までMendeleyを使用していましたが、その使いやすさと機能性の高さからPaperpileに乗り換えました。

2. Notion

多機能でありながら無料のオンラインサービスであるNotionは、ノート機能とタスク管理アプリケーションを兼ね備えています。このツールは、研究ノート、アイデア、スケジュール、タスクリストを一箇所で管理することができる大きな利点があります。

最近追加されたカレンダー連携機能により、スケジュール管理がさらに便利になりました。また、豊富なテンプレートを自由に選び、自分用にカスタマイズすることが可能です。これにより、研究のプロセスを体系的に追跡し、管理することができるので非常に便利です。

私自身、Notionを使用して研究計画、目次、重要な引用を整理し、記録し始めることにしました。ゼミや発表を含む修士論文執筆の進行状況を視覚的に追跡し、タイムラインで管理する予定です。私が選んだテンプレートは「論文執筆」「Thesis Writing Companion」「コーネル式ノートシステム」で、これらを組み合わせながらカスタマイズしていくことにしています。

見逃せないのはNotion AIの存在です。無料版では月に20回までの使用制限がありますが、ビジネスユース向けとはいえ、文章作成、要約、校正などの機能があり、非常に便利です。

3. ChatGPTs

もうみなさまご存知のAIツール、ChatGPT! 私個人としては有料版の利用をおすすめします。

これまで私自身は通常のChatGPT4.0や、プラグイン機能を使って利用をしていたのですが、単一機能に特化したChatGPTsが先日正式に公開され、このChatGPTsがとても良くできているので、いくつか紹介したいと思います。ただし紹介する機能は有料会員のみへのサービスになることを予めご了承ください。

① Paper Interpreter (Japanese)

Paper Interpreter (Japanese)は、学術論文の要約や解釈をサポートするツールです。このツールは、一般的な論文形式で回答してくれるので、毎回指示する必要がないだけでなく、文章のみならず図やグラフも小項目ごとに説明してくれるのでとても便利です。

主要なポイントや結論を簡潔に理解できることで、論文の良し悪しの判断を容易にし、内容の再確認も効率的に行えます。さらに論文自体の理解を深めることができ、効率的な文献レビューを可能にします。結果として、時間を節約しながらも、より多くの情報を獲得できるようになります。

② Booktransfer

Booktransferは画像から書籍の内容を要約して、キーとなる概念やアイデア、また主要なコンセプトを抽出してくれるとても便利なツールです。
論文の参考文献として書籍を活用する場合、大量の読書資料を読み込むのは大変ですが、このツールであれば短時間で研究に必要なキーポイントを迅速に把握するのにとても有効です。

③ ResearchGPT by Consensus

ResearchGPT by Consensusは科学研究論文に基づいた質問やリサーチに特化したツールです。一般的な質問を技術的な研究質問に翻訳し、関連する文献や研究を要約して提供してくれます。提供される形式は、通常、導入文、論文からの証拠、結論文のような形式で提供され、特定の形式での回答が欲しい場合は、具体的な指示を行ってカスタマイズすることが可能です。

このツールの特徴は、提供される回答に必ず引用が含まれることであり、その引用は(著者, 年)の形式を取り、ソースへのハイパーリンクを含めて提供されます。また、文献検索にも有効なツールです。

④ ResearchGPT by SciSpace

ResearchGPT by SciSpaceは科学研究の情報を探すことに特化したAIツールで、会話型のインターフェースになっています。このツールは特定の質問に対して引用に基づいた回答を提供し、研究のアシスタントとして活躍します。英語の文献を日本語で検索できるため、科学研究において非常に心強い存在となります。

科学的データの解析や研究方法の最適化にも特化しており、研究において有用な洞察や分析手法を提供してくれます。ただし、曖昧な質問や一般的な質問に対しては適切な回答を出すのが不得意なため、質問をする時は明確かつ具体的な内容にすることが必要です。

⑤ Scholar AI

Scholar AIは学術資料の検索と分析に特化したツールで、関連する研究論文や書籍を迅速に特定し、文献レビューの時間を大幅に短縮するのに役立ちます。このツールは科学論文の全文にも直接アクセスでき、特定のキーワードに基づいた科学論文の要約を検索して、その情報を提供してくれます。

さらに、Scholar AIはPDF全文の分析も可能で、特定の論文の主要なポイントや内容を深く理解するのに役立ちます。

⑥ スライド作成GPT

スライド作成GPTはプレゼンテーションやスライドの作成を助ける学術向けのツールです。

プレゼンテーションしたい抄録や記事を取り込むとその内容を取り込んで、プレゼンテーションの内容を提案してくれます。その提案内容に問題がなければ、論文発表や学会プレゼンテーションの下書きを効果的なビジュアルコンテンツとともに最大で12スライド作成してくれます。

もちろんとても精度が高いというわけではないので、手直しは必須ですが、プレゼンテーション作成の大きな手助けになることは間違いないです。


修士論文の執筆の準備にあたって、私はこのようにさまざまなChatGPTsツールを積極的に活用しています。これらのツールは研究の各段階でサポートをしてくれて、論文執筆からプレゼンテーションまでのプロセスを効率的かつ効果的に進めるのに役立つと思っています。それぞれのツールが特定の研究段階に特化しているため、組み合わせて使用することで全体的な生産性が向上するはずです。

追記 3-2 Claude

2024年3月現在、以下のようにChatGPTよりも能力的に優れていると言われるClaudeです。作法も丁寧で日本語を含めた多言語能力にも長けているので重宝する生成AIです。

追記 3-3 Consensus

ConsensusはAIを使った論文検索サービスです。基本的に英語を使うことが要求されますが、論文の検索はもちろん、質問に対して論文に基づいた回答をしてくれる優れたサービスです。

追記 3-4 Connected Paper

Connected Paperは興味深い論文と関連する論文を探すのにとても役に立つサービスです。具体的には関連する論文を視覚的、効率的に探すことができます。

4. DeepL

多くの方が既にご存知かと思いますが、DeepLはGoogle翻訳よりも高精度で自然な翻訳を提供する言語翻訳ツールです。

修士論文を執筆するにあたり、先行研究を探索することは必須で英語の論文を読まなければいけないことが当然あると思います。DeepLを使用することで書かれた文献や資料を日本語に翻訳し、先行研究への理解を深めるのに非常に役立ちます。

DeepLの有料版では、PDF、Word、Powerpointのドキュメントも直接日本語に翻訳できるため、研究資料の処理がさらに便利になります。このような高精度な翻訳ツールは、研究する方々にとって非常に価値あるリソースだと思います。

追記: 4-2 Readable

DeepLを使っていて、結構PDFが崩れたり、翻訳すらしてくれなかったりが割と多くあるのが分かって、困っていたら、このReadableを発見しました

英語論文を翻訳するときにReadableを使うと割と崩れずに翻訳してくれるのでDeepLをやめてこちらにしようかなと考えています。


最後に

今回ご紹介したツールは、私が個人的に効果的だと感じたものを選んだものです。しかし、皆さんにはそれぞれの研究スタイルやニーズに合った他の有用なツールもあることでしょう。

自分の研究スタイルに合わせて、これらのツールやリソースを組み合わせて活用することで、修士論文の執筆までのプロセスを効率化し、より高品質な研究成果、論文を得ることが可能だと思っています。私も結果は未知数ですが、努力と工夫により、目標達成の可能性は高まります。

論文を執筆する方々や、これから大学院に進学して研究を始める方々にとって、このブログが少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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