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【2018年10月】深圳で完全キャッシュレス決済旅

※この記事は2018年10月5日〜8日に深圳を訪れた際にまとめたものです。

2017年12月に初めて深圳を訪れて以来、この1年で3度目の中国深圳へのキャッシュレス旅をしてきました。人民元には1回も触れる事なく旅をする事が出来ました。

深圳には2017年12月、2018年6月に続き、今回(2018年10月)と短い期間に複数回に渡って訪問したのですが、中国の中でも特に発展著しい深圳はこの1年の間でも、行く度に変化を体感出来る、今を躍動するエネルギッシュな街です。

ここでは、この約1年間に複数回訪問して感じた深圳の変化と今について、レポートしたいと思います。

目次
1. 香港から深圳へ!
 開通間もない『広深港高速鉄道』で深圳入り
2. 到着後すぐに感じた街の変化
 街に溢れていたMobileはどこに?
3. WeChatPayの利用によって、
 世界最大の電気街『華強北路』でのショッピングが超便利に
4. 地下鉄の改札もQR、ただしラッシュ時には不向き
5. 無人コンビニ、カラオケボックス、自動販売機、マッサージチェア、etc...
 WeChatPayがあれば言葉が分からなくても何でも出来る!?
6. 旅の総括

1. 香港から深圳へ!
 開通間もない『広深港高速鉄道』で深圳入り

今回は香港経由での深圳入りをする事にしました。香港から深圳へ行く方法はいくつかありますが、この旅では2018年9月23日に開通した『広深港高速鉄道』を使う事にしました。まずは香港国際空港から、エアポートエクスプレスで九龍駅を目指します。エアポートエクスプレスのチケットは駅で買うのも良いですが、KKdayKlookというWEBサイトで事前購入しておくとお得です。購入後、QRコード付きのバウチャーが届きますので、スマホで画面表示したQRコードを改札の読み取り機にかざすだけで乗車可能です。直前の購入、利用も可能ですので、香港国際空港から市内へ移動する際にはオススメです。

さて、九龍駅に着いたら、広深港高速鉄道に乗るために香港西九龍駅へ向かいます。九龍駅と香港西九龍駅は隣接しているので、連絡通路を通って歩いて移動します。香港西九龍駅は出来たばかりの真新しい駅です。モダンでスタイリッシュなデザインの駅にテンションが上ります。

▲明るく開放的な駅のデザイン。

▲建物の1F部分はイミグレーション通過後の中国本土側になります。

▲1Fから見上げると、その開放的な光に、この空間の持つ意味を様々考えされされます。

ここから深圳の福田駅まで行くチケットを購入しますが、ここで早速WeChatPayが登場します。WeChatPayから中国高速鉄道のチケット購入が可能で、広深港高速鉄道も勿論対象に含まれます。早速アプリ上からWeChatPayを使って購入。購入後に送られてくるSMSの画面を窓口に持参して見せれば、チケットを発券してくれます。

▲WeChatPay内の『Rail & Fights』から、高速鉄道や飛行機のチケットをWeChatPayで決済出来ます。(画面上では登録しているクレジットカード上からも決済出来そうですが、決済する事は出来ませんでした。)

あとはチケットを持ってイミグレーションへ向かいます。開通前から話題だった香港西九龍駅のイミグレーションは、香港西九龍駅内に設けられた事により、香港側の一部で反発が出ている問題の場所です。香港側の出国手続きを終えると、黄色い線が登場します。ここから先は中国本土になります。香港から中国本土に入ると、中国本土独特の空気を感じとよく言われますが、香港西九龍駅内にいるにもかかわらず、やはり国境線を超えた瞬間にはその空の変化を感じました。

▲香港西九龍駅内に引かれた国境線。この線から先は中国本土。

香港西九龍駅から福田駅までは約15分で到着します。高速鉄道に乗っている時間より、イミグレーションでの手続きの方に時間が掛かる為、香港西九龍駅の滞在時間の方が長かったですが、チケットを買ってから福田駅に着くまでの全体の所要時間は1時間弱。従来のMRT(地下鉄)乗継ぎで行くルートと比べると若干早いかなという程度ではありますが、体力面を考えると圧倒的に楽ですね。

2. 到着後すぐに感じた街の変化
 街に溢れていたMobikeはどこに?

福田駅到着後は、地下鉄に乗って華強北路へ向かいました。今回の主目的の一つが華強北での買い出しもあるので、ホテルは華強広場酒店を取りました。買い出しをしながらホテルのチェックインを済ませます。道中、街を歩いていて気づいたのは、前回まで街中に溢れていたMobikeが少ない…。歩道にびっしりと埋め尽くされていたMobikeなのに、いざ乗りたいと思っても見つからない事も。それもそのはず、以前から分かっていた事ですが、Mobikeのビジネスモデルが行き詰まり、シェアサイクルバブルが終わっていたのでした。ただMobikeは中国美団に買収され、事業は続いているので十分使えます。

▲上は2018年6月、下は今回。2018年6月に訪問した時には歩道は大量のMobikeで埋め尽くされていましたが、今回行ってみると数える程しか置かれていません。

台数が減ったとはいえ、Mobikeのアプリ上から近くの自転車を見つける事が出来るので安心です。以前はそこら中に溢れていたので、この機能で自転車を探す事はありませんでした。しかし、結構傷んでいる自転車もあり、当たり外れがある為、車体状態をしっかり確認してから借りた方が良いです。

3. WeChatPayの利用によって、
 世界最大の電気街『華強北』でのショッピングが便利に

今回の旅の中で、私は人民元を触れる機会は一度もありませんでした。メディア等でも言われている通り、中国ではWeChatPayを使えばどこでも何でも買えてしまうからです。深圳においてはWeChatを提供するTensentのお膝元ですので、普及率はほぼ100%と言っていいでしょう。WeChatPayは中国の銀行口座と紐付けてデビットカードのように使うのが基本ですが、WeChatPayのアカウントにチャージして使う事も出来ます。外国人は基本的に中国国内で銀行口座を作る事は出来ませんが、この方法であればWeChatPayを使う事が出来ます。
今回は私も、事前にチャージしておいたWeChatPay上の人民元でお買い物をします。飲食店、小売店、自動販売機等、様々なところで当たり前のように使う事が出来ましたが、一番利便性を感じたのが電気街の『華強北』。華強北には小規模店が大量に集まっているので、クレジットカードなんて使えませんし、現金による売買もお店によっては嫌煙されます。これらのお店はWeChatPayに対応しており、店頭に掲げているQRコードをWeChatPayで読み込めば簡単に支払いが行う事が出来ます。基本的には店頭に掲示されているQRコードを読み取り、ユーザーのスマホに金額入力して決済を行うMPM(Merchant Presented Mode)ですので、ガッツリ価格交渉した後、納得した金額を自分で入力して支払う流れになりますから安心ですね。今回は10点ほどのガジェットを購入しました。日本で買ったら合計3万円ぐらいしますが、今回は日本円で1.3万円程の出費で済んだので大満足でした。

▲華強北は秋葉原の30倍とも言われる世界最大の電気街です。小さな店舗が密集したビルや、日本でも見かける様になってきているメーカーの旗艦店が集中するビルもあります。

4. 地下鉄の改札もQR、ただしラッシュ時には不向き

深圳の地下鉄に乗るには、券売機でトークン(チケット)を購入する必要があります。券売機での購入は、現金の他にAlipay、WeChatPayが使えます。WeChatPayでトークンを購入する流れは以下の通りです。

① 券売機で行き先を選ぶ。
② 購入枚数を選んで右下上側の支払い(支付)ボタンを押す。
③ 券売機の画面上にQRコードが表示されるのでWeChatPayで読み取る。
④ WeChatPayの画面上に表示される支払い確定ボタンを押して
 支払いを完了するとトークンが出てくる。

▲1回やればとても簡単です。券売機に並ぶ前に、事前にWeChatPayを開いておけば早いですね。

一方で、今年の6月頃から深圳の地下鉄でもAlipayやWeChatPayのQRコードをかざすだけで改札を通れるようになりました。(既に北京や上海等一部都市では対応している情報はありましたが、深圳でも対応していたんですね。)

早速試そうとしましたが、私のWeChatPayのQRコードを読み込んでくれません。それもそのはず、このサービスは別途事前登録が必要なようです。しかしWeChatPayは中国の銀行口座紐づけが必要なようなので、今回は諦めました。

しかしこのQRコードによる改札通過はかなり無理があります。ユーザーがQRコードを画面表示するのに時間が掛かるし、画面表示しても読み取りにコツがいるので時間が掛かります。ラッシュ時は大変な事になるんだろうなぁと思いましたが、案の定でした。

現在、深圳市では中国改革開放40周年記念のイルミネーションイベントが、2018年12月31日まで毎週金・土・日曜日の夜に各3回開催されています。土曜日夜の1回目の回を見ようと会場の最寄り駅へ行ったところ、駅の改札は大渋滞でした。Suicaならこんな事無いんですけどね。

▲中国改革開放40周年記念で、深圳のビル群を使った大掛かりなイルミネーションイベント。

因みに、深圳の地下鉄でも電子マネーもあります。NFC Type A/Bなので、日本のSuicaと比べると処理速度は若干遅いですが、QRコードよりは早いですから便利ですね。しかし、現金でのチャージが100元単位、WeChatPayでのチャージが50元単位になっており、1回乗車する際の運賃は2~6元程度ですから、短期旅行であれば消費しきれないと思いますので、先に記載した券売機でWeChatPayを使ってトークンを購入するのが旅行者には良いのではないでしょうか。

▲深圳の電子マネー『深圳通』の発券機。キーホルダータイプ等もあります。

5. 無人コンビニ、カラオケボックス、自動販売機、
 マッサージチェア、etc...
 WeChatPayがあれば言葉が分からなくても
 何でも出来る!?

WeChatPayは様々な無人サービスの拡充につながっています。最近話題の無人コンビニや一人カラオケボックス、自動販売機、マッサージチェア等、中国語のわからない外国人にとっても、店員と会話する事なくサービスを受ける事が出来るので便利です。(一方で、コミュニケーションは旅の醍醐味だと思うので、それがないのは如何なものか?とも思いますが…)日本においても労働者不足は課題ですので、今後も様々な無人サービスが登場してくるのでしょうね。

華強北の無人コンビニ。と言っても、店内は自動販売機がずらっと並んでいる様なものです。Amazon Go等、画像認識やセンサー処理で様々な無人店舗が出てきていますが、コスト面等を考えると現時点ではこういう形に落ち着くのかもしれません。

一人カラオケボックスはWeChatでアクセスすればスコアなどの情報も残せます。

VR体感ボックスなんていうものもありました。先にいたファミリーが楽しまれていたので、体験出来なかったのが悔やまれます。

マッサージチェアもQRコードを読み取って決済が可能。日本のマッサージチェアも電子マネーやスマホ決済に対応して欲しいところです。

6. 旅の総括

よく言われている事ではありますが、今回の深圳訪問を通して、今の日本と比べると「スピード感の速さ」や人や街そのものの「若さ」、「活気」を感じました。「サービスの質」は気になりますがら、スピード感の速さによって消えていったり、より良く改善されていったりするので大きな問題ではありません。日本においてもスピード感を高める事、数年前から言われているリーンスタートアップまずはリリースして制度を高めていく事が大事。

一方で外国人の利便性については課題だと思います。中国では情報統制によって中国国外サービスは使えないので、自ずと中国国内のサービスを使わなければなりません。しかし、中国国内のサービスは外国人の利用が困難な物が多いです。今回利用したWeChatPayは使い方によっては私のように外国人でも使えますが限られたチャージ方法を使って何とか使用している状況なので、観光客ではAlipayの様な銀行口座の連携が必須のサービスは全く使う事が出来ません。

インバウンドの更なる成長を目指す日本においては、外国人の利便性を高める必要があります。ただ、外国人が自国のサービスを使える環境を整備するだけでなく、その国のサービスへのアクセスを容易にする方法もあると思います。

決済の分野で言えばクレジットカード対応や中国決済の対応は必須だと思いますが、日本国内の決済手段(Suicaやnanaco等の電子マネーは勿論、今後普及が期待される国内スマホ決済)を外国人旅行者も使いやすくする事が出来ると良いと思います。

決済だけでなく、国内で私達が便利に使っている各種サービスを外国人旅行者が簡単に使える環境を整備する事を通して、国内サービス事業者がグローバル展開していくキッカケにもなるのではないかとも思いました。

オマケ:QRコードリーダー読取り端末

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