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「いいプロダクトを継続的に作る」という経営方針をつくった話

こんにちは。DeployGateの藤﨑です。引き続き、暑さが続きますね。

「経営方針」という単語を見ると、なんだか難しいものを想像してしまうのは古今東西万国共通の人間の性だと思います。世の中の会社を見渡すと、様々な経営方針がありますよね。とにかく売上を追求する、社会貢献を大事にする、などなど、「会社としてどのようなことを重視します」は、会社によって自由というか、それぞれの経営者によって違うものです。

経営方針は、簡単にいえば「そのチームの判断の拠り所」です。「いま目の前のことと、めっちゃ遠くの目指す山の頂上は分かる、その間の無限の道筋はどうやって選ぶの」となったときに頼れるヤツです。

今回は、最近私たちが経営方針の必要性に迫られた背景と、つくった経営方針について書いてみたいと思います。

経営方針が必要だ

経営方針の役割は、その方針が経営陣の中でしっかり握れて、あらゆる判断や決定をする時にそこに立ち返ることができるということだと思います。

私たちは毎週経営チームでの定例を行っています。先月、課題の定義や優先順位の設定があまりうまくいっていないと感じ、ふと、自分達の判断基準はどこにあるんだっけ、と立ち止まる機会がありました。

私たちは以前から、「ユーザーと共につくりユーザーの期待を超える」「開発チームに必要な声を届ける」と明確なビジョンとミッションを持っており、行動の指針となるバリューもあります。プロダクトチームとしてこういう世界を目指している、そこに向かっていく私たちはどうあるべきか、ということは明確な一方で、これを目指す自分たちは何を基準にこの組織を作るのか、あるいは組織として手段を選んでいくのかといった判断の部分の関しては、なんとなくこうだよね、という暗黙的な認識に留まっていました。

CPOのhentekoと話し、ここには何らかの言語化された指針が必要だよね、我々が「経営チーム」としてやらなければならないことを認識でき、その優先順位を付け、長期に渡る計画の PDCA を回していくためにも、拠り所にできる基準ってなんだろう、という話を議論しました。特に、我々2人はプロダクトも見ているので、端々の議論で観点が混ざりがちでした。この会社を始めたのは何でだっけ、どういうことがしたいんだっけ、という根源まで突き詰めた先で、この会社で我々がやりたいことは、無謀な挑戦をして大きな企業になることや、社会貢献をすることではなく、ただ「いいプロダクトを
継続的に作る」
ことなんだよね、という結論に行き着きました。

いいプロダクトを継続的に作る

私たちのやりたいことを率直に言語化したこの方針は、一見単純すぎる、あるいは広すぎるようも見えます。しかし、細かく見ていくと、その実現にはいくつものことをケアする必要があり、その掘り下げ方にも個性が出ます。

例えば、世界中で有名になるような本当に「いいプロダクト」というものは、実際にユーザーとなる人たちの持つ課題を見事に解決しており、それは課題を遠くの誰かのものと他人行儀に捉えず、作る人々自身が自分ごととして捉えて解決した先に生まれるものです。先のビジョンに繋がる部分で、ここまでにも大事にしてきた部分です。

そういうプロダクトを「継続的に作る」ためには、支えるための仕組みの部分、もちろん利益を作って足元が安定して、組織として動き続ける状況を作ることが求められます。そのための仕組み作りや、事業運営の労力を下げるための取り組み、推進力の維持や各種法令の遵守といったこと、そして何より、継続させるというコミットメントが求められます。

暗黙的に根ざしてきたこの2つの柱を言語化して、私たちはここから先の経営チームの判断基準として使っていくことにしました。

経営方針を定めた効果

この方針を定めることで、どのぐらい効果があるのかは未知数でしたが、蓋を開けてみると判断が必要な様々な場面で機能することが分かりました。

まず、方針から分解した要素が柱になることで、基準を揃えやすくなりました。「この課題を解決することで、経営方針のどの部分に寄与するのか」を意識することで、自ずと課題の粒度も揃います。また、基準が揃ったことで優先順位の認識合わせもスムーズになり、今大事なのはこれだよね、その次はこれだよね、あるいはこれはなんとなく必要だと思っていたけどやらなくていいよね、ということを、経営チームの中で納得感のある形で揃えられるようになりました。これまで無秩序な状態となっていた経営課題リストをすべて見直し、明確に順序がついたのは大きな前進です。

方針を定めて日が浅いので、まだ走りながら改善を重ねる段階だと考えており、そのPDCAが回るように課題のフォーマットも改めました。目標となる成果と期限を定め、成果が出なかった場合に、この観点だとこういう課題があったという振り返りもできるようになり、この先の動き方の改善に繋がりそうだと期待しています。

これまでのプロダクト作りに加え、「継続的に作る」こと自体にスポットライトが当たることで、仕組み作りによりプロアクティブさが出てくるとよいなとも思っています。これが最終的にいいプロダクトを生み出すのにどれだけ寄与したか、はもう少し長いスパンで見ていけたらよいなと思っています。

ちなみに、今回の方針は企業や事業の規模について言及していませんが、それぞれ大きくなることを否定したり可能性を放棄するというものではありません。価値ある製品を安定的に提供していくこと、僕ら自身がいいプロダクトだなと思えるものを出し続けられることを最優先としつつ、選択肢は広く持ち続けていく所存です。

おわりに

ということで、今回は私たちの経営方針がこういう風に定まったよという背景と、これからの進め方のお話でした。視点を変えると、自分自身が株主としてもこういう方針の会社を求めているんだなという気づきもありました。様々なレイヤーを行き来するのはまだまだ難しいです。引き続きいいプロダクトを作っていきたいなと思います。

今月はそんな感じで。

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