見出し画像

何を言っているか分からない人。

 こんな経験はないだろうか。
 自分が言いたいことが上手く言葉にならないことがある。いざ口に出してみると、言おうと思っていたことと少し違う。言い直そうとすればするほど語順がめちゃくちゃになり、余計に伝わらなくなる。そのうちに上手く言えない自分に腹が立ってくる。
 そんなあなたに相手が半ば呆れている様に見えて来る。

 日常会話であれば短い言葉の掛け合いで事足りるからそんなに困ることは無いだろう。
 しかし例えば仕事で少し込み入った話となると、定型文を唱えれば良い時以外は、何とかして「言葉で」伝える能力が必要となる。

 言葉で上手く表現出来ないのは小さな子供も同じだろうが、子供の場合は少ない語彙を巧みに使いこなすとともに、何とかして分からせようという強い意志がある。
 聞く大人にとっても子供が言いたいことはある程度想像がつくから、それほど難しいことにはならない。だから問題は大人同士の会話や議論の場合となる。
 大人同士が雑談以上の真剣な議論をする場面は実はそれほど無い。だから多くの人が言葉で伝えるのが難しいと感じるのは経験不足によるところが大きい。

 言葉で何かを伝える時に重要なのは論理と、議論の作法だ。
 言葉を並べる順番を間違えると意味が違ってしまうのは当たり前だが、言葉を発する前に自分の中で話が論理的に組み立てられていないと、話している途中で、自分でも言いたいことが分からなくなってしまうことがある。
 論理立てで喋るには論理的に思考する必要がある。だからまずは頭の中で考える際に、話したいテーマ、順序立てや論理展開について予め想像しておく習慣を付けた方が良い。

 もう一つの、議論の作法とは、まずは相手を尊重し、相手の言うことをしっかりと聴き、言わんとする事を理解しようとする姿勢で臨むということだ。そして、より良い議論のためにお互いに批判的に聞き、意見を述べることだ。ここで重要なのは、あなたの意見に対する批判はあなた個人を攻撃や否定しているのではなく、あくまで良い結果を目指して建設的に批判をしているということだ。
 ともすると個人口撃の応酬になりそうだか、それは議論経験の不足によるものだ。だから慣れるしかない。

 議論は、お互いに率直な意見を言うことが最終目的ではない。議論の目的は、それぞれの意見を出し合ってより良い方向の合意形成をすることだ。
 話が平行線で終わりがちなのは、議論の目的を考え違いしているか、目的設定が出来ていないからだ。

 話していて相手が何を言ってるか分からないとき、それは相手のせいでもあり、あなたのせいでもある。

 自分が折れるのは絶対に嫌だ、妥協は絶対にしないという人が相手だとしたら、どうにかして議論に持ち込まなければならない。
 仮にあなた自身が折れない人だとしたら、あなたや周囲の人は生きづらさを感じているはずだ。その時あなたは、何を言ってるか分からない人になっている。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?